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放送大学準備調査会「放送大学の設立について(報告)」 - 1970年7月24日

出典:放送大学準備調査会「放送大学の設立について(報告)」1970年7月24日(国立公文書館所蔵「放送大学 自昭和44年10月」(請求番号:平28文科00259100)所収)

 

放送大学の設立について

(報 告)

昭和45年7月24日

放送大学準備調査会

(まえがき) 放送大学の設立について

放送大学準備調査会は、昨年11月、放送を主たる教育方法とする新しい大学(以下「放送大学」という。)の設立に関する基本的事項について調査、研究することを任務として設けられ、以来9か月にわたり、小委員会を含め27回の会議を開き、慎重に審議を行なってきた。この報告書は、その検討の結果をとりまとめたものである。

文部省、郵政省共同で設けられた「放送大学問題懇談会」も昨年11月の意見書において、「放送大学は従来の制度にとらわれることなく、全く新しい構想のものとして考えるべきであり、日本の教育の将来を見とおした広い視野から考えなければならない。」と述べているごとく、放送大学は種々の点で従来には全くその例をみない新しい大学である。したがって本調査会は現行の制度や法規のわくをこえて検討をすすめてきた。

放送大学は、教育方法をはじめさまざまな面で既存の大学とは違った形態のものとなることが予想される。このため、現行の制度のなかに位置づけるうえで多くの問題に当面する。しかし、放送大学を正規の大学として設立するためには、現行制度との関連にも意を用いなければならない。一方、現在、大学制度そのものが根本的に再検討されており、その将来への予測はきわめて流動的である。審議の過程においてこれらの諸条件に対しじゅうぶんな考慮を払ってきた。

このような意味で、本調査会では放送大学に対する社会的要請、放送大学の設立形態、放送の実施方法、財源等なお検討を要する問題を残しつつも、これまでの検討結果をまとめ、放送大学の基本的な構想を示すことにした。また、この報告書に記された事項についても今後の検討により修正が必要となる点が出てくることもあると思われる。今後、上記の諸事項等について慎重な検討が加えられ、国民の期待に応えるすぐれた放送大学が、できるだけ早い時期に設立されるとともに、設立後もこれをたえず育成、強化し、進展する社会に適合する高等教育機関とすることを希望する。

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1 放送大学の目的

教育の機会均等の観点から、大学教育を受ける機会に恵まれなかった勤労青年、主婦等あるいは高等学校新規卒業者にその機会を提供するとともに、職業人の再教育をはじめ、国民各層の人々に対し、高度の教育を行なうことを目的とする。

大学教育の拡大は世界的なすう勢であるが、わが国においても新制大学発足後その普及はめざましく、現在では大学教育該当年令層の約20%が在学している。しかし、このような大学教育の急速な普及にもかかわらず、大学教育を受ける能力、意欲をもちながらもその機会に恵まれていない人々の数も決して少なくない。これらの人々が働きながら大学教育を受ける機関として放送大学はきわめて有力なものと言えよう。

近年における科学技術の著しい進展と社会経済の発展に伴い国民の生活は急速に変化し、高度知識社会の到来が展望されている。このような環境の変化に適切に対応していくために国民各層は職業上の知識・技術をはじめとして常に新鮮で高度の専門的知識と豊かな教養を身につけることが必要となっており、生涯教育の機会を拡充することが要望され、その一環として大学教育を広く国民各層の人々に開放することが望まれている。教育手段としてすぐれた機能をもち、しかも国民の間に広く普及している放送媒体を使用して教育を行なう放送大学は、今まで大学で行なわれていた講義をいっそう充実した形で人々に提供することができ、生涯教育の機関として大きな役割を果たすことになろう。

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2 放送大学の法的性格

放送大学は、学校教育法上の正規の大学とする。また生涯教育の機会拡充の観点から、特定の授業科目のみの履修を認め、単位修得証明書を交付する。

放送大学は学校教育法上の正規の4年制の大学とし、卒業生に対しては、大学卒の資格を与える。このほか、短期大学の付設についても考慮する。

既存の大学はその教育の方法から二つの種類に大別することができる。すなわち、主として教室での授業によって教育を行なう全日制および夜間制と指導書、テキスト等活字媒体による教育を中心とする通信制の二つである。放送大学の場合、その教育を放送という通信媒体を中心にして行ない、しかも学生が家庭にあって大部分の学習を進めることができるという点では通信制の範ちゅうにいれることもできるが、教師の姿、声等に接しながら学習するという面では、むしろ全日制の大学に近いとも言える。このことから考えるならば、放送大学は〝放送制〟ともいうべき新しい概念でとらえるのが適切である。

放送大学の授業は放送によって行なわれるので放送大学に入学しなくても、その講義を自由に視聴し、それを利用して学習することができる。ここに、他の大学にみられない放送大学独自の大きな特色がある。

社会人のなかには既に大学を卒業した人々をはじめ必ずしも大学卒業の資格を得ることを希望しないが、職業上必要な分野あるいは自分が関心をもっている分野について学習したいという要望をもつ者が少なくないと考えられる。放送大学ではこのことを考慮し、特定の授業科目だけの履修を認め、所定の試験に合格した者に対し単位修得証明書を交付する。これは各授業科目ごとに交付するだけでなく、後述するセットに関する修得証明書の交付を行なう。なおこのような単位修得と社会的な資格取得の制度とを結びつけることについて今後検討されることが望ましい。

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3 放送大学の入学資格および学生の種別

放送大学の入学資格は高等学校卒業者(同等以上の学力を有する者を含む。)を原則とするが、放送大学の性格にかんがみて、資格のない者にも入学の道を開く。

現行の規定による大学入学資格をもち、放送大学において卒業することをめざす者は本科生とする。正規の大学入学資格はもたないが卒業を希望する者は別の形で入学させ、一定の単位を取得したとき、大学の認定により本科生に編入する。前述した特定の授業科目の単位取得のみを希望して、聴講する者は選科生とする。

また、大学中退者、短大卒業者、高専卒業者等に対しては編入学を認めることを考慮する。

放送大学は学習意欲をもつすべての国民に大学教育を開放することを最大の特色としているので、入学についても希望者全員の入学を認めることを基本的な考え方とする。

このことから、正規の大学入学資格をもつ本科生のほか大学入学資格はもたないが、卒業して大学卒業の資格を取得することを希望する者もその入学を認めたうえ、大学の認定により本科生へ編入する道を開いておく。

また、2において述べたように特定の授業科目についてだけ学習し、その単位を取得したいという要望は社会人を中心に相当強いと思われる。放送大学ではこのような希望に応えるため選科生の制度をおく。

入学試験はいずれについても原則として行なわず、希望者全員の入学が可能となるような措置が必要である。また、志願者の勉学意欲を確かめ、放送大学の意義を徹底させるため面接等の方途を講ずる。

次に、大学中退者、短期大学卒業者、高専卒業者等に対しては、それらの人々が既に取得した単位を一定の範囲内で認める方向で考慮すべきである。

なお、勤労青年等の勉学をたすけるため、奨学制度を設けることを配慮することが望ましい。

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4 放送大学における教育方法

(1) 放送大学の教育における放送の位置づけ

放送大学においては放送(テレビおよびラジオ)による教育をその教授活動の中心に位置づける。講義科目は放送によって授業を行ない、演習、実験・実習については放送とスクーリングを併用する。放送とスクーリングによって受ける授業の合計時間数は、一般の大学のそれと同じとする。

放送大学では、通常教室において行なわれている教育のうち、放送によってじゅうぶんその目的を達成しうる部分は放送により行ない、学生自身の実践、あるいは教師と学生および学生相互の直接的な接触等が必要な部分はスクーリングによって行なうこととする。

講義科目は教室講義の場合と同じく1単位について15時間の放送講義を行なう。このことは、現在教室で行なわれている講義にあたるものをすべて放送によって行なうことを意味し、これによって放送大学は従来の通信制大学の制度ではなく、全く新しい放送制大学ともいうべき制度に立つものとなる。すなわち、通信制大学における教室講義にかわるものとしてのテキスト(1単位につきA5判75頁)学習は不要となる。ただし、教科書あるいは学習の手引ともいうべきものは放送教育をより効果的に行なうためにも必要となろう。また、放送講義についての質疑に対してはスクーリングにおける応答のほか各種の通信媒体を活用し、それにじゅうぶん応ずることのできる態勢をつくるべきである。

演習科目は1単位につき30時間の教室授業が必要であるが、これはそれぞれ15時間の放送演習とスクーリングによって行なう。また、実験・実習科目は1単位につき45時間の教室授業が必要とされるが、これは15時間の放送授業と30時間のスクーリングにより行なう。演習は討論形式の授業が中心となるが、それへの導入部分や主要な意見の発表、あるいは実験・実習の方法の説明やデモンストレーション等は放送により、効果的かつ効率的に行なうことができる。

なお、演習、実験・実習科目のようにスクーリングと放送授業が併用される場合は放送とスクーリングが時間的に並行して進められることが望ましい。

以上のことは、従来の教室における授業には同じ時間量の放送による授業が相当するということを前提としている。放送授業の場合は番組制作に視聴覚的技法が活用できることなどのために、同じ時間量で従来の教室授業よりもいっそう教育効果をあげ得ると考えられる。したがって、両者の時間量を等しくすることによって、他の一般の大学も利用できるような充実した放送授業を行なうことができる。これにより、大学間の単位互換への糸口となることが期待される。

どのような授業科目がテレビまたはラジオに適しているか、また、両者の併用によってどのような効果が生まれるかについて、今後じゅうぶん研究をすすめることが必要である。

また、近い将来ビデオカセットをはじめ、各種の教材、機器が開発され、普及することが予想される。これらの利用に関する研究を推進し、教育方法を積極的に改善する努力を続けることが望まれる。

(2) スクーリングの実施方法

スクーリングは必修スクーリングと学生が必要に応じて自由に出席できる自由スクーリングに分ける。また、スクーリングのため学習センターを各都道府県に少なくとも1か所設置し、専任の指導教官をおくとともに、指導者および施設等に関して既存の大学の協力を求めることとする。

スクーリングは、放送による教育だけではじゅうぶんその目的を達成することができない演習、実験・実習を行なうとともに、教師と学生あるいは学生どおしの触れ合いをとおして互いに連帯感を育て、学問的刺激を得る機会とすることを主たる目的とする。

演習、実験・実習を行なう必修スクーリングは、単位を取得するためにはその出席が要求されるものである。既に述べたように、演習、実験・実習は放送とスクーリングによる授業が並行して進められることが望ましいので、必修スクーリングは日曜日等を利用するなど年間に分散して行なうことを原則とし、一部集中して行なうことも考慮する。

自由スクーリングは質疑応答、放送講師等による特別講義および特別演習、学習センターにおける学生の自習等がその内容になると考えられ、学生は自由に出席できるものとする。

スクーリングは全国各地で行なうこととする。その実施にあたっては既存の大学の協力を求めるくふうと努力をする必要があり、その協力のもとに学習センターを各都道府県に少なくとも1か所設置する。学習センターには演習室、視聴覚設備を備えたライブラリー、実験・実習設備等が必要である。

また、スクーリングの実施にあたっては、放送とスクーリングの有機的結合を図り、きめ細かい学習指導が行なえる指導者を確保することが必要である。

(3) 単位の認定方法

講義科目については学期終了後、所定の場所で単位認定試験を行ない、演習、実験・実習科目についてはスクーリングのなかで認定する。

放送大学を成功させるためには、社会的に高い評価を得ることが必要であり、真に実力のある卒業生を出さなければならない。このため、放送大学においては厳密な試験によって単位認定を行なうこととする。なお、所定の期日の試験に仕事等の関係で出席できない学生がいると思われるので、同一科目につき何回かの受験の機会を設けることを考慮する。

演習、実験・実習科目については教師と学生が直接接触するスクーリングにおいて評価を行なうこととする。

原則として、演習、実験・実習を伴わない授業科目については、少なくとも1回リポートの提出を求めることとする。リポートは受講生が学習を継続できるかどうかを判定する資料にするとともに、それを評価し、単位認定試験と合わせて授業科目の成績評価を行なうことなどが考えられる。

(4) 卒業するために必要な要件

放送大学を卒業するために必要な単位数は124単位とし、最短在学年数を4年とする。1学期は15週とし、年間3学期制とする。4年間で卒業するためには1日約2時間の放送視聴と年間10日~19日の必修スクーリングおよび単位認定試験への出席が必要となる。

放送大学における卒業に必要な単位数は一応現行の基準に即して124単位とする。最短在学年数は4年とするが、それ以上何年かかっても所定の単位を取得すれば卒業を認める。

1日の放送視聴時間を勤労青年等にとって無理のないものとするためには、年間の授業日数を多くする必要がある。1年52週のなかから、学生の登録、単位認定、卒業などの事務や単位認定試験等に要する日数(7週間)を除き、1学期15週の3学期制をとることとする。

以上のことを前提として試算すると4年間で卒業するために必要な放送視聴時間および必修スクーリング、単位認定試験への出席日数は次のとおりとする。

〔授業時間の内訳〕

Aコース(実験・実習を伴わないもの)

  卒業までに必要な授業時間数 1年間の授業時間数 放  送 スクーリング 単位認定試験1年間(出席日数)
1学期
(1年間÷3)
1週間
(1学期÷15)
1日
(1週間÷6)
1年間 年間出席日数
講義 108単位
1,620時間
405時間 135時間 9.0時間   ― ― 29時間
(6日)
外国語 8単位
240時間
60 20 1.4 ― ―
演習 8単位
240時間
60
(放送30
スクーリング30)
10 0.7 30時間 4日 ―
計 124単位
2,100時間
525 165 11.0 ≒2時間 30 10日

Bコース(実験・実習を伴うもの)

  卒業までに必要な授業時間数 1年間の授業時間数 放  送 スクーリング 単位認定試験1年間(出席日数)
1学期
(1年間÷3)
1週間
(1学期÷15)
1日
(1週間÷6)
1年間 年間出席日数
講義 100単位
1,500時間
375時間 125時間 8.3時間   ― ― 27時間
(6日)
外国語 8単位
240時間
60 20 1.4 ― ―
演習 4単位
120時間
30
(放送15
スクーリング15)
5 0.4 15時間 13日 ―
実験実習 12単位
540時間
135
(放送45
スクーリング90)
15 1.0 90 ―
計 124単位
2,400時間
600 165 11.0 ≒2時間 105 19日

注:上記の表は次の①~③に基づいて試算したものである。

① 必修スクーリングを必要とする授業科目数は、コースによって異なるが、その合計単位数を最低8単位、最高16単位とする。スクーリング時間の最も少ないAコース(実験・実習を伴わないもの)と最も多いBコース(実験・実習を伴うもの)の授業科目を下表のように設定する。

  Aコース Bコース
講義(一般・専門教育科目) 108単位 100単位
外国語 8 8
演習 8 4
実験・実習 0 12

② スクーリング1日の学習時間を8時間程度とする。

③ 講義および外国語についての単位認定試験には、1単位につき1時間を要するものとする。

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5 放送大学における教育内容

(1) 教育内容についての基本的な考え方

急激に変化する社会に適切に対応できる人間を育成するため、従来の学部、学科等のわくにとらわれることなく、総合的かつ弾力的な新しい教育課程を構成する。

近年の技術革新の急激な進展にともない、社会の変化は著しく、知識・技術はたえず更新を迫られている。このような急速な社会の進展に適応できる人間は狭い専門領域だけに精通するのではなく、基礎的な素養(基礎的な知識と学問的方法論)を確実に身につけた人間、ことばをかえていえば専門の立場を広い視野から検討できる能力が要求される。このため、放送大学では、各専門の学問的方法論に基礎をおきながらも専門の複合、あるいは専門の総合をめざし、一般教育のあり方を根本的に改善するとともに、既成の学部、学科のわくにとらわれずにそれぞれの教育目的に即して、適切な授業科目を組織できる弾力性をもった教育課程を構成する。

このような教育課程は、正規の大学であるとともに生涯教育の観点から広く社会人、職業人に対する知識、情報の提供という役割をもつ放送大学にとって適切なものということができよう。

(2) 教育課程の編成

放送大学の教育課程の基礎となるものとして、工学系、理学系、社会科学系、人文科学系等の系をおく。専門教育科目については、各系の中および二つ以上の系にまたがって、相互に関連をもつ授業科目12単位を組み合わせた多様なセットを設け、さらにそのセットを適切に組み合わせることによって多様なコースを用意する。

放送大学における系は強いて言えば従来の学部に相当するものであるが、学部ほど相互の独立性の強いものではなく、学問分野ごとのゆるやかなまとまりを意味するものである。

それぞれの系には、専門教育科目についていくつかの基本コースをおく。さらに、教育課程に柔軟性をもたせるため、この基本コースのほかに、授業科目をさまざまに組み合わせた多様なコースを用意する。その組み合わせは、一つの系のなかだけで行なうばかりでなく、系をこえて編成する場合もある。

しかし、このことは授業科目を単に寄せ集めるような組み合わせを認めるのではない。組み合わされた授業科目群はなんらかの意味で組織化され統合化されていなければならない。そのため、あるまとまりをもつ授業科目群をセットに組み、そのセットを組み合わせることによってコースを編成する。このようにセットを設けることによって、学生がそれぞれ自己の希望に即してどの授業科目を選び、どのようなコースをとるべきかの判断を容易にすることができる。

セットは通常12単位分の授業科目によって構成される。セットは一つの課題を多角的に考究するために関連する専門分野の授業科目を組み合わせることもあるし、また、一定の専門分野を段階をおって進めていくために授業科目を組み合わせることもある。これにより、断片的な学習の弊を除き、まとまりのある構造としての専門科目の学習が可能になるとともに、従来その不足が指摘されていた各専門の境界領域の分野に関する教育も充実させることができると考えられる。

(3) 放送大学における授業科目

放送大学の授業科目は一応現行の大学設置基準にもとづき、一般教育科目、外国語科目、保健体育科目および専門教育科目に分ける。

一般教育科目としては人文科学系列、社会科学系列、自然科学系列各16単位の授業科目をおく。外国語科目は3科目各8単位、専門教育科目としては各コース共通の数学科目12単位、専門基礎科目70単位、および各系列の専門教育科目36単位以上をおき、そのほか保健体育科目4単位をおく。

一般教育科目については、その本来の目的が見失われがちで今日各方面から批判されており、そのあり方について改善が望まれている。放送大学における一般教育科目は単に入門や概論といった内容とするのではなく、特定のテーマや地域・時代に限定するなど重要な基本的項目についてそれを掘り下げ、しかも多角的に追究する方法をとることにより学生が自己の課題を分析し、それを解決する能力を養うこととする。

また、これからの社会人にとって数学の素養は欠くことのできないものとなってきているので、放送大学においては数学をいかなるコースへ進むものにとっても必須のものとする。

専門基礎科目は、人文科学、社会科学、自然科学それぞれの基礎的知識および学問的方法論をじゅうぶん身につけることを目的とする。

系別の専門教育科目は各基本コースに36単位ずつおき、専門分野について総合的かつ掘り下げた教育を行なう。テレビ、ラジオとも1日18時間放送を実施する場合、基本コースは各系にわたり合計15コースをおくことができる。

なお、どのような授業科目をおき、それらをどのようなセットに構成し、かつコースを編成するかについては、今後社会の需要、国民の要望等をじゅうぶん見きわめたうえ、具体的に検討をすすめることとする。

(4) 放送大学における履修方法

卒業をめざす学生は大学に4年(12学期)以上在学し、次に示す方法により124単位以上を修得しなければならない。

① 一般教育科目については人文科学、社会科学、自然科学の3系列からそれぞれ12単位合計36単位。

② 外国語科目については一つの外国語の科目8単位。

③ 保健体育科目については講義および実技4単位。

④ 専門教育科目のうち、各コース共通に数学科目12単位。ただし、コースの性質上特に認められる場合はこれを4単位とすることができる。その場合は他の専門教育科目8単位を別に修得しなければならない。

⑤ 専門教育科目のうち、専門基礎科目から2セット24単位。

⑥ 系別の専門教育科目については3セット36単位。

このほか学習目的にとって適切と考えられる専門教育科目を4単位修得する。

放送大学における一般教育科目は(3)で述べたように、基礎的なものに限定されるものではなく、高度の内容をも含むものであり、また、常に広い視野をもちつつ専門の分野を学習するという意味からもこれまで多くの大学で一般的に行なわれているように前期に集中してそれを学ぶよりも、4年間を通じて学習を進めるほうが効果的であると考えられる。外国語および専門教育科目の数学と専門基礎科目はいずれも専門の学習の基礎となるものなので、なるべく早い時期に履修しておくことが望ましいと思われる。

系別の専門教育科目については学生の専門への意欲に応える意味からも、入学年次からの履修を認める。また、数多く設けられたセットのなかからどのセットを選んで履修すべきかについては、学生の希望を生かしつつ体系的な学習ができるようにガイダンスを行なうこととする。

授業科目の年次別履修については、次図に示す方法を標準とする。

学年 一
般
教
育
(保健体育を含む)
系 別 専 門 教 育
4  
3 外
国
語
 
2 数

学
専門
基礎
教育
 
1

(図は原本の図を表形式で再現したもの。網掛け部分が系別専門教育)

(5) 放送大学における放送の編成

放送大学における放送はテレビ、ラジオいずれも月曜から土曜までの早朝から夜間にわたる時間帯において行なう。夜間および早朝には各専門コース共通の一般教育科目(48単位)、外国語(24単位)、保健体育科目(2単位)、数学科目(12単位)、専門基礎科目(70単位)および系別専門科目(4基本コース144単位)を放送する。昼間の時間帯は各系別の専門教育科目(11基本コース396単位)の放送を行なう。また、週日の午後の一部の時間帯および日曜は大学院レベルの番組の放送を行なう。

放送大学の主要な対象である勤労青年および職業に従事している社会人の視聴に最も適した時間帯は、夜間および早朝であると思われる。このことを考慮し、各コースに共通な一般教育科目、外国語科目、保健体育科目、数学科目および専門基礎科目は夜間の時間帯に放送することとする。さらに系別の専門教育科目(4基本コース144単位)を夜間および早朝の時間帯に放送する。この四つの基本コースは多くの人々の要望に応え得る内容のものが望ましいので、たとえば理工学総合コース、人文社会科学総合コースのような幅広い内容を備えたものが適当であると考えられる。これにより、夜間あるいは夜間と早朝の放送を視聴するだけで所定の単位を履修し、放送大学を卒業することが可能となる。

また、主婦、新規高校卒業者等昼間の時間帯を利用できる場合は、昼間の放送により、系別専門科目を学習し、さらに夜間の共通科目を視聴すれば、卒業に必要な単位を履修できる。

次に、大学院(修士課程)の設置は放送大学をより充実したものにするためにも、また生涯教育に資するより高いレベルでの大学教育の開放という意味からも必要と思われる。しかし、修士課程は施設においても指導者の面でもじゅうぶんな用意が必要である。したがって、当面は単位認定を行なわず大学院レベルという形で、新しく高度な内容の講座番組を放送することにする。放送大学の最初の卒業生が出る時点には正規の大学院(修士課程)が設置できるようにすることが望ましい。また、その間、現職教員の再教育のための専攻科(1年課程)を設けることも考慮すべきであろう。

次の図はテレビ、ラジオとも1日18時間放送を実施する場合の放送編成の一例である。なお、この編成表は完成年次のものであってそれまでの年次においては、再放送を行なうことができる。また、完成年次以降においても、再放送を行なうことにつとめる。さらに、ビデオカセット等を活用することによって、放送講義の視聴を容易にすることを考慮する。

放送編成表試案

時刻 月 ~ 土 日
午前 6:00 基本コース 2 (72) 大
学
院
レ
ベ
ル
の
番
組
7:30 基本コース 11 (396)
(午前7:30~午後3:45)
午後 3:45 大学院レベルの番組
6:45
~12:00
(共通)
一般教育
(48)
外国語
(24)
保健体育
(2)
数学
(12)
専門基礎
(70)
基本コース 2
(72)

注1 この編成表はテレビとラジオに共通のものである。

 2 放送講義については1時限45分とする。

 3 ( )内の数字は単位数を示す。

(表は原本の図を表形式で再現したもの。時刻は原本の目盛りによる)

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6 放送大学の設立形態および運営組織

放送大学の設立形態については、国立大学の方式と公的性格をもつ新しい形態の法人による方式の二つが考えられる。

この選択については、放送大学が責任ある管理運営の体制を確立すること、優秀な教職員を確保すること、大学の閉鎖性を排除し、広く社会の声を反映させること、財政の安定、会計経理の合理化を図ること等の観点から慎重に検討し、放送大学が真に有用な高等教育機関として活動できる設立形態が考えられなければならない。

大学の運営については、教育、研究と管理との機能的分化を図る。さらに、放送大学における諸活動の特殊性をじゅうぶん考慮し、独自の新しい組織を編成する。これによって、各部局それぞれの責任体制を明確にするとともに、部局間相互の有機的な連けいを図り、効率のよい運営ができるようにする。

中央教育審議会の「高等教育の改革に関する基本構想(中間報告)」は、国・公立大学の設置形態およびその運営に関する問題の解決の方向として、(1)現行の設置形態を改め、一定額の公費の援助を受けて自主的に運営し、それに伴う責任を直接負担する公的な性格をもつ新しい形態の法人とする。(2)国・公立大学の形態をたもち、大学の管理運営の責任体制を確立するとともに、設置者との関係を明確化するため、大学の管理組織に抜本的な改善を加える、の二つの方法を示している。

この報告からもよみとれるように、今後国立大学に対して抜本的な改善が加えられることが予想される。したがって、放送大学が国立大学の方式をとるにしても、従来の体制をそのまま踏襲することなく新しい形態のものとなるべきである。また、新しい形態の公の法人とする場合においても、既存の特別法人の形態にとらわれず、放送大学の特殊性にかんがみて、独自の形態を検討すべきである。

理事会、評議会および教授会等については、設立形態と関連させて、それらのあり方を今後検討しなければならない。その場合、教育、研究と管理との機能的な役割分担を明確にし、意思決定手続の合理化等が図られねばならない。

放送大学の設立の形態がどのような方式をとるにしても、管理組織として、次に示す部局は基本的に必要なものと考えられる。このうち、放送技術担当部局は、後述の放送の実施方法との関係によって、そのあり方が吟味されなければならないが、一応大学の管理組織の中に位置づけておく。

学 長
(副学長)
  • ―A 系(教育、研究、カリキュラム編成、放送講義など)
  • ―B 〃(  〃  )
  • ―C 〃(  〃  )
  • ―D 〃(  〃  )
  • ―E 〃(  〃  )
  • ―学習センター担当局(学習センターの管理・整備など)
  • ―研究・協力担当局(教育工学・放送制作・評価方法等の研究、放送講義への協力など)
  • ―調査・企画担当局(放送大学に関する必要な各種の調査、全体的計画への助言など)
  • ―放送技術担当局(放送番組の制作技術、放送施設・設備の保守・管理など)
  • ―事務局(庶務、会計、教務、出版など)

系ごとの部局、学習センターを統括する部局、放送技術担当部局および事務関係部局のほか、教育工学、評価方法、コンピューターの活用等に関する研究、開発を行なうとともに放送番組の制作に協力するための部局をおく。また、教育効果や放送大学に対する世論の動向をはあくするとともに、進展する社会のなかでの放送大学の役割をたえず吟味し、全体的計画への助言を行なう部局を設ける。

放送大学の教員組織は、学問と社会の進展に適応できる柔軟性のあるものにする必要があり、特に各系の間ではじゅうぶんな交流が行なわれなければならない。大学本部には客員教授、専任教授、専任助手をおき、学習センターには専任および兼任の指導教官をおく。教員はそれぞれの専攻分野により、当該の系に所属し教育、研究を行なう。

客員教授は各学問分野の権威者を招へいする。必要によっては海外からその人材を求めることも考えられよう。客員教授は放送講義を担当する。専任教授は教育課程の編成、放送講義、学習センターに対する指導助言等を担当する。専任助手は客員教授および専任教授をたすける。学習センターにおける兼任指導教官は、本部の専任教授と密接な連絡のもとにスクーリングを担当する。専任指導教官は兼任指導教官をたすけ、スクーリングを担当する。

なお放送大学の教員スタッフについては任期制の採用を考慮する。

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7 放送の実施方法

放送大学の主たる教育手段である放送の実施については、放送大学が意図する教育がじゅうぶんに実現しうる放送の体制を確立すべきである。

放送の実施方法としては、放送局の免許を放送大学に与える方式と放送事業体に与える方式に分けられ、それぞれにつき、放送設備の建設・保守、放送番組の編集、制作、放送局の運用等についていくつかの形態が考えられる。

放送の実施にあたって、いずれの方式をとるかは今後に残された問題であるが、いずれにしても、放送大学の意図する教育がじゅうぶん実現しうることを第一義にして新しい構想のもとに検討をすすめるべきである。

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放送大学準備調査会の審議経過

放送大学準備調査会は、放送大学の設立についての構想をまとめるため、昭和44年11月以来審議を行なってきたが、昭和45年7月24日の報告書提出に至る審議経過は次のとおりである。

年月日 会議の種類 議事主題
44.11.11 準備調査会(第1回) 検討事項、審議方針の決定
11.18 〃  (第2回) 放送大学の目的および対象について
12. 4 〃  (第3回) 通信制大学の実情について
12.12 〃  (第4回) 放送大学の教育方法について
12.23 〃  (第5回) 〃
45. 1.13 〃  (第6回) 〃
1.23 同小委員会(第1回) 〃 (放送大学の教育における放送の位置づけについて)
2. 5 〃  (第2回) 〃
2.13 〃  (第3回) 〃 (小委員会報告①の作成)
2.17 準備調査会(第7回) 教育方法に関する小委員会報告①について
2.27 同小委員会(第4回) 放送大学の教育方法について(スクーリングのあり方について)
3. 7 〃  (第5回) 〃
3.12 〃  (第6回) 〃 (小委員会報告②の作成)
3.17 準備調査会(第8回) 教育方法に関する小委員会報告②について
4. 3 〃  (第9回) 放送大学の入学資格について
4.17 〃  (第10回) 教育方法としてのリポートの必要性について
5. 1 準備調査会(第11回) 放送大学の教育内容について(学識経験者の意見聴取)
5. 7 同小委員会(第7回) 放送大学の教育内容について(基本的な考え方について)
5.16 〃  (第8回) 〃 (具体的な内容について)
5.27 〃  (第9回) 〃 (小委員会報告の作成)
6. 3 準備調査会(第12回) 教育内容に関する小委員会報告について
6.11 同小委員会(第10回) 放送大学の組織および大学院レベル番組について
6.19 準備調査会(第13回) 放送大学の組織および大学院レベル番組について
6.30 〃  (第14回) 放送大学の設立主体および放送実施主体について
7.16 〃  (第15回) 報告書の作成について
7.17 同小委員会(第11回) 報告書の修正
7.24 準備調査会(第16回) 「放送大学の設立について(報告)」について

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放送大学準備調査会委員名簿

  氏 名 現 職
会長 松方三郎 電通取締役
委員 網島 毅 住友スリーエム社長
〃 有田一寿 日本クラウン社長
〃 大野勝三 FM東京社長
〃 大羽弘道 聖書学園中学・高校長
〃 大森幸男 日本新聞協会総務部長
〃 岡田幸雄 電気通信大学教授
〃 川上行蔵 NHK放送総局長
〃 小塚新一郎 国立教育会館長
〃 斉藤 正 国立劇場理事長
〃 清水 司 早稲田大学理工学部教授
〃 末武国弘 東京工業大学工学部教授
〃 曽山 皓 神奈川県教育委員会教育長
〃 多田 基 大月短期大学長
〃 谷口 修 東京工業大学工学部教授
〃 永松克己 日本女子大学通信教育部事務局長
〃 西本三十二 帝塚山学院大学長
〃 長谷慎一 日本通信協力社長
〃 波多野完治 お茶の水女子大学長
〃 吉村 正 東海大学政経学部教授

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社会教育審議会「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について(答申)」 - 1969年3月29日

出典:社会教育審議会「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について(答申)」1969年3月29日(国立公文書館所蔵「放送大学 自昭和44年10月」(請求番号:平28文科00259100)所収)

 

映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について

(答 申)

昭和44年3月29日

社会教育審議会

第1章 放送の教育的役割

1 教育の拡大と放送利用の必要性

わが国は、科学技術の進歩と産業経済の発展によって引き起こされた急激な社会構造の変動に当面している。これに伴って国民の間に教育を受けようとする要望がこれまでになく高まってきており、また、教育の内容は、量的にも質的にも急速に拡充されていく傾向にある。すなわち、わが国の教育は、現在、教育人口と教育内容の二つの面から拡大を余儀なくされているのである。

これを学校教育についてみると、まず注目されるのは上級学校への進学率が年を追って高くなってきていることである。戦後、義務教育は3か年延長されて中学校教育がその中に含まれることになったが、中学校を卒業して高等学校、高等専門学校に進学するものの率は年々上昇を続け、昭和43年には76.7%に達するに至った。しかも、この進学率の上昇は、今後も続くことが予想されるので、ほとんどの青年が義務教育なみに高等学校の課程を履修する時代がくるのも遠くないと考えられる。高等教育においては、教育人口の増大の現象がいっそう顕著にうかがえる。昭和初期には同年齢人口のわずか3%程度のものが大学に学んだにすぎなかったが、昭和43年には大学、短期大学等の高等教育機関に在籍するものの率が19%を越え、その実数は150万人を数えるに至っている。この傾向が続くとするならば、この数字も今後十数年のうちに倍加されることが見込まれる。

このように教育人口が急速に増大していくとともに、一方では、教育の内容もしだいに拡充されている。すなわち、学術の進歩と普及が学校教育に反映して、その内容を高度化する傾向をもたらすのである。中学校や高等学校の教育の内容がどのように拡充しているかをみてもこのことは明らかである。高等教育において、教育内容の拡大がいっそう強く要請されていることはいうまでもない。今日の学校は、より多くの学生、生徒を対象にして、より高度の内容を教育することを要請されているのである。

一方、社会教育の分野においても、人々の教育に対する要望は漸次高まってきている。現代社会の基本的な性格の一つは、高度の産業社会であり、その中で科学技術の発展がたえず行なわれている点にある。この産業社会に生きるためには、高度の創造性、情報受容能力、変化への適応性等を要求され、職業生活の面でも、伝統の中に安住していることはけっして許されない。すでに職業についているものもたえず学習し直さなければならないのである。

また、産業社会の発展に伴い都市化現象が顕著となり、これが地域社会の精神的結合の崩壊や人間疎外をもたらしやすいことが指摘されている。そうした社会状況の中で豊かな人間性の実現を図ることは、これからの社会に生きるものの重大な課題であって、ここにも社会人の学習が強調されなければならない大きな原因がある。

かくして現代は好むと好まざるとにかかわらず、すべての人々にとって生涯を通じて絶え間ない教育が必要となりつつあり、その内容もまた専門化、高度化していく傾向にある。

しかも現代社会は、技術革新の進展によって労働時間がしだいに短縮され、適当なレクリエーションを行なってもなお時間の余裕を残しうる時代にはいりつつある。このことは、社会の各方面で行なわれる教育活動に対する需要がますます大きくなっていくことを示唆している。いわば、今後は、社会全体が大きな教室となって、人々はその中でそれぞれ必要とする教育を形式ばらないで気軽に受けられるようになることが望まれるのである。

このように今日の教育は、学校教育および社会教育の両面にわたって教育の拡大という重大な課題に当面している。これに対処するためには、学校や社会教育施設等の拡充整備を図るとともに、その機能をいっそう充実向上させることが必要であることはいうまでもない。しかし、これだけで課題の完全な解決を期待することはむずかしい。たとえば、大学の建物を増設することは不可能ではないにしても、それにふさわしい教授陣容を整えることはけっして容易なことではない。また、従来の社会教育の施設や学習の機会をいかに量的に拡充しても、それだけで新しい社会教育の要請にこたえうるものではない。今日の教育の拡大には、単に量的な面からの努力だけでは対処しきれないものが残るのである。

より多くの人々の教育要求に応じ、しかもより高度で専門的な内容について有効適切な教育を実現するためには、新しい角度から教育の媒体にくふうをこらし、教育の方法を改善することがきわめて重要となってくる。すなわち、新しい媒体を活用して教育の機会を拡大し、だれでもどこでも教育を受けやすくするとともに、教育の過程を質的に充実させて一つ一つの教育活動の効果をいっそう実り多いものにする必要がある。放送の利用は、このような課題を背景にして検討されなければならない。今日の教育の当面する課題が重大であるだけに、それを解決するための方法の改善の一環として、放送が重要な意義をもってくるのである。

2 教育媒体としての放送の機能

放送は、教育方法を改善するうえにどのような役割を果たすことができるか。また、放送は、これを教育媒体としてみた場合にどのような機能を発揮するかということを、今日の教育の課題を念頭におきながら考察してみよう。

なお、「放送」は、放送法によれば「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」に限られているが、この答申ではそのほかに、多数の特定対象に向けて行なわれる無線通信や有線通信の送信も便宜上その中に含めることとする。

放送の基本的な機能は、電波等によって、さまざまな知的情報や情緒的な意味内容を音声や映像の形で広く伝達することにある。電波等によって、また音声や映像の形で行なわれる伝達であるために、放送には従来の伝達手段には見られないいくつかの特性があげられる。まず、マス・コミュニケーションとしての放送の特性を、個人的コミュニケーションと比較してみると、次のことがらがあげられる。

(1) 広範性

個人的コミュニケーションの相手は限られた小数であるが、放送の対象は広範に及ぶ。すなわち、同一の情報を同時に多数の人々にむけて伝達することができる。受け手に学習要求がある場合には、これはきわめて大きな力を発揮する。放送によると、数百万、数千万の人々をも教育することが可能であって、教育の対象を著しく拡大することができる。

(2) 一方向性

対話などによる個人的コミュニケーションは、情報の送り手と受け手が直接に対面して行なわれるので、たえず相手の反応を見届けながらそれに応じて情報を送ることができるが、放送は、その場では受け手の反応は得られない。このため放送の伝達は、相手がどのように反応しようと送り手の考えどおりに一方向的に送られていく。これは放送の弱点の一つであって、放送が教育媒体として有効に利用されるためには、今後、視聴するものの反応を送り手に伝える方法を開発し、この弱点を補うよう努めなくてはならない。

(3) 機械性

個人的コミュニケーションは、人間と人間との直接の触れ合いであるが、放送は、機械を仲介とし電気的手段を通じての伝達であることから、観念的に放送は間接的なものと感じられている。しかし、日常生活の中でラジオ、テレビを通して種々の情報をうるとともに、思考することを身につけつつある青少年に対し、放送の機械性は、個人的コミュニケーションに比べてマイナスのみとはいえず、なんらかの質の違ったものをもつことが想定されるのである。

以上のように放送と個人的コミュニケーションとを比べてみると、教育の媒体として後者が絶対に有利だというわけではない。いままでの伝統的教授法とテレビによる講義とを比較した約1,000余りの実験的研究では、その3割は統計的な有意差をもってテレビがすぐれ、4割は統計的有意差がないとの結論を得ている。

次に、これまで最も有力なマスメディアとされてきた印刷媒体に比較してみると、放送による伝達には次のような特性があげられる。

(4) 即時性

印刷媒体は、受け手にわたるまでに輸送を必要とするので、距離や地形に左右され、伝達に時間がかかる。これに対して、電波によって行なわれる放送の伝達は、距離や地形などを大幅に克服して、広い地域に対して即時に放送内容を伝えることができる。このことにより、放送は最も新しい情報を多くの人々に対して提供できる。

(5) 感覚性、具体性

印刷媒体が文字および写真・絵画等動かない画像によって情報を伝えるのに対して、放送は音声や動く映像によって情報を伝える。この意味で、放送による伝達は、感覚的であり具体的であるといえる。この特性によって放送は、音声や運動のように印刷媒体では伝えにくい情報をそのままの形で容易に伝達するので、情報分野を著しく拡大するとともに、広い年齢層をおおってそれぞれに必要な情報を提供することができる。

(6) 一過性

印刷媒体がいつまでも保存でき、いつでも必要に応じて利用できるのに対して、放送は定められた日時に一方的に送られてきて、そのまま消えていってしまう。これは、教育の媒体として利用するうえには不便であって、放送の短所とされる点である。しかし、最近、録音や録画が比較的簡単にできるようになった。将来は、録音、録画がいっそう容易になり、家庭においてもラジオの録音はもちろん、テレビも録画によって時間的制約を越えて利用できるようになると考えられる。

(7) 情感性

放送による伝達は、即時性や感覚性によって引き起こされる臨場感とか現実感とかを伴うので、視聴するものの情感に強く働きかけるものがある。これは、まず冷静に文字を追っていきそこから知的に意味をくみとるという印刷媒体に対する接し方とは、相当趣を異にしている。このように情緒的なものに左右されやすいことは放送のもつ一面の弱点でもあるが、しかし、これを積極的に活用すれば心情や態度の形成に役だたせることができる。

以上は、個人的コミュニケーションと印刷媒体に比較して指摘される放送の特性である。この中にすでに教育媒体としての放送の機能が明らかにされていると考えられるが、さらに角度を変えて考察すると、これまでに述べられた特性を駆使することによって、放送は、次のような教育的機能を果たすことができると考えられる。

(1) 教育活動の拡大

その一つは、放送が動く映像や音声等を即時に広範な地域に伝達する特性をもつことと、録音・録画技術の進歩が自由な時間での放送の聴視を可能にすることから、すぐれた教育活動を空間的にも時間的にも拡大することである。すなわち、著名な学者の講演やすぐれた教師の授業を放送を通じて広く公開し、多くの人がこれに接することができるようにするのである。これによって学習の機会は大幅に拡大され、しかも人々は、価値の高いすぐれた内容の知識、情報に接することができるのである。これは、教育の機会を拡充するうえできわめて大きい意味をもつといえよう。

(2) 放送教材の提供

次には、放送の伝達の即時性、感覚性、情感性等を総合的に活用して、教育価値に富んだ新しい形の教材すなわち放送教材を作成して、これを教育の場に提供することである。すでに学校放送の分野においては、最も新しい資料を教室に提供しようとする番組、話し合いや練習を促すための模範を提示する番組、教室では経験することがむずかしい事物や現象を容易に観察させる番組、生徒の情緒に働きかけて心情の陶冶や態度の形成を促そうとする番組など、放送の特性を生かした教材の領域が開拓されつつある。さらに将来は学校放送だけでなく、教育のあらゆる分野にわたって教育効果の大きい放送教材が作成され、それが広く利用されるようになることが望まれる。

(3) 教育の機会均等の実現

第3には、放送による教育の機会均等の実現である。これまで地域的、文化的、経済的な理由によって教育の機会に恵まれなかった分野に対して、放送は、教育の機会を均等にしうる機能をもっている。すでに、へき地教育において放送は著しい実績を示しているが、今後、これを計画的に活用することによって、あらゆる分野における教育の機会均等を達成しなければならない。

このように、教育媒体としての放送の機能にはきわめて広く、かつ大きな可能性が見いだされる。初めに考察したように、今日の教育が当面している課題を念頭におくとき、放送のもつこれらの教育機能は、教育の課題の解決のために最大限に活用されなければならない。

3 教育専門放送の充実

放送は、その歴史が比較的新しいにもかかわらず、すでに国民生活の中に広く深く浸透している。わが国では、ラジオによる放送事業が発足してから40年、テレビ放送が始まってから15年を経過したにすぎないが、テレビについて見ても、電波のカバレージは全国世帯の95.5%に達し、受信機は全国世帯の85.6%に普及するに至っている。

一方、番組の視聴状況をみると、国民の90%余りが平日約3時間テレビを見、また国民の20%が平日2時間余りラジオを聞いている。このように放送の聴視は、他の情報摂取の活動に比べて時間量が著しく大きいばかりでなく、それが国民の各層の間に広く浸透している点に著しい特色がある。これらの事実から、今日では放送を欠いた国民の日常生活は考えられないといっても過言ではなく、放送が人々の生活にきわめて大きい影響を与えていることがうかがわれる。

しかし、放送がどのような形で国民に受け入れられているかについては、必ずしも問題がないわけではない。放送のもついくつかの機能のうちで最も一般的なのは、いうまでもなく娯楽機能である。前にあげた国民の放送視聴の時間量も、その大部分は娯楽番組に向けられているとみられる。しかも、受け身的な娯楽源としてのテレビに満足している人々が少なくないように思われるのである。

放送の機能の中で、娯楽機能が重要な意味をもつことは疑う余地がない。この機能によって国民の日常生活は豊かさを増し、特にこれまで娯楽源の乏しかった農山村やへき地の住民にも幅広い娯楽が提供されるようになったことには大きな意義がある。

次に、放送のもつ報道機能は、速報性という点で他のマスメディアの追随を許さないところから、娯楽機能と並んで多くの人々に受け入れられている。人々がニュースを最初に知る情報源としては、新聞をはるかに越えて放送が第1位にあげられている。

これに対して放送の教育機能は、現状においてはけっしてじゅうぶんに認識されているとはいえない。これにはさまざまな理由があげられるであろう。放送の送り手のがわが、多数の視聴者をとらえようとすることから、放送の教育機能をじゅうぶんに発揮する内容をとりあげ得なかったという事情もあろうし、また、受け手のがわにも受信機の制約などによって、放送を教育に利用することが困難であった事情も考えられる。さらには、放送のもつ教育機能についての人々の関心が薄かったことも指摘される。しかし、放送は、利用態勢の整備という点からみればすでに著しい充実を示しており、また、その教育利用の必要性という点からも機運は熟している。したがって、放送の機能についての人々の認識をいちだんと高めるとともに、その教育利用を可能なところから積極的に推進することが望まれる。

第1に考えられるのは、現行の放送態勢における教育放送の充実である。娯楽番組の偏重の傾向に検討を加えるとともに、放送の公共性という立場から積極的に教育の中における放送の意義を明らかにし、進んで大学や教育委員会、公共職業訓練機関等の教育機関の協力を得るならば、教育放送は現態勢においても現状よりは大幅に充実することが可能である。

第2は新しい電波による教育専門放送の実施である。現行法では放送は、不特定の多数の者に提供されるものとされているが、電波事情の許す限り、この媒体を教育目的のためにある程度限られた人々に対して集中的に利用する道は、当然開かれてよい。すなわち、営利を経営の基盤としない教育専門の放送局を開設することである。これによって、放送の教育機能は最大限に発揮されることになる。

第3には、放送以外の電波を教育に利用できる態勢を確立することである。放送法による放送以外に、たとえば同報通信や特定地点間の映像通信のように電波を使用しての音声や映像の伝達がすでに行なわれているし、将来はこれがますます広く、かつ有効に行なわれることが考えられる。これらの伝達手段が教育に利用されるならば、一般の放送と同様に大きな教育効果をもつ。

第4には、有線を使用する閉回路(クローズド・サーキット)による音声や映像伝達の設備を設け、これを教育に活用することである。閉回路テレビは伝達が特定の対象に限られるが、その効果はテレビ放送に準ずるものがある。また、閉回路テレビによって築かれた施設設備や経験は、やがてテレビ放送が行なわれるときには貴重な基盤となるものである。

今日、教育の当面している課題の重要性と放送のもつ教育機能の大きいことを考え合わせるとき、現状において放送の教育機能の活用を図るとともに、将来に向かって教育専門放送への道を拡大することは、きわめて緊要なことといわなければならない。

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第2章 映像放送およびFM放送を活用すべき教育の諸領域と教育専門放送の役割

1 大学教育の拡大と教育放送のあり方

(1) 大学教育の拡充と放送の利用

① 教授活動の充実および効率化

国民の高等教育への要求にこたえ、かつ科学技術の不断の進展に対応するためには、大学はその教育人口を増大し、教育水準をいっそう高めていかなければならない。この課題に対処するため、大学は従来の教授方法を根本的に再検討する必要がある。すなわち、現在の教育の内容および方法をつねに改善する努力を続けなければ、急速に進展する社会の要請にこたえることができなくなるであろう。

近年、科学技術の進歩はさまざまな教育機器を開発しつつあるが、その機器が教授活動にとって適切なものであり、その活用によって指導の効率を高めることができるならば、大学はそれを積極的にとり入れるべきであろう。

FM放送やUHFテレビ放送、さらには閉回路テレビなどによって放送メディアが拡大している現在、放送のもつ機能をじゅうぶんに活用して大学の教授方法の改善を図ることは、大きな意義をもつものと考えられる。放送は、増大する学生に対して広く教授活動を展開するうえで、きわめて有効な媒体である。たとえば大教室に何百人もの学生を収容してマイクでいっせいに講義をしていた形態を、テレビで講義を送る放送授業の形態に変えれば、すぐれた教師の講義をより多くの学生に効果的に伝達することができる。また、録画技術を応用すれば、学生がくりかえし講義を視聴することもできる。このような放送授業と討論を主とした教室における授業とを適切に組み合わせることによって、密度の濃い、質の高い教授が可能となるものと考えられる。欧米ではすでにそれを実施している大学もある。一般化しつつある大学教育の拡充と強化のため、放送の利用を今後じゅうぶんに検討する必要がある。

学部や付置研究所などが離れて存在する大学では、教育、研究、管理などの面で、相互に通信する必要が多い。この場合、映像通信の方法を活用すれば、施設相互間のコミュニケーションが容易にしかも能率よく行なわれ、教授研究活動をいっそう能率的に行なうことができる。

このように放送の活用によって教授の効率を高めることができるならば、これにより、学生に対する個人指導と研究のための時間をより多く生みだすことも期待できよう。

② 大学相互間の提携および協力

学問の高度化に伴い、大学における研究活動は、今後さらに専門化と総合化の方向をたどるものと考えられる。これに伴い大学における教授研究活動を有効に進めるうえで、大学相互間の提携および協力がますます必要となってくることが予想される。こうした事態に対して、放送媒体はこれを実現する有力な手段の一つとなるであろう。

大学間の相互提携が実現すれば、それらの大学に学ぶ学生は、他の大学における最も高度な研究の成果をも享受することができる。また、大学における各専門分野の研究の状況・資料・成果などを、大学相互間で放送や映像通信を使って即時に交換して検討することができ、これによって研究の効率化を図ることができる。

(2) 大学開放と放送の利用

① 大学開放講座への放送の利用

人々の教育に対する要求は、社会が進歩発展するにつれてしだいに高度化、専門化していく。科学技術の進展が著しい今日の社会において、その現象が顕著にみられる。社会教育の分野においても、国民の学歴水準の高まりに対応し、すべての社会人が職業等に関する学習を継続してすすめなければならない状況になっており、その学習内容もまた高度化、専門化が要望されている。こうした社会の要請をみたすためには、大学のもつ学問的蓄積を社会に向けて開放することが強く要求されるようになる。

これまでも大学の開放は強く望まれていたが、これにこたえて開放講座を実施することは容易なことではなかった。放送の利用は、大学開放の実施を、少なくとも方法のうえで容易にする。そのうえ放送を利用することは、社会の要請にこたえて人々に必要な知識を提供するだけにとどまらず、放送によって、大学はその研究成果を広く社会へ提供し、社会での吟味をへてその結果が大学にフィードバックされる。この過程の中で大学の社会への貢献が行なわれるとともに、これによって学術の進歩も促進されることになるのである。すでに、大学開放講座を電波にのせる試みを行なっているところもみられる。さらに、開放講座だけでなく、大学の講義そのものを放送によって広く開放することも考えられてよい。

② 大学通信教育への放送の利用

通信教育によって大学教育を広く開放することは、戦後の新しい大学教育における教育方法のあり方として注目されているが、通信教育の充実向上のために放送が果たす役割は、きわめて大きいものがある。すでに大学通信教育のための放送は、NHKが大学と協力して実施しているものと大学が独自に民間放送を通じて実施しているものとがあるが、大学通信教育における放送の利用はまだ制度化されていない。

外国に先例をみると、アメリカでは、すでに29のカレッジや大学が単位を与える通信教育に放送を利用しており、イギリスにおいても、1971年の発足を目標にして「公開大学」(Open University)の開設計画を進めている。

わが国においても、各方面から放送による通信制大学の設立が要望されている。大学通信教育での放送利用は、今後の重要な検討事項の一つと考えられる。

通信教育に放送を利用すれば、教室での授業に近い形で指導を受けることができるので、指導書による学習だけでは期待し得なかった学習の効果をあげることができる。現在の通信施設では、学習者から大学へ直接反応を送ることはむずかしいが、近い将来、技術の開発に伴って相互の即時的通信の可能性もあるので、その効果についていっそうの期待がよせられる。

2 初等・中等教育の充実と教育放送のあり方

(1) 学校放送のあり方

① 学校放送の拡充の必要性

現在、NHKおよび民間放送の二つの放送系統を通じて、全国的な規模で実施されている学校放送の果たしている教育的意義は、きわめて大きいものがある。これらの学校放送は、幼稚園から高等学校までそれぞれの学校段階で、いくつかの教科や領域にわたって放送されているので、全体としての種類と分量は相当の量にのぼっている。しかし、これを利用するがわから校種別、学年別、教科・領域別に分けてみると、種類も量も必ずしもじゅうぶんであるとはいえない。そのうえ放送の時間的制約が利用上の障害となっているので、利用の便を期するためには繰り返し放送が必要であるし、さらに地域的な要求に応ずることも必要である。このためには、利用できる放送時間の絶対量をふやすことが重要な課題となってくる。

② 学校放送の全国性と地域性の関係

NHKおよび民間放送による学校放送は、大部分が全国中継されるものである。全国的規模で放送される番組の存在意義は高く評価されなければならないが、地域性に即した番組の意義も大きいものがあるので、両者が調和を保って存在することがきわめて望ましい。それを実現するために、教育委員会や学校がみずから放送番組を制作し放送することが考えられる。教師の手による教師の必要にこたえる放送である。

教育機関が運営する学校放送の例は、わが国においてもすでにいくつかみることができる。すなわち、超短波を利用し、管内の小中学校を対象にした学校放送番組や教師向けの現職教育番組などの放送をつづけている教育委員会の固定局がそれである。

教育機関が放送局をもつことは、既存の放送局が行なっている学校放送を否定するものではない。両者はそれぞれに特色を有するので、その特色を生かすことによって放送の効果をいっそう多彩にすることができる。さらに、このようにして同じ対象に向けての番組の数が多くなれば、各学校でその授業により適合したものを選択することができるようになる。

なお、現在NHKおよび民間放送においても、ローカル局で地域を対象とする学校教育番組が放送されているが、今後これをいっそう強化することが望まれる。

③ 新しい形の学校放送番組への期待

教育委員会が放送を行なう場合は、教育委員会の責任のもとに、その地域にある教科・領域別の研究団体を番組制作に参加させることも考えられよう。それによって、多くの教師が直接間接に制作に参画することになり、しぜんわれわれの放送という意識がもたれるようになって、放送利用に積極的になることも期待できる。

現在、放送教育に対する学校側の態度がとかく受動的になりがちであることが指摘されている。放送は、外から与えられる教材であるときめこんでしまうために、教師の研究は、与えられた放送をどのように利用するかという範囲にとどまりがちなのである。こうした態度を脱し、放送媒体を自己の教育活動に主体的に活用する構えを育てていくためにも、教師の番組制作への参加は大きな意義をもつといえよう。

(2) 現職教育の充実と放送利用

教育の内容、方法が急速に変わりつつある今日、教師の現職教育の必要性はますます大きくなってきている。これに果たす放送の役割もいっそう重要性を増しているといえよう。現在、組織的な現職教育の番組はNHKから放送されているが、現職教育を徹底するためには、学校種別や教科別、地域別などに分けて行なわなければならないことを考えると、その現状はじゅうぶんとはいえない。

一方、教育委員会が実施している現職教育は、主として研修会の形態をとっているがここにもいくつかの問題がある。すなわち、研修会に出席すれば授業に支障をきたすため出席する教師をごく一部の者に限定せざるを得ないこと、研修のために学校を離れる教師が少数であっても学校経営上支障をきたす場合があること、数多くの研修会すべてにすぐれた講師をあてることがむずかしいことなどをあげることができる。

こうした隘路を打開して現職教育を強力に推進するために、教育委員会は、教師の研修に放送を利用することを検討すべきであろう。もしこれが実現できれば、従来とってきた方法に加えて新しい形の研修が実現することになる。これによって、学校を舞台とする共同研修の可能性もでてくる。現職教育番組の制作にあたっては、大学との協力も考えられる。また、現職教員を対象とする大学の開放講座を期待することもできよう。

(3) 高等学校通信教育の拡充

昭和36年、広域の通信制高等学校の設置が認められてから、NHK学園高等学校をはじめ、放送を主要な教育手段とする通信制高等学校があいついで誕生した。これらの学校は、働きながら学ぶ青少年を対象に特色ある教育を展開し、放送がきわめて有効な教育媒体であることを実証している。高等学校の通信制課程にあっては、現在、ラジオ放送、テレビ放送の視聴により、必要な面接指導(スクーリング)や特別教育活動の時間数の6割まで免除が認められる等、教育手段としての放送の有効性が認識され制度化されている。しかし、このように、高等学校の通信教育における放送の役割が大きなものとなれば、それだけ、この分野における放送のあり方は、さらに検討され改善される必要がある。

たとえば通信教育のための放送は、番組をくりかえして放送したり、集中的に放送を行なったりすることが必要で、現在の番組や放送時間帯には改善を望まれる点がけっして少なくない。また、通信教育においては放送による教授、添削および面接指導の一貫性を保つことができれば、教育の効果をいっそう高めることができる。そのためには、個々の教育機関がみずからの放送を通信教育課程に活用することについても検討すべきであろう。

3 教養、文化、技術等教育専門放送の取り扱うべき放送領域

産業経済の進展とこれに伴う社会生活の変ぼうによって、国民の教育要求は年とともにしだいに高まりを示している。人々の求めている教育の内容や領域は、全体としては一般教養に関するものが多いが、それと同時に職業や生産に関する知識や技術を習得し、なおかつ、必要な資格を得たいと考えている者がひじょうに多くなってきている。さらに、市民生活や家庭の日常生活がいっそう高度化し、複雑の度を加えるにしたがい、生活に直接役だつ各種の知識や情報に対する需要も著しく高まっている。

また国民の教育要求は、すべての年齢層や職種にわたっていることと、内容や領域が多種多様であり、日常卑近の実用性に富むものから高度に専門的な水準のものまでひじょうに広い範囲に及んでいることとに特徴がある。

放送は、NHKおよび民間放送を通じて、国民のこのような欲求に応じて教養、文化、技術、その他広報伝達の領域にわたって、数多くの番組を提供している。

しかしながら、国民の生涯教育に対応する要求や多岐にわたる職業生活や消費生活の変化から生ずる必要は、年々増大の一途をたどっており、従来の放送の番組規模だけでは、これらの需要を満たしきれなくなりつつある。このような状況に対処するためには、番組の種類と分量の両面にわたってその絶対量を増大させることが必要であり、現行の番組の拡充、強化と並行して、現行の番組が扱っていないもので新しい必要に即応する内容や領域を、積極的に開発し充実していかなければならない。

特に現行の番組の多くが全国放送の形式をとっているため、番組内容の扱いが平均的になりやすく、特定の人々やそれぞれの地域の住民の必要に即応しきれない場合が少なくない。各種の専門的な番組や地域性に立脚したローカル番組の拡大、強化が特に要望されるゆえんである。

また、教養、文化、技術等に関する放送番組は、番組編成の全体からみて、放送の時間が特定の時間帯にかたよる傾向があり、このため、地域の住民が必要な番組を選択して聴視する機会を狭くし、聴視意欲を阻害する結果を生みやすい。

これらの隘路は、地域に立脚した教育専門放送の実現によって、大幅に緩和されることが期待できる。その場合、教養、文化、技術その他の分野にわたって、教育専門放送の取り扱うべき放送領域のおもなものとしては、次のようなものをあげることができる。

(1) 職業生活に関するもの

主要な産業に関する基本的な技術指導の番組のほか、たとえば、医学、建築その他特定の職業を対象とする専門的、職能的技術や知識を扱う番組が望まれる。特に地域の産業に関するものは、農業、商業、工業のいずれの分野についても、農業協同組合や商工会議所等の機関の協力による実益的な知識や情報のほか、地元大学によるか、または地元大学の協力による大学開放講座の形や大学の講義の一部を直接放送する等の方法により、高度に専門的な知識や技術を積極的に提供することができる。

また教育専門放送は、職業訓練にも大きな威力を発揮することができる。現在行なわれている職種別再訓練通信講座(受講者約2万人)に放送を利用することができるようになり、その訓練効果の向上と規模の拡大を図ることができる。さらに、職業訓練に放送を利用することによって、適格な職業訓練指導員が不足している事業内職業訓練の推進に役だち、また、公共職業訓練においても訓練内容の充実を図ることができる。

(2) 市民としての生活に関するもの

地方公共団体は、住民に対する広報活動をさまざまな形で行なっているが、放送を利用しての広報活動は、行政の各分野にわたるまでに至っていないし、情報量もけっして満足できるものではない。教育専門放送の拡充充実が実現すれば、行政全般と地域住民との間のコミュニケーションが、教育番組の増大と聴視に適した放送時間の確保とにより、いっそう緊密なものとなるであろう。

具体的な番組領域としては、選挙に関するけいもうのための広報等を含む市民生活の質的向上に資する各種の広報、教育委員会が主体となって提供する社会教育番組や教育関係の広報、警察・消防署などの公共機関による安全教育等に関する各種番組、公民館、図書館、博物館等の催し物や行事の広報等その範囲はきわめて広範である。

(3) 消費生活に関するもの

商品の表示や広告の利用法、商品テストの結果や新しい商品についての知識、生活設計の知識等合理的な消費生活を営むための知識を提供する番組が望まれる。また、地域の生産、流通、販売の各機関と提携し、生鮮食料品の市場への入荷の状況や価格の動き等についての情報をはじめとして、地域性に直結した各種の実用性に富む情報を提供することができる。これらの知識や情報は、一日の放送時間の随所に数多く反復して提供することが望ましい。

(4) 家庭内の教育および健康に関するもの

育児やこどものしつけ、また健康の維持、向上に役だつ番組として現在提供されている種類のほか、家庭と学校を結ぶ数多くのPTA番組や、保健所や公共の医療機関との提携による伝染病予防や健康増進のための番組等があげられる。

また、在宅の心身障害者に対する教育や心身障害者をもつ家庭に対する指導のための放送の充実を図ることが考えられる。

(5) 教養や趣味の涵養に関するもの

全国的な規模で放送される各種の一般教養の向上や、芸術的情操や趣味の涵養に役だつ番組と並んで、地域性に富む各種の教養および趣味の番組が考えられる。郷土史の研究家による郷土の歴史や民俗、風俗の紹介をはじめとして、人文、自然の広い範囲にわたってローカル色豊かな数多くの有益な番組を提供することができる。この際、上記の職業に関する番組でも触れたように、地元の大学との協力が有効であり、この分野での大学開放講座の編成も有意義であろう。

(6) 学級・講座、団体活動の普及奨励に関するもの

地域の各種の社会教育活動の計画に合わせた番組を編成し、放送することができる。すなわち、教育委員会や地元大学による、または教育委員会や地元大学の協力を得て、地域の婦人学級、家庭教育学級、青年学級、成人学校等の学級・講座による学習に直結する内容の番組や、公民館の諸活動や婦人会、青年団等の社会教育関係団体の活動や運営に役だつ番組を制作し、提供することができる。このほか地域の各種団体の諸行事を、団体の加盟者や関心のある人々に伝達することも有意義である。

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第3章 教育専門放送の実施方法

1 教育機関による教育専門放送の実施

第1章、第2章において、学校教育および社会教育の両面にわたって当面する課題とそれを解決するために、放送が大きな役割を果たしうることを展望してきた。教育専門放送の拡充を実現するためには、端的にいえば、教育機関がみずから非営利の放送局をもち、番組の制作、放送にあたることが望ましいということになろう。しかし、教育専門放送を実施するためには、今後、解決しなければならない問題が数多く残されている。さらに、教育専門放送を実施するにあたっては、その運営を適切に行なうため慎重な配慮が必要である。

教育機関による放送の導入は、単に知識や情報の量と方法を大きく変えるばかりではない。そのことが放送を利用する分野によっては、教育の制度や組織の再検討までせまることもありうる。また、教育機関による放送の実現までには、施設設備の整備、専門職員の養成などに相当の経費と準備を必要とするし、一方では電波事情という制約を受けることもあろう。こうした諸条件を考慮すると、教育機関が放送を使用してその活動を展開するまでの過程は、けっして一様ではないであろう。

教育機関が放送利用を推進するにあたっては、それぞれそのおかれた条件に対応した方法をとらなければならないが、今後に予想される放送の方式と経営の方式を、内外の事例を参考にしながら提示してみる。

アメリカの教育放送の歴史は、地域から始まって全国的規模へという方向に展開しているが、わが国の場合は、教育放送をとりまく諸条件の違いによって、独自の発展の道を進むことになろう。

これまでわが国では、教育関係者の、放送の教育的役割に対する認識が浅く、放送を自主的に活用して教育の当面する課題の解決を図るという意識が弱かった。したがって、教育の飛躍的な拡充という今日の課題にこたえるために、放送媒体の利用がいかに有効な方法であるかの認識をまず教育関係者の間に深めることが望まれる。そのことが、教育における放送利用を飛躍的に拡大する基本的な要因となるであろう。

2 放送の方式

教育専門放送には、次のような方式が考えられる。なお、各方式ごとに参考となる事例をあげてあるが、これは数多くあるものの中から数例を紹介したにすぎない。

(1) 学内における閉回路テレビ

わが国ではこれまでに大学が正規の教育放送を実施した例は見られないので、その実施には多くの準備や研究が必要であり、早急な発足が望めない場合が多いと考えられる。そこで大学の放送利用を、まず学内の閉回路テレビから始めることを計画するのも一つの方法であろう。学内の一部に放送利用の意義に疑問をもつものがある場合には、この段階でじゅうぶん研究と実績を積み重ね、学内の態勢を整えることも必要になってこよう。

□<電気通信大学>では、閉回路テレビなどの教育機器を設備し、教師の講義が数個の教室の学生全員にめいりょうに聞きとれ、教卓上のデモンストレーション等がめいりょうに見えるようにくふうされている。さらに教師から学生への一方交通という形だけでなく、学生の反応を常に教師が確かめられるフィードバックの可能なコミュニケーションを実現している。

□<ペンシルバニア州立大学>では、化学、心理学、人類学、音楽、スピーチ、ドイツ語と多岐にわたってテレビ授業を行なっている。構内には、一組み5万ドルの閉回路テレビ施設が三組み別々に設けられており、1時間の送信に約40ドルかけているが、これによって、大学は従来の方式に比べて年間10万ドルの経費を節約できるものとみられている。メーンキャンパス中にビデオ用同軸ケーブルをはりめぐらして、教師の研究室と各教室の間および各教室相互を結んでいる。

(2) 本校と分校の間および学部間の閉回路テレビ

この方式によると、遠く離れた本校と分校の間および学部間で映像通信を行なうことができる。これをさらに大学相互間の教授研究上の協力に発展させることもできよう。

□<オハイオ州立大学>では、テレコミュニケーション・センターが置かれている。このセンターの仕事の一つとして、本校と各分校の間を閉回路テレビで結んでいる。音声は電話線を、映像は片回線マイクロウエーブを使用し、65㎞離れた分校の教室からも本校の教室にいる教授に対して学生が質問できるようにしている。

□<ペンシルバニア州立大学>は、65㎞離れたアルトーナ・キャンパスや130㎞離れたキャピトル・キャンパスや160㎞離れたハリスバークとの間を、2回線のマイクロ波中継によるテレビで結んでいる。

□<テキサス大学>は、マイクロ波を使っていくつかの大学を結ぶ閉回路テレビ網を敷いている。このテレビ網は、現在、州内の八つのカレッジや大学を結んでいる。番組内容は、化学、ドイツ語、歴史、数学、音楽、心理学と物理の基礎コースを含むものであって、著名な学者の講義を生またはビデオテープによって送信している。

上記(1)および(2)の方式において放送利用を円滑に、かつ能率よく行なうためには、関係機器を集中的に管理し、全学に対してサービスを行なう教育放送センターともいうべきものを設ける必要があろう。このセンターは、放送施設の保守、修理、教材の制作と送信、教材の貸し出しなどを行なうことになる。センターの職員は、教授を助けて教材や番組の制作に当たるとともに、その利用に関して、教授陣にあまり負担をかけないようにする役割をになう。放送利用を実施しているアメリカの大学には、それぞれ7~50名の職員(副学長クラスの主任、教育心理学やマス・コミュニケーションなどを専攻する数人の教授、アートディレクターとその補助者、カメラマンなど)をもつセンターが付設されている。

(3) 地域的閉回路テレビ

これは、閉回路テレビ網によって地域内の教育機関を結び、テレビを学校教育や社会教育に利用する方式である。この場合、大学や教育委員会、その他の教育機関が相互に協力し合う態勢をとることもできる。この方式の例はアメリカに数多くみられるが、最近注目されるものとして、イギリスの事例を紹介する。

□<イギリスのグラスゴー市教育委員会が設立運営にあたっている教育テレビ事業>は、同市内の315の学校と成人教育施設をケーブルで結ぶ大規模な組織である。この事業は、1965年8月に二つの目的をもって発足した。その一つは、学校のカリキュラムの内容と進度に適切にかみ合わされた直接教授方式の番組を提供することによって、学校の日々の基礎的な授業を補うことであり、もう一つは、急速に変わりつつある多くの教科の内容や方法に関して、教師に向けて継続的な現職教育の機会を提供することである。この閉回路によるテレビ事業は、独自に制作した教育番組とBBCなどの放送局から提供される学校向け教育番組とを、特別のケーブル回線(標準625走査線で同時に2番組を送ることのできる方式)で管下の小中学校に向けて送信している。

□<ロンドン市教育当局>は、1968年9月から市内の3地区の小中学校と成人教育機関を対象として閉回路テレビ事業を開始した。69年秋までに、ロンドン市内の全小中学校、成人教育機関、大学合わせて約1,300に連結される予定である。スタジオは市内のあいた学校を改造して利用し、番組の制作は教員が中心になって行なっている。この閉回路は全部で9チャンネルとれるが、現在7チャンネルを同時に使用することとし、BBCに1チャンネル、ITAに1チャンネル、ロンドン大学等の高等教育機関に1チャンネルを割り当て、残り4チャンネルが学校放送用となっている。

(4) 同報通信

同報通信というのは、一定の送信所から特定の多数の受信設備に対し同時に通報の送信を行なうもので、これを利用すると一般の放送波と同様の教育効果をあげることができる。同報通信は、地域に密着した内容を相手に伝達するのにはかえって都合がよい面もある。これは、放送法上の放送ではないが、わが国において、小規模の教育機関がFM電波によって学校に向けて番組を送っている例がある。

□<長岡市教育委員会(新潟県)>は、昭和28年に実用化試験局(固定局)を開設し、15年に及ぶ歴史をもつ。放送は管内の小中学校を対象とし、社会、国語、音楽、道徳、進路指導等に関する10前後の番組を毎日送っている。それらの番組は、小学校で91%、中学校で82%という高率をもって聴取されている。また、教師向けの現職教育番組や行政上の連絡事項も定時放送している。

□学校放送ではないが、<聖書学園高等学校(千葉県)>および<名古屋電気学園(愛知県)>では、昭和38年に免許されたみずからの固定局を通じて教育上の伝達を行なっている。

(5) 教授用テレビ固定局(Instructional Television Fixed Service)

最近、アメリカで学校向けのテレビ放送に採用されつつある方式で、2500~2690Mc帯によって映像と音声を送る教授用テレビ固定局がある。この方式によると、特定の受信機でないと受信できない制約はあるが、ケーブルが不要であり、しかも一つの電波で同時に六つの番組まで送ることができる。したがって、これまでの閉回路テレビよりも、経費の点で効率のよいテレビ送信が可能になるばかりでなく、チャンネル割り当ての困難さも大幅に緩和される。

わが国では、2500Mc帯はすでに警察用、公益事業用に割り当ててあるが、これに準ずる周波数帯から適当なものを使用することを検討すべきであろう。

(6) テレビ放送およびFM放送

これは放送法でいう放送局を設置して教育専門放送を行なう方式である。この方式による放送は、一般の家庭にすでに備えられている受信機で受信できるので、大学開放講座、大学通信教育、一般成人番組の拡充などにとって特に望ましいといえよう。

□<シカゴTVカレッジ>では、シカゴにある放送局WTTWを使って単位修得の課程を放送している。このカレッジは、シカゴシティー・ジュニアカレッジ制度の一部として設置され、シカゴ市の住民に授業料免除で、短期大学卒業の資格を与えることを目的としている。

□<KQED>は、サンフランシスコにおける独立の教育専門放送局である。商業局では放送しにくい番組を放送することを局運営の基本方針とし、昼間は学校向け番組、夜間は地域の大学の教師をおもな出演者とする教養番組を中心に番組を編成している。学校番組は独立採算制をとっており、学校区と契約を結び、生徒1人当たり年額1ドル25セントを徴収している。全体の予算は、視聴者からの自発的寄付や学校からの徴収金を中心にして年額280万ドルとなっている。そのサービスエリアは半径80㎞であるが、それより外の学校ではみずからの負担で中継局をつくって聴視しており、それらを含めると半径480㎞の地域の学校がKQEDの番組を聴視している。

□<イギリスの公開大学>は、最高の学問的水準をきわめた人物を生み出すことよりも、むしろ、国民全体が幅広い知識および職業生活に必要な知識、技能を身につけることを目的として計画され、1971年に発足することになっている。これは、大学が公共放送と結びついた形のもので、番組の制作、送信はBBCが行ない、学位授与、単位認定等は大学が行なう。18歳以上の希望者はだれでも入学することができるもので、世界でも例がない大学となろう。

3 経営の方式

教育専門放送局の経営の方式としては、教育行政単位の公共機関や特定の大学が単独で非営利の教育専門放送局を経営するものや、それらの機関が協同して放送局を設置するものなど、次のようなものが考えられる。

(1) 教育機関が単独で教育専門放送局を設置する方式

この方式による教育専門放送局は、アメリカに多く見られる。1967年11月現在、FMによる教育放送局は301、VHFおよびUHFによる教育テレビ局は149を数えるが、その中には、大学や地方の教育委員会が単独で設置しているものがかなりある。

教育機関が単独で局をもつ場合は、番組の企画、制作、送信をその機関が一貫して行なうことになる。電波事情が許されるならば、この方式は望ましいものといえる。

(2) 教育機関が協同で教育専門放送局を設置する方式

電波の制約上教育機関が単独で放送局をもつことができない場合、あるいは経費等の関係で教育機関が単独で放送局を運営することが困難な場合には、いくつかの教育機関が協力して放送局を設置することが考えられる。

□<アメリカのボストン市にあるWGBH>は、ハーバート大学、ローエル・インスティテュート、マサチューセッツ工科大学、ボストン大学、ボストンシンホニー、エール大学など16の機関・団体が協同してつくっている教育専門放送のコミュニティー放送局である。午前中はマサチューセッツ教育テレビ実行委員会の管理のもとで、50万人の児童生徒に対して学校放送番組を送り、午後は家庭婦人向け番組を、夜間は文化およびローカル番組を放送している。WGBHは、アメリカの教育専門放送局の中でもすぐれたものとして評価されているし、地域住民もこの局を誇りにしている。

□<ハワイの教育テレビ>は、ハワイ大学と州教育局が緊密な連携をとっている点で特色のある例である。大学は主として夜間に放送される一般成人向けの番組に、教育局は昼間の学校向け番組にそれぞれ責任を負っている。

(3) ITA方式の経営

イギリスの商業テレビの学校放送番組は、独立の番組制作会社が学校向けの番組を制作し、公共企業体である独立テレビ協会(ITA)の送信施設を通じて放送されている。すなわち、番組の制作と放送を別の機関が受け持っているのである。学校放送番組は、各地域で制作されている関係で、地方教育当局の意見が強く反映される。

このように教育機関と放送機関が役割を分担し、番組の企画編成を教育機関が行ない、制作上の技術や送信を放送局が受け持つという方式も検討されてよいであろう。

4 専門職員の養成

教育専門放送の推進にとって、じゅうぶんの資格と能力をもった専門職員の確保は、欠くことのできない条件である。専門職員は、番組制作要員と技術要員に大きく分けられる。番組制作要員は、教育関係者と緊密に連絡を保ち、かつ教師の協力を得ながら番組の企画、番組素材の収集、番組の演出などを担当し、技術要員は、放送施設・スタジオの操作と保守に責任をもつことになろう。

こうした専門職員を養成するためには、基本的には大学に専門課程を設けることが必要であると考えられる。当面の措置としては共同研修施設を設置し、それを使って行なうか、もしくは既設の放送機関に委嘱して行なうことが考えられる。

5 番組センターの設置

教育専門放送は多様な番組を必要とするが、その中には、全国的に関心が持たれる内容の番組、全国的な角度から扱ったほうがよい内容の番組、全国的な問題を扱った一般教養番組およびニュース解説も含まれる。また、著名なタレントの出演を必要とする場合もあろう。

こうした番組をすべて、各地域の教育機関による非営利の教育専門放送局がそれぞれに制作することは、かなりの困難を伴うものと思われる。したがって、全国的な番組センターを設置し、そこに各教育専門放送局や一般の放送局が制作したすぐれた番組を収集、保管し、各教育専門放送局が必要としながら自局では制作しにくい番組を制作、提供することなどを検討すべきである。

6 教育専門放送に利用できる電波および回線

(1) 閉回路テレビ施設の回線

閉回路テレビ施設の回線としては、おもに一般ケーブルまたは同軸ケーブルを使用することとなる。同軸ケーブルは、広帯域信号を何チャンネルも同時に送ることができる回線である。遠距離にある学校等とを結ぶ場合は、マイクロ回線の利用も考えられよう。また、構外における同軸ケーブルおよびマイクロ回線については、日本電信電話公社の公衆電気通信設備を使用することとなろう。

(2) 一般放送波の利用

教育専門放送において利用しうる一般放送波の電波としては、UHFテレビ電波およびFMラジオ電波があげられる。これらの電波は、VHFテレビ電波およびAMラジオ電波に余裕のない現在、残された貴重な電波である。UHFテレビは画面が鮮明であり、FMラジオは音質がすぐれ、ともに雑音も混信も少ない。これらの特質は、教育専門放送の目的にも活用されるべきであろう。

次に、これらの電波は、VHFテレビ電波およびAMラジオ電波にくらべ、その到達距離が短い。電波の到達距離が短いという特質は、UHFテレビおよびFMラジオの全国放送を否定するものではないが、地域性に立脚する教育専門放送にとっては障害とならないばかりでなく、むしろ地域に密着して使用でき、かえってVHFテレビおよびAMラジオ電波よりも適切である面をもっている。この電波の足の短さは、教育専門放送に積極的に利用すべきであろう。

(3) 一般放送波以外の電波の利用

電波は、一般放送に利用されるほか、公衆通信、船舶、航空、警察、消防、電力、鉄道、タクシー、河川、新聞その他いろいろな分野に活用されており、これら電波を利用する無線局の数は、現在40万をこえている。

教育の分野においても、一般放送波の利用のほか、さきに述べたアメリカの教授用固定局(ITFS)に相当する映像通信、その他超短波の利用による同報通信等、電波を活用しうる分野は数多く考えられる。

7 教育専門放送の施設設備

以上述べてきた閉回路テレビ施設、UHFテレビ局、FMラジオ局、その他の映像通信施設等の設置にあたっては、設置主体、放送の対象、放送内容等によって、その施設設備の規模および内容等がそれぞれ異なってくるので、これらの諸条件をじゅうぶん勘案して、教育の効果をあげるような措置を講ずる必要がある。

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第4章 教育専門放送の育成のための提案

1 教育において放送が果たす役割の認識の高揚

教育の量的拡大と質的向上という必須の課題に対処するため、知識、情報の伝達にすぐれた機能をもつ放送媒体を有効に活用することの意義について、教育関係者および放送関係者の認識をいちだんと高めること。

また、教育の媒体として放送を利用しうる領域とその方法について、特に教育関係者に対しけいもう普及を図ること。

放送は、知識、情報を伝達するうえで、印刷媒体に比肩する機能をもち、また、速報性、広範性、具体性、経済性などの点ですぐれた特色を有しているにもかかわらず、教育の世界においては、現在、その特質が必ずしもじゅうぶんに活用されてはいない。放送の本来備えている機能をじゅうぶんに活用するならば、さらにいちだんと国民の知的文化的水準を高めることができる。放送が国民各層の多様な教育要求にこたえる媒体となるためには、多彩にして専門的な番組や地域性の豊かな番組などを画期的に拡充する必要がある。また、それらの番組が適切な時間に放送されるようにしなければならない。このことを実現するために、関係者が従来の放送界を飛躍的に発展させることが強く望まれる。

学校教育における教授の効率化、大学教育の開放、教育の機会均等のいっそうの促進、教育・文化の地域格差の解消などの課題を解決するうえに、放送の活用は大きな力を発揮するであろう。将来にわたって教育への放送利用の意義とそれを実現するための方法について、特に教育関係者の認識を高める必要がある。そのために、必要な資料の作成・頒布、研究集会の開催、外国事情の調査・紹介等のけいもう普及活動が進められるべきである。

2 教育専門放送局の設置

教育機関がみずから運営する非営利の教育専門放送局を設置すること。

この教育専門放送局は、大学、教育委員会等が単独もしくは協同でその運営にあたるものとすること。

多彩にして専門的な番組を充実し、それを適切な時間に放送しうるためには、視聴率にとらわれなくてすむ非営利の放送局が必要となる。また、現在の全国中継を主とする教育・教養放送のもつ意義は高く評価するが、それとともに、放送番組に多様性をもたせ、教育現場や地域社会の住民の必要に応じた放送の強化充実が行なわれなければならない。そのためには、地域の教育機関が教育の媒体として放送を活用することが必要である。

教育機関が設置する教育専門放送局としては、それぞれの機関が単独で番組の企画、制作、送信にあたる形態が基本的なものである。しかし、一機関が単独で放送を行なうための条件がじゅうぶんに整わないときや放送波の効率的な活用を図る必要がある場合には、いくつかの教育機関が協同の組織を設けて放送局の運営にあたる方式を考慮する必要がある。その場合、各機関がそれぞれ番組を制作し放送時間を分担するという形の協同もあろうし、番組を共同制作するという形の協同もあろう。

また、教育機関が既存もしくは今後設置される一般の放送局と提携して教育専門放送を実施する方式も、検討事項に加えたい。

3 必要な電波の確保と各種の通信方法の活用

教育機関による非営利の教育専門放送用として、UHFテレビ放送用周波数およびFM放送用周波数の一定わくを確保すること。

学校を対象とした教育専門放送については、放送波以外の通信波や有線による通信方式の積極的な活用をも考慮すること。

教育専門放送は、国民の生涯教育に資する教育・教養番組や社会生活に必要な情報を提供し、また大学のもつ学問的蓄積を広く社会の人々に開放すること等の役割をになうべきものである。これらの役割を果たすためには、普通の受信機でだれでも手軽に受信できる一般の放送波による教育専門放送がぜひ必要である。

また、初等・中等・高等教育において、教授媒体として放送を利用するためには、学年別、教科別、科目別、課程別等にわたり、児童、生徒、学生または教師を対象とした数多くの番組を提供すること、同一番組をくりかえして放送すること等が必要である。これを実現するためには、きわめて多数のチャンネルが必要とされるが、使用可能な一般の放送波には限りがある。したがって、授業での利用を目的とする放送については、放送波以外の通信波や同軸ケーブル等を利用した通信方式をも積極的に活用しなければならない。なお、この方式の採用を容易にするため、放送番組伝送回線の利用その他に関して、日本電信電話公社をはじめ関係機関により適切な措置が講ぜられることが必要である。

4 教育における放送利用の促進

(1) 初等・中等教育における放送利用の拡充

地域の教育機関の教育水準の向上と教育の機会均等を図るため、教育活動の充実と現職教育の拡大に放送を利用すること。

学校向けの教育放送は、児童生徒の学習とともに、教師に対しても大きな教育効果をもっている。教師は放送から新しい指導内容・方法を知り、また放送のすぐれた指導例から示唆を得ることができる。このように教育放送は、教師の資質の向上や教育の地域的格差を解消するために有効である。これをいっそう効果的に果たすためには、教育活動に資する番組を、地域の実態に即し、教師の参加によって企画、制作して放送することが必要である。

また、療養中あるいは在宅の心身障害者に対して教育の機会を提供するために放送を活用することは、きわめて効果的であると思われる。

つぎに、従来、主として研修会の形態をとってきた教師の現職教育には、その対象、規模などにおのずから限界があろう。教師の研修をいっそう拡充することが要請されている現在、これに放送の活用を図ることが必要である。

(2) 大学教育における放送利用の拡充

増大する多数の学生に対処して、講義、演習、実験、実習の指導の充実を図るとともに、教授研究活動における大学相互間の提携協力を進めるため、放送の利用を促進すること。また、大学の講義等を広く市民に開放するとともに、大学通信教育の拡大を図るため、組織的な放送利用を実現すること。

大学教育の普及と拡大に伴う学生の増加に対処し、その質的水準の維持と向上を図るためには、すぐれた教授等の講義を多くの学生に効果的に伝える手段として、放送を活用する必要がある。それと同時に小集団による演習、実験、実習などの徹底を図る手段として、閉回路テレビ等を活用することも考える必要がある。これらの方法によって密度の濃い質の高い教育を展開していくことが期待できる。

現在、高度に専門化と総合化の道をたどる大学の教授研究活動を推進するためには、大学相互間の協力提携を図る必要がある。放送の利用は、そのための有力な手段である。

国民の教育に対する要求にこたえるため、大学は講義や研究成果等を放送によって広く一般に開放することも必要である。また、従来、大学の通信教育に一部放送が利用されてきたが、大学通信教育の効率を高め、社会的要求に応じて大学教育を大幅に拡充するためには、組織的に放送をとり入れた大学通信教育の制度が確立されるよう、すみやかに検討する必要がある。

(3) 各種指導者および技術・技能者の養成ならびに技術等の資格認定における放送利用

各種指導者および技術・技能者の養成ならびに専門的職種に関する資格取得の制度に、放送の利用を積極的に図ること。

社会教育のさまざまな分野にわたる指導者の養成に対し、積極的に放送の利用を図るべきである。また、種々の産業に関する技術指導のほか、特定の職業を対象とする専門的、職業的技術に関する資格を取得する制度に放送の利用を推し進めるとともに、公共職業訓練所との提携による職業訓練にも放送を組織的に活用する必要がある。

5 教育専門放送の実現のための方策

非営利の教育専門放送局の設置を推進するために必要な方策を策定すること。設置の具体的な普及を図るため、パイロット的な役割を果たす放送局を発足させること。

また、非営利の教育専門放送局の運営を円滑にするため、専門職員の養成に努めるとともに、すぐれた番組の確保や提供について必要な措置を講ずること。

一般放送波により教育機関が運営する非営利の教育専門放送局の設置については、電波の配分に一定の制約があることを考慮し、教育目的に合致した放送局設置の推進を図るため、教育機関に関する適切な方策を樹立する必要がある。

また、教育における放送の適切な利用を着実に進めるため、閉回路テレビの利用等をも含めて教育専門放送局の運営や放送利用の効果等についての研究や実験をすすめなければならない。

非営利の教育専門放送局を普及させるためには、大学、教育委員会等の中で条件の整った所を選び、パイロット的な役割を果たす放送局を発足させる必要がある。これによって、放送局の設置や運営についての種々の具体的な問題点を明らかにし、今後設置される非営利の教育専門放送局の指針とすることができる。

専門職員の養成その他放送教育の研究を充実するため、大学教育の中にこの分野の教育研究の体制を整備することが要請されるが、当面の措置としては、既存の一般放送局の協力を得るなどの方法により、適切な要員が確保されるよう行政当局が必要な措置を講ずべきである。

非営利の教育専門放送局の放送番組については、すぐれた番組の確保および提供を放送局相互間で円滑に行なえるよう番組センター等の機関の設置を考慮するとともに、既存の一般放送局の番組の利用が適切に行なえるよう必要な措置を講ずべきである。

6 国および地方公共団体による財政的措置

教育機関が設置する非営利の教育専門放送局の設立およびその運営に必要な経費について、国および地方公共団体は、適正な財政的措置を行なうこと。

大学、教育委員会等の教育機関が設置する非営利の教育専門放送局の設立およびその運営に要する経費は、放送局の規模その他によって異なってくるが、放送の利用によって実現しうる教育活動の範囲、事業量およびその教育効果の大きさを考えるとき、他の教育施設のそれにくらべ、その経費の効率は、きわめて大きいものと考えられる。

このことを考慮するとき、教育専門放送局の設立およびその運営に必要な経費について、国および地方公共団体は、積極的にできる限りの財政的措置を講ずべきである。また、教育専門放送にかかる放送番組伝送回線の使用料については、その軽減の措置が講ぜられることが望ましい。

7 一般の放送局に対する期待

一般の放送局は、その教育・教養番組の利用の効率化を図るため、同一時刻における同種の番組の重複傾向の是正について一段の努力を払うとともに、地域性に富む番組の提供に努めること。

放送の公共性にかんがみ、一般の放送局は、その放送番組の全般にわたって質の改善に努力すべきことはいうまでもないが、特に国民が必要とする生涯教育の充実のために、職業生活、市民生活、家庭生活等の広い分野にわたって、内容の充実した品位の高い番組を、できるだけ豊富に提供するよう努めるべきである。

また、現状では、同じ時刻に同種の番組が重複して放送される傾向が強く、視聴者が番組を選択する余地が意外に少ないため、せっかくの有用な教育・教養番組が必ずしもじゅうぶんに利用されない場合が多い。同一地域の放送局相互で調整し、事態の改善に努力してほしい。

また、一般の放送局の中には、全国的な放送番組に比してローカル番組の占める比重が著しく小さい傾向の認められるものがある。教育や文化が地域の住民の生活と深く結びついて発展していくことの意義およびその重要性にかんがみ、地域性に立脚した実用価値の高い番組が数多く編成されることが期待される。

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学術審議会学術研究体制特別委員会「大学における学術研究体制の整備についての基本的考え方(中間報告)」 - 1969年6月23日

出典:学術審議会学術研究体制特別委員会『大学における学術研究体制の整備についての基本的考え方(中間報告)』1969年(国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11577481)

 

大学における学術研究体制の整備についての基本的考え方

(中間報告)

昭和44年6月23日

学術審議会学術研究体制特別委員会

前 文

この中間報告は、本特別委員会に付託された諮問事項「大学付置の研究所の新設・改組、学部付属の研究施設のあり方等大学における研究体制の整備について(大学院、学部との関連を含む。)」の具体的検討を行なう準備作業として、一つの一貫した構想をまとめたものであって、本特別委員会は、この中間報告を、いわば出発点として、今後、諮問事項の具体的検討に移る予定である。もとより本特別委員会としては、この中間報告に広く大学関係者等の意見が寄せられることを期待しているものであり、これらの意見により、また今後の具体的検討の過程において、この中間報告自体も再び検討し直すことがありうるものと考えている。

なお、本中間報告は、基本的考え方といっても、とりあえずは博士課程大学院をおく大学を中心として、学術研究体制の整備につき論じたものであって、いくつかの面でそれが博士課程大学院をおかない大学の場合にも妥当するとしても、これらの大学に関しては、別個に検討を要するものと考えている。

また、本中間報告は、本特別委員会に付託された諮問事項に照らして主として研究面からの考察に主眼をおいているが、大学は教育・研究の機関であるから、主として教育面からする考察により補完されるのが当然と考えている。

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1. は じ め に

大学制度の改革にあたっては、国は、時代の進展に即し、社会的要請、高等学校以下の教育制度との関連等を考慮することはもとよりであるが、学問・研究の自由、大学の自治の根本精神からして大学関係者自身の発意を尊重することが肝要である。また、その改革が促進されやすいよう諸条件を整え、特に画一主義を避け、むしろ進んでさまざまの特色を備えた大学が育つよう配慮すべきである。

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2. 背景となる諸事情

大学およびそれに関連した諸制度の抜本的改革の必要がさかんに論じられているが、その改革案の多くは、主として学生教育や学生参加の面から考察されているのが現状である。しかし、教育面と並んで重要な研究面においても、制度そのものはほとんど昔ながらであるのに対し、その背景となる諸事情には、時代の進運とともに大きな変化が生じつつあり、その変化に対応する改革を迫られているという点は軽視できない。よってまず、背景となる諸事情について、簡単に述べる。

(1) 専門分化の度合いが著しくなったこと

どの学問分野においても、現在では、過去の科学進歩の蓄積を共有資産のすそ野として、第一線の研究者は、きわめて鋭角的に自らの研究主題を特化してそれに専念する傾向が強い。ということは、研究者がそのような研究業務に集中しているときには、学問の最前線にあればあるほど、教育の仕事とは両立しがたい傾向が生ずるということを意味する。

(2) 境界領域の重要性が増したこと

分化の度合いが著しくなるにつれて、古い学問の境界そのものが、それほど明確な線では仕切れなくなった。このことは、境界領域の重要性が増したということの裏返しの現象であると同時に、学問分科の総合化をも要請している。その結果、慣行的な学部の枠の中には包みきれないような領域を研究する研究者が多数輩出することともなった。

(3) いわゆるビッグ・サイエンスと呼ばれる分野が生じていること

かつては「実験講座」、「非実験講座」の区別をする程度で必要研究費の違いに対処できたのだが、今日では、たとえば素粒子研究所の構想にみられるように、一般の研究分野よりは隔絶して大きい費用を最小単位としても必要とするような分野が、いくつか生ずるようになった。最小単位の費用が10億円を越すというだけでも、それはすでに、1,000万円の追加支出で飛躍的に大きな仕事ができるような研究分野100課題分にあたるのであって、ここに、優先順位決定にあたっての基本的な困難さがある。

(4) 科学者が実業の分野に引き入れられやすくなったこと

かつては「技術」は特許の形で費用化されたが、「科学」は万人の共有物とされ、「科学」の成果は公開されることをその建前とし、そこに国境のないことはもとより、科学者が知る唯一の忠誠は真理に対する忠誠だけであった。ところが今日では、「科学」と「技術」の境界そのものが不明確となり、企業自身が巨大化するにつれ、企業自身が大研究所を自分の支配下にこしらえて、いわゆるノー・ハーウの開発を、かなり基礎的な部分にまでさかのぼってするようになった。すなわち、技術を専有化するためには科学までも専有化しかねまじい時代となったのである。したがって、学問分野によっては、研究者が、ややもすれば実業の分野に引き入れられやすいという事態が、ここに生じた。さらに言えばむしろ、時代の進展とともに基礎研究と応用研究さらには開発研究、科学と技術がからみ合ってそれぞれが進歩を遂げていくという傾向は今後ますます強まるものと思われる。また、国の行政が高度の専門的知識を要するようになったことから、大学に籍をおく社会科学者等がしばしば行政府の諮問に応じてその仕事に相当の時間をさくようになったという事態にも、ここで言及しておく必要がある。

(5) 大学の大衆化が著しく進んだこと

戦後の日本においては、大学の大衆化が急速に進み、今日では同一年齢層の約20%は大学生であって、この比率は昭和初年の旧制中等学校の生徒の比率よりも高いという状態である。また、戦後の新しい制度によって生まれた大学院生の数も、最近では、かなりの数にのぼるようになった。かくして、社会における大学の位置付けは、戦前に比べ大きな変化をみせていることは争えないが、大学が依然として学術研究の尖端を切りひらく役をになったものであることには変わりはない。大学大衆化の現実の中で大学がこの役割を全うするためには、明らかに制度面での工夫を要するのであって、学術研究体制整備の問題も、当然、こうした事情を考慮に入れねばならないだろう。

以上を要約して言えば、学者は、すぐれた研究者であればあるほど、教育の場から――特に大衆化したところの教育の場から――二つの方向へ引き離されていくという傾向が強くなる。一つは、とうてい大学教育の題材とはなりえないような専門化された研究課題を深める方向へであり、いま一つは、報酬や研究施設提供や成果確認の満足感の上で魅力の大きい実業との係わりの方向へである。この分極化傾向は、時代の進運とともに避けられないものである以上、大学における学術研究体制の立場からすれば、すすんでこの傾向に対応した改編をはかる必要があり、その際、大学が本来的にもつ教育の使命とどのように調和させるかについては、特別の工夫を要する。

なお付言するなら、報酬や研究施設提供や成果確認の満足感の上での魅力という点は、実業との係わりの多い面でみたされるだけでなく、海外(特に米国)の大学や研究機関にも存する。このことは、わが国における大学での待遇が相対的にかなり立ちおくれているという事実の反映であって、この面での対策は、別個に考えられなければならない。

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3. 具体的な提案

以上、背景となる諸事情を念頭におきながら、今日の段階で、主としては博士課程大学院をおく大学を対象とし、そこでの学術研究体制の整備の問題に重点をおいて、特に必要と思われる改革の具体的提案を、以下5項目に分けて行なう。このうち、わけても(1)と(3)の中には、従来の学部、大学院の考え方とは著しく異なる構想が含まれているが、本特別委員会としては、望ましい制度改革の方向として提案するものである。ここでの考え方の上に立つならば、たとえば大学における教養部ないしは教養学部の制度などもその改廃あるいは必要性が問われることとなろう。

(1) 教官組織と教育組織の分離

教官の組織は、学問の体系がおのずからにもつ分科体系に則して便宜上分けられた構成体とすることが望ましく、この意味で「教官を容れる器」であるところのものには、外国語ではたとえば「ファカルティー」というように、それなりの適当な呼称を与えることが望ましい。一案を言うなら、「学系」・「学科」・「部門」の分類用語を使って、たとえば「社会科学系・経済学科・財政学部門」というふうに呼ぶこともできよう。このうち、「教官を容れる器」として通常の単位は「学科」であろうが、場合によってはそれが「部門」となること、あるいは「学系」となることもありうる。いずれにせよ、呼称そのものは本質的なことではないので、ここでは、従来からの慣用語である「学部」を「教官を容れる器」の意に解して論を進めることとする。

その意味での「学部」は、学問の分科体系に則した教官組織の単位であり、そこに集まる教官は――個人的あるいは年齢的に研究適性と教育適性に相異がありうる――同一専門分野の教官として「教官会議」(または「教授会」)を構成し、第一義的には他から何らの制肘も受けることのない学術研究上の自由を享受して、その分野の進歩に専心する。すなわち、そこには研究の義務があり、また研究の権利がある。しかし同時に、「学部」は、全体としては教育の義務を有する教官の組織であるから、その特定分野に関するかぎり、教育の内容や方法について自主性を保持する。

学問体系の分科に則して構成された教官の組織が、そのまま学士課程学生を容れる器である必要はない。たとえ大学が大衆化したといっても、本来の大学教育の意義は、高等学校教育のそれとは異なるはずであって、大学に入学した学生の伸びざかりの知性は、そこで、それぞれの知性に応じ、あるいは古典にまでさかのぼる人類の文化的遺産の全貌を、あるいは精緻な開花をみせている諸科学の全体系を、一挙に吸収しつくさんばかりの貪欲さで自分のものにしようとする意欲をもつ――ないしその可能性をもつ――のが普通である。この期待にこたえ、若い学生の中にある潜在的な能力を抽き出しうるかどうかは、大学教育の成否にかかわる重要なことがらと考えられるのであって、大学がこの責務を果たすためには、いわば全学的な対応を要するのであり、一「学部」の自己内包的な仕事ではありえないと思われる。したがって、「学生を容れる器」は本来的には大学全体であり、場合によっては、他大学の単位を転用できるという意味では、複数の大学でさえあり、「学部」を学問の分科体系に則した「教官を容れる器」として縦割りのものと解するなら、教育組織はこれとは別個に横割りで構成されるべきものということができよう。

この教育組織は一種の管理組織であることを避けられない。履修進学の規則をはじめとし、学生の健康管理に至るまで、それは全学的な規模で統一的に企画し実行に移す役割が、そこにはあり、この管理組織の構成にあたっては、各「学部」がその代表者をそこに送り込むことは当然であるが、適当な領域について学生の参加もまた認められてよく、その全体を統轄するものとして、副学長制度を設けることが考えられる。このような構想の上に立つ場合には「何々学部学生」というものは存在せず、学士課程での専攻も、主専攻と副専攻とをもつ複合的なものであってもいっこう差し支えなく、学生は、全学的な規模で提供される一種のメニューにも似た講義課目のあいだを、一定の枠組に合わせて、思う存分の濶達さで渉猟することとなる。もちろん、一つの主専攻に集中した選択をすることも妨げない。

教官組織と教育組織をこのように分けたとしても、両者の関係は相互浸透的なものであることが当然であって、それぞれの立場から、一方の要請が常に他方に対して向けられるというフィードバック過程を通じて実際上の運営が改善されていくこととなろう。

以上述べたように、「学生を容れる器」は大学全体であるというのが本来の姿であるとしても、わが国の大学は、旧来の学部の枠で学生を掌握し管理する伝統をもってきており、それにかわって、学生に大学生活での学習上の連帯的集団を形成させようと思っても、教官組織や物的施設の面で早急な改編をはかることは困難であると思われる。したがって当面は、それぞれの大学が具体的な事情に応じて自主的に、あるいは主専攻学科への登録制を採用するとか、あるいはセミナー単位の編成をはかるとかして、教室ないしは教官と学生とのつながりが十分密になるような制度の新しい機軸をひらくことに工夫をこらすよう期待したい。なお、専攻課目によっては、学士課程での主専攻学生の定員を制限せざるをえず、そのため、競争的詮衡の手段に訴えねばならぬような場合も生じようが、このようなことは、4年間の学士課程全体が競争淘汰の過程であるという考え方の上に立つなら、問題の解決は決して困難ではないと思われる。

(2) 研究所、研究施設の位置付け

「学部」を上記のように規定するなら、現存の付置研究所、学部付属研究施設、共同利用研究所の位置付けも、それとの関連で決まってくる。

i. まず、「学部」は、学術研究上の自由を享受してその分野の進歩に専心する役をになっている以上、常に学問の最前線の開拓に心がけざるをえない。制度上このような仕事をやりやすくするためには、それぞれの「学部」の必要に応じ、補助要員の定員を付与した研究専念用の付属研究施設を設けることが望ましい。それは、一時的に教育義務から解放されて研究に専念する教官、境界領域の開拓に従事している教官、研究のために特殊の施設を特に必要とする教官等のために利用されうる。もちろん、その研究施設は特定の研究に焦点を合わせた共同研究の場所として利用されてもよく、いずれにせよ柔軟性のある運営が必要である。この趣旨から言えば、そこには教官定員を設ける必要はなく、「学部」のほうにそれだけゆとりのある定員を付ければよいわけだが、予算積算上の便宜を考えて、研究施設のほうに研究者定員を付けることも一案である。なお現存の付置研究所のなかには、この種の研究施設に転換させて、「学部」の統一的な運営にゆだねることによって、かえって成果をあげうるものが少なくないと思われる。

ii. 「学部」付属研究施設のほかに、大学付置研究所を設けるとすれば、その存在理由は何であろうか。その第一の要件は、それが複数「学部」にまたがる研究対象を主題とするということ、すなわち境界領域を広く包むような学問分野の研究に専念する場所であるということであろう。例をあげるなら、「都市問題研究所」などがそれにあたるわけで、そこには、旧来の学問分類で言えば、都市工学、地方財政、交通経済、地方行政等の専門家が協力して研究しなければならぬような問題が存在する。制度的には、このような研究所は、研究用の施設と事務系統ないしは技術系統の定員を完備し、教官定員は比較的少数のものを用意すればよく、多くの教官は「学部」に本来の籍をおいてそこへ随時併任の形で出向することが考えられる。「教官を容れる器」としては、なるべく「学部」に統一することが望ましいのである。

iii. このほかに共同利用研究所の構想がありうる。元来、初期の付置研究所とは、そうした性格のものであって数個の大学にまたがってその機能を果たすことを使命とした。今日の時代においては、わけてもビッグ・サイエンスとの関連で共同利用研究所の存在意義が大きく、日本の国に一つあればよいという種類のものが、その候補となる。それは、大規模研究施設を要するものとみるのが普通であるが、今後の可能性としては、たとえ大規模研究施設を要しないものであっても、特定の大学に付置されるよりは、むしろ国立の研究所として高度の基礎研究に重点をおく機関が、この範疇に属するものとして考えられてよい。すなわち、この種のものは、「共同利用」というよりは、科学の最先端を切りひらく開拓的性格のものといったほうがよく、その組織づくりおよび管理運営方法には特別の工夫を要する。

いずれにせよ、複数大学にまたがる共同利用的研究所の場合には、その施設に関連した技術系統および事務系統の定員のほかに、研究員の定員、わけても若手の研究者を受け入れうるような定員を用意することが必要であり、さらには内外の第一線の学者がそこに招かれうるような制度もなければならない。

なお、現存の文部省直轄研究所の中にも、この共同利用的研究所と同似の扱いをしたほうが望ましいと思われるものがある。

(3) 大学院についての考え方

もともと大学は教育と研究との接点をなす機関であるが、わけても大学院は第一義的には将来の研究者を教育する場として、今後ますますその重要性を増すものというべきであろう。

まず、研究者養成の機関としての大学院に関しては、およそ次のような点が要請される。

A. そのための教官組織と教育組織は学士段階の場合と同様これを分離するが、その教官組織についてはさきに学士段階で述べた「学部」そのものに付置研究所が協力する形となり、一方その大学院の教育組織については学士段階のそれとは別個にこれを設けるべきである。

B. 大学院教育に関しては、特に、学生の専攻に合わせた幅広い教育・研究の機会の提供が必要であるから、ある限度内では、他大学や共同利用研究所ないしは直轄研究所での単位修得を認める。

C. 大学院生の中には、すでに教育者としての素質や資格をそなえたものがありうるわけで、彼らを、学士課程学生と教官の中間に位するものとして、教育または研究の補助者として活用するための途をひらく。そのためには、適当な報酬を考慮に入れた制度を設けるべきである。特に彼らを少数単位の学生集団のチューターとして活動させることは有効である。

D. 前項の制度以外に、大学院生のための奨学金制度の拡充や研究および生活関連施設の整備、さらには内地留学および外国留学の便宜供与等につき、特別の配慮をすることが必要である。学術研究に専念しようとするものにとっての諸条件があまりにも恵まれない今日の事態が続くと、人材を基礎的な学問分野に引きとめることは、ますます困難となるだろうからである。

E. 大学院における博士課程を終えたいわゆる「ポスト・ドクトラル」研究者の処遇に関しては、現行の制度はきわめて不十分である。現行の奨励研究員制度を拡充することも一案であるが、さきに述べた付置研究所や共同利用または国立の研究所に、そのための定員――それは公務員定員というより一種の「フェローシップ」定員である方がよい――を付けて、この種研究者の受入れをやりやすくする方式も検討すべきである。この種若手研究者の処遇等の問題は、助手制度をどうするかの問題も含めて、さらに具体的な検討を要する事柄である。

以上、大学院についての基本的な考え方を述べたが、ここに一つの問題があることを指摘したい。すなわち、学問の分野によっては、たとえば医学のように、実業との結び付きが深いものであってしかも学士課程の教育だけでは基礎的知識や高度専門技能の修得が不十分なものがあることである。この種の分野は、いわば「実学分野」とも呼ぶことができ、その性格に合わせて別個の大学院を設け、これを適当な大学に付置することが考えられる。それはたとえば「東京大学付置医学院」(メディカル・スクールに相当するもの)というようなもので、その管理運営は「医学院長」の下で別個に行ない、そこへ入学を希望する「院生」の学士課程での履修要領については、「医学院」の側から、生物学や化学等、最低限の必須課目だけを明示するようにしておけばよく、したがって学士課程では「医学主専攻」学生というのは存在せず、「医学院」進学コースにのっとって、たとえば「生物学主専攻」とか「化学主専攻」とかの学生が存在することとなる。

この種の「実学分野」としては、そのほかに、工学、法学、経営学等の一部が考えられる。そのおのおのが、学士課程に対しどのような特殊進学コースを求めるかは、それぞれの「実学的大学院」が決定しうることであって学問の性格により、大学院準備としての必須課目には、おのずから多い少ないの違いがあるに相違なく、たとえば「法学院」などは、充実した一般教養こそが準備課程としては望ましいとう議論も成り立ちえよう。

こうしたそれぞれの分野の実業と結び付いた性格のものを「実学的大学院」とすれば、それとは別に、文学、社会科学、理学や工学、農学の基礎をなすような学問分野についての大学院は「基礎学大学院」と呼ぶことができよう。たとえ生物学が「医学院」の基礎課程をなし、法制史が「法学院」の基礎課程をなしているとしても、生物学・法制史それぞれに、その分野を専門的研究の対象として追求する大学院課程は、「実学的大学院」とは別個に「基礎学大学院」として存在しなければならないことになる。

この「基礎学大学院」がすなわち前述の研究者養成の機関としての大学院であり、博士課程の大学院が中心となるが、「実学的大学院」はたとえば2年程度の課程とするのが適当であろう。

このように「基礎学大学院」と「実学的大学院」とを分けて考えることは、さきに「背景となる諸事情」の(4)で述べた社会的要請への対応を意味するわけであるが、ここでの「実学的大学院」の構想は医学教育、工学教育等の本質にふれる問題であるに違いなく、なお別途慎重な検討を要すると考えられるので、ここでは問題提起の意味で一案を示したものである。

(4) 学術体制における競争淘汰と人事交流について

本来、学問ほど実力がものをいう世界はない。しかし現実には、固定化した制度がわざわいして、能力以外の条件がものをいい、せっかくの潜在的能力が活かされないような事態が随所にみられる。この面での改善策は多岐にわたりうるが、当面、次のような諸施策が考えられよう。

A. 特にすぐれた研究者となる可能性のあるものは、学士課程の年齢ですでに学問分野第一線の仕事に貢献しうるものさえある。彼らのためには、さきに述べた教育組織のほうで特別の配慮をし、彼らが履修年限を短縮したり、学士課程でも大学院課程の講義を履修したりできるような制度をこしらえておくことが望ましい。

B. 教官人事に関しては、一般的にいって、「近親交配」の弊を除くようにすることが望ましく、そのためには、助手または専任講師の公募制、助教授以下についての年限を定めた契約任用制、人事詮衡にあたっての「エグザミナー」制等が検討されてよい。この「エグザミナー」制とは、詮衡委員の中に学外の学者をも含めて採用人事の客観性をはかる方式であって、特に地位の安定を保障する教授の任用については、この制度の採用が有効であると思われる。また、ことに研究所や研究施設においては、プロジェクト研究を主とすることとし、特定のプロジェクト研究に従事する年限を、たとえば5年間というふうに限定する方法も考えられる。

C. これまでの節で述べた考え方が実行に移されれば、大学内での人事交流はおのずから進められることになるが、一般的にいって、大学間の人事交流も奨励されるべきである。そのためには、大学教官に関する限り、教育公務員特例法の再検討も考慮されてよい。

その際、単に国立大学間のみならず、国公私立大学間の人事交流の円滑化をはかるため年金制度等の検討も考慮すべきである。

D. 大学および研究所を通じて、特別に給与の高い地位を、限られた数の研究者に与え、内外のすぐれた学者を招きうる体制を整えることが望ましい。

(5) その他の事項

学術研究体制と直接の関連がないかにみえながら、その周辺条件としてわが国で特に再検討を要するのは、外国語教育の問題である。わが国の現行の教育制度の下では、大学入試に英語が普遍的に課せられている事情も手伝って、中学校および高等学校における正規の課程内および課程外での英語修得のために使われる時間は、異常に多い。しかも、それはいわば「受験英語」であるという批判もあり、教育効果そのものに関しては多くの疑問をもたれている。伸びざかりの青年の知性がこの「受験英語」のために強いられている苦労は並大抵のものではなく、その影響は大学教育にまで及んでいる。さらに大学に入学してからも、教養課程の学生は再び外国語課目の履修を過大に負わされているのが現状であって、もしも外国語教育の面での改善と合わせ、「受験英語」修得の必要を最少限にする措置がとられるならば、若い知性のエネルギーは、どんなにか多彩な開花をみせることであろう。ひいてはそれが、層の厚みとなって、学術研究の山をも高くすることとなるに違いない。特に大学における外国語教育は、外国文化ないし文学の摂取すなわち一般教養の面と、道具としての外国語修得すなわち語学技能(ランゲージ・スキル)の面との両面をもつが、後者に関しては、諸外国の例にもみられるように、夏期学校等で比較的短期に集中的に修得できるようにすることも考えられるわけで、この機会にわが国の教育制度における外国語教育の位置付けを根本的に再検討することが望まれる。

しかし、外国語教育の位置付けを再検討するということは、大学入試制度の再検討をも同時に意味し、さらには、学士課程内での進学制度にも反省を求める。一方においては、道具としての外国語は資格試験的な扱いに移行させ、他方、学士課程内での進学基準は、学生の主専攻を中心とした履修の成否に合わせるよう運営することができれば、さきに述べた学生の学部所属を廃するという提案も、おのずから実現しやすくなるだろう。また、このような考え方をおしすすめていくと、「学部卒業」という区切りを異常に重要視しているわが国の風潮も、おのずから反省を求められることとなる。この種一連の問題は、わが国の大学制度そのものにかかわる重要問題であって、それにふさわしい検討を要するが、ここでは、学術研究体制整備との関連を指摘するにとどめた。

「備 考」

本中間報告の基本的考え方のもとにおける大学の管理運営の問題については、ここでは必ずしも具体的に言及していないが、これは本特別委員会における今後の検討も含め、別途十分検討されるべきものと考えている。

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参 考 学術審議会への諮問について

学術審議会は、文部省設置法の改正により旧学術奨励審議会を改組して昭和42年9月新発足し、文部大臣から下記の諮問がなされた。その際示された検討すべき問題点につき、既に「科学研究費補助金の運用上の改善策について」および「昭和43年度概算要求に係る大学における原子力研究の推進について」は答申を得て実施されており、素粒子研究所の設立問題に関しては中間報告を得ているが、同審議会は、目下、研究費、研究の施設・設備等の研究条件の整備に関する問題、大学における研究体制の整備の問題についてそれぞれ特別委員会を設けて審議を進めており、本中間報告は後者の問題に関して同審議会の学術研究体制特別委員会から総会に提出され、本月23日に発表されたものである。

諮 問

学 術 審 議 会

つぎの事項について、別紙理由を添えて諮問します。

学術振興に関する当面の基本的な施策について

昭和42年9月27日

文部大臣 剱 木 亨 弘

(理 由)

近年、学術研究は、急速に進展して研究活動はますます増大しつつあり、また専門分野の細分化、境界領域の研究の発展等により研究体制も複雑化し、さらには大規模な研究組織、大型の研究施設を必要とする分野も生じてきている。

このような状況にかんがみ、学術振興に関する施策も多角的に講じなければならず、また、ますます多額の経費を必要とするようになってきている。

したがって、今後世界の先進諸国に伍してわが国の学術の進展を図るためには、国としても長期的視野に立って、学術の進展に即応した体制のもとに効率的な振興を図っていかなければならないと考える。

よってこの際、学術研究の動向を勘案しつつ、学術振興に関する施策を計画的、総合的に講ずる必要がある。

検討すべき問題点

1. 研究費、研究の施設・設備等の研究条件の整備に関する長期的計画の策定について

2. 大学附置の研究所の新設・改組、学部附属の研究施設のあり方等大学における研究体制の整備について(大学院、学部との関連を含む。)

3. 科学研究費補助金の運用上の改善等について

4. 素粒子研究に関する研究体制について

5. 昭和43年度概算要求に係る大学における原子力研究の推進について

6. その他

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中央教育審議会「当面する大学教育の課題に対応するための方策について(答申)」(44答申) - 1969年4月30日

出典:文部科学省ウェブサイト「当面する大学教育の課題に対応するための方策について(答申)(第21回答申(昭和44年4月30日))」(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)保存ページ)https://warp.ndl.go.jp/web/20100612141951/https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuuou/toushin/690401.htm

 

21 当面する大学教育の課題に対応するための方策について(答申)

(諮 問)

昭和43年11月18日

中央教育審議会

文部大臣 灘 尾 弘 吉

つぎの事項について、別紙理由を添えて諮問します。

当面する大学教育の課題に対応するための方策について

(理 由)

最近における大学の内外にわたる学生運動の激化と相当数の大学における異常な事態の発生は、現代社会における諸般の問題と深い関連があると思われるが、その重要な要因として、わが国の大学教育にも幾多の改善すべき問題点のあることが指摘される。とくに、大学当局に対する学生の激しい反抗的行動が、長期にわたって終息せず、しかもそれが相当多数の学生にまで拡大して収拾困難に陥る傾向の見られることは、大学自身にも運営その他に多くの問題があり、その教育的な指導性もじゅうぶんに発揮できない状態にあるためと思われる。

よってこの際、このような事態の発生する要因を探究し、大学教育の正常な実施を保障するために当面とるべき制度上または運営上の方策につき、なるべくすみやかに結論を得る必要があると考える。

(検討すべき問題点)

1 教育課程の充実とその効果的な実施について

2 大学における意思決定とその執行について

3 学園における学生の地位について

4 収拾困難な学園紛争の終結に関する措置について

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(答 申)

昭和44年4月30日

文部大臣 坂 田 道 太 殿

中央教育審議会会長

森 戸 辰 男

当面する大学教育の課題に対応するための方策について

本審議会は、当面する大学教育の課題に対応するための方策について、第24特別委員会を設けて慎重な審議を行なって得た結果について、総会においてさらに審議し、ここに結論を得ましたので、別紙のとおり答申いたします。

目 次

第1 大学紛争の要因とこの答申の課題

1 大学紛争の根底にあるさまざまな要因

2 大学の特異な構造に由来する混乱の原因

3 新しい大学のあり方と大学制度の基本的課題

4 この答申の課題

第2 大学問題の解決について関係者に期待するもの

1 大学教員のあり方

2 大学管理者の役割と責任

3 政府の任務

第3 大学における意思決定とその執行

1 大学の中枢的な管理機関における指導性の確立

2 大学管理機関の機能的な役割分担の徹底

3 意思決定手続きの合理化

4 全学的な協調の確保

5 その他の必要な改善方策

第4 大学における学生の地位と役割

1 大学における学生の地位についての考え方

2 学内学生団体と学生自治会

3 学生の政治的活動と大学の秩序維持

4 学生に対する処分制度

5 いわゆる「学生参加」の意義と限界

第5 当面する大学紛争の終結に関する大学と政府の責任

1 大学においてとるべき措置

2 政府においてとるべき措置

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第1 大学紛争の要因とこの答申の課題

本審議会は、昭和42年7月以来、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の諮問に応じ、大学教育についても多面的に検討を進めてきたが、昨年11月、大学における異常な事態が激化する傾向にかんがみ、標記の課題について重ねて諮問を受けた。

いまこの答申を行なうにあたって、本審議会として、今日の大学紛争の由来するところをどう考え、この答申の課題を大学教育の基本問題との関連においてどうとらえたかについて述べたい。

もとより、今日の事態は、その背後に個々の大学を越えて既存の社会秩序の変革をめざす運動があり、単に大学問題としてとらえるだけではふじゅうぶんであるが、この答申はもっぱら大学および政府の文教政策の範囲内の問題を取り扱うこととした。

1 大学紛争の根底にあるさまざまな要因

今日、わが国の多くの大学で見られる紛争は、その発端の事情や事態の推移はそれぞれ異なっているが、その根底には多くの共通する要因があるように思われる。また、大学紛争が学内の問題にとどまらず、政治的、社会的な問題と密接に関連していることは、わが国はもとより欧米諸国でも共通に見られる現象である。しかもそのことが、経済的には高い水準であり高等教育についても長い伝統と高い普及率をもつ国々で顕著になってきたことは、注目に値する。

このことは、今日の世界における大学紛争が現代という時代の特有な性格に基因していることを示している。たとえば、既成のいろいろな政治的・社会的体制への不信、経済的には豊かな社会における精神的な空白、高度に技術化された社会における人間疎外など、さまざまな要因が多くの論者によって指摘されている。

さらに、それらの要因と関連して、今日の青年層とくに学生の意識や行動様式の中に、次のような大きな変化が起こったといわれている。

(1) その一つは、世代による価値観の相違、さらには世代間の対立の意識である。世代間の闘争と呼ばれる現象は、社会の転換期にしばしば見られるが、今日の社会の急激な変化とマス・メディアの発達が刺激と暗示を受けやすい青年に強く作用して、その現象をいっそう激化させている。また、かれらの中には新しい独自の文化へのあこがれがある。それは、享楽的、虚無的な行動として現われることもあるが、さらに大学改革や社会改革をめざす反抗となることもある。そして、大学生が量的に膨張したことや、都市生活における孤独感からのがれて集団に帰属感と充実感を求める傾向がかれらの中に増大したことが、いわゆるスチューデント・パワーの結集を容易にした一つの要因とされている。

(2) さらに、わが国では戦後社会の特質に関連のある特徴もみられる。伝統的な権威の崩壊と民主化の過程における権利意識の高揚と責任感の軽視、イデオロギーの対立による社会生活各般にわたる過度の政治意識、青少年の訓育に対する成人の自信喪失と過保護の傾向などによって、青少年の中に自己主張の態度と行動力が育ってきた反面、責任転嫁の傾向と自己統御力の不足などが目だつようになった。

(3) とくに戦後の学校教育においては、教育界における思想的な混乱、大学入学者選抜方法の欠陥による高等学校以下の教育のひずみなどが、青少年の正常で豊かな人間形成を妨げてきた。また、高等教育の急速な普及の効果は認められるが、それに応じた制度の改革、教育内容・方法の改善および教育条件の整備が立ちおくれたため、学生の中にいろいろな不満が蓄積されてきたことも否定できない。

上に述べたことは、広く現代社会の特質に関連するものであり、今後の文教政策の重要な課題を含んでいる。

2 大学の特異な構造に由来する混乱の原因

大学紛争は、上述のようなさまざまな要因により具体的な事件をきっかけとして発生するのであるが、それが収拾困難に陥る原因の一つは、大学関係者の中に伝統的な大学のあり方が維持できないと感じながらも新しいあり方の見通しがはっきりしないという苦悩があることであろう。そのような問題が生ずるおもな原因は、大学のもつ特異な構造に由来すると思われる。

大学は、管理者、教員、職員および学生という異質な構成員からなる多元的な社会である。しかも大学の性格、機能は多面的であり、公共的な管理のもとにある社会的機関という面、学術研究者の自由な活動の場という面、知識・技術や資格を付与する機関という面、師弟と学友の教育的な人間関係の場という面など、さまざまな側面をもっている。そして、それぞれの側面において、各構成員の役割と相互関係は異なるべきものである。

このような大学の多元性と多面性が時代の進展とともにしだいに顕在化してきたのが今日の状況である。そして、この多面性を無視してそれを一面的にとらえ、その側面だけから構成員の役割を規定し、たとえば大衆化した大学を教育的な人間関係だけで律したり、あるいは大学を単なる契約的な社会とみたりするところに大学像の混乱の原因がある。大学紛争の中で学生が、一方では強い権利の主張を行ないながら、他方では教師の学生に対する無関心に不満を表明するのもこのことと関連がある。

3 新しい大学のあり方と大学制度の基本的課題

本審議会は、すでに昭和38年1月の「大学教育の改善について」の答申において、新しい大学はかつての「象牙の塔」ではなく、社会的な機関としての性格をもつべきことを指摘した。それは個人と社会の教育に対する要請に即応できる大学であり、社会からの批判とその建設的な協力に道を開いた大学であり、公費の大幅な支援を受けるとともに学問研究を通じて社会に奉仕する大学であるという点において、いわば「開かれた大学」とも称すべきものであろう。

同時に、新しい大学は今後さまざまな類別化を必要とするであろうが、知識の伝達以上に新しい価値の創造を期待する大学においては、そこにおける教育的な人間関係の重要性を見落とすことはできないであろう。この関係は、多元的な大学という社会をまとめる中心であり、そこに人間的な統合を回復する場がある。このことは、ともすれば人間疎外に陥りやすい現代社会において、今後ますます重要な意味をもつと考えるべきである。

また、本審議会は、一昨年以来、学校教育を総合的に再検討するため現状の問題点を明らかにする作業を進めてきた。その審議の過程において、現在の大学制度には次のような基本的な課題のあることが指摘されている。

(1) 高等教育の普及に伴い、一方では多数の学生の多様な能力と要請に即して効果的な教育を行なうとともに、他方では学術研究の体制をいっそう高度化するため、高等教育機関の類別化、教育内容の多様化、大学の組織、編成および規模の適正化をはかること。

(2) 国立、公立および私立の大学という制度上の区別の意義を再検討し、公費負担による教育費の拡充と高等教育機関の計画的整備に関する公的な調整機能の充実とにより、高等教育全体の質的水準の向上をはかるとともに、その全体規模、専門分野別の割合、地域的配置などの適正化をはかること。

(3) 研究の自由を確保しながら時代の変化に応ずる社会的要請を進んで取り入れ、自治に伴う責任を自ら負担して教育・研究活動の効率化を自律的に行なうことができるような大学の新しい形態を検討すること。

(4) 人事の閉鎖性による社会からの遊離と沈滞を防ぐため、教員の人事交流を活発にするとともに、その教育・研究活動に不断の刺激を与えるような教員の選考方法、任用期間、身分保障などの制度と大学教員にふさわしい待遇とについて、検討すること。

本審議会は、この答申に引き続いてこれらの大学制度に関する基本的課題の検討を行ないその大綱についてなるべくすみやかに結論を得たいと考える。

4 この答申の課題

この答申では、大学紛争の根底にあるさまざまな要因と大学制度の基本的課題について上述のような認識に立ち、当面の事態に関する次のような問題点を中心として、これに対応するための方策を検討した。これは、当面の対策であるとともに、今後の根本的な改革の基礎づくりであると考える。

(1) 大学の組織の複雑化と巨大化に対して管理運営の機能の改善が著しく遅れているため、大学紛争が生じたとき収拾困難に陥りやすいこと。

(2) 学生の地位と役割について大学側の検討がこれまでふじゅうぶんであったため、学生自治会や学生の政治的活動に対する指導方針が確立されず大学の秩序維持が困難になったり、学生参加の要求に対処する考え方が定まらなかったりすること。

(3) 紛争がいつまでも継続して収拾困難に陥った場合にも、大学や政府の責任においてとるべき特別な措置について明確な方針が定まっていないこと。

なお、今日の大学問題の根本には教育の内容・方法の改善という重要な課題があるが、これは、上述の大学制度の基本的課題と切り離すことができないので今後の検討にゆだねることとした。

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第2 大学問題の解決について関係者に期待するもの

次章以下で具体的な方策を取り上げるまえに、今日の大学問題に直接関係のある大学教員、大学管理者および政府に対して本審議会が期待するところを述べたい。それは、たとえどのような方策を講ずる場合にも、大学問題の解決については、当事者の自覚と反省に基づく積極的な態度がなければその目的を達することはできないと考えるからである。

1 大学教員のあり方

今日の大学紛争の根底には、教員に対する学生の不満の蓄積があることは見のがせない。大学の現状においては、教員の処遇その他にも不満足な点の多いことはいうまでもないが、少なくとも次のような点についてはまず、教員自身の自覚を強く期待したい。

(1) 今日の学生は多様な興味と関心をもち、社会の現実についても希望と不安をいだいている。かれらの意識と態度に留意しながら学問的刺激を与えてその勉学の意欲を引き出すことは、今日の大学教員に要求される重要な任務である。

(2) 今日の学生は、他律的な制約を強く拒む態度を示しながら、他面では、教師との接触によって自己啓発の手がかりを得ることを渇望している。謙虚で誠実な一個の先達として、教師が学生に接することが要請される。

(3) 教員は、本来、研究者としては自由で独立した立場にあるが、教育者としては大学の教育計画に従ってその実施にあたることが要求され、組織の中で一定の地位を占める者としては自ら大学の規律を守るとともに、大学管理上の責任を分担することが求められる。さらに、国・公立大学の教員は、公務員としての地位と責務を有していることに留意しなければならない。

(4) 学問の自由を守るためには、学外からの不当な圧迫を排除するばかりでなく、学内においては、あらゆる思想に対して寛容であると同時に、個人の思想と良心の自由を侵す行為に対して勇気と信念をもって立ち向かう責任がある。

(5) 大学教員は、その社会的な地位と影響力にかんがみ、個人的な立場からの言動についても、一般社会の信頼にこたえるよう慎重な配慮が望ましい。

2 大学管理者の役割と責任

大学問題の解決のため他に先んじて改善の努力を払うことは、大学管理者に課せられた社会的責任であり、そのすぐれた指導性が発揮されなければ多数の大学関係者の善意と努力も正しく結実するものではない。次章以下に述べる方策は、多年にわたる大学の慣行を改めなければならないものを含んでおり、その実施に多くの困難が予想されるが、大学管理者が確信と勇気をもってそれにとり組まないかぎり問題の解決は期しがたいと考える。

大学紛争が激化した場合における力の抗争が生み出す荒廃は、大学にとって深刻な事態であるとともに国家社会にとっても重大な損失である。大学管理者は、学内の総力をあげてその解決に努めるとともに必要な場合には、閉鎖的な自治の考えにとらわれることなく学外からの協力を求めるべきである。また、大学管理者は、紛争の収拾を急ぐあまり、不当な圧力や要求に妥協的な態度を示すことは、かえって全学の信頼と協力を失う原因となることに留意する必要がある。

とくに公費に依存する国・公立大学は、その存立の基盤を国民または住民におくものだけに、その管理者は責務のいっそう重大なことを強く自覚すべきである。また、国立大学は、その設置者が国であることを考え、政府との間に緊密な協力関係を維持すべきである。

3 政府の任務

大学の自治と自主性は尊重されなければならない。しかし、そのために政府の大学政策が消極的に過ぎたり、また、大学がその自治と自主性を閉鎖的に考えて政府に対して不必要な反発を示したりする傾向が見られた。今後、政府は、その施策を進めるにあたって、まず、大学との間の協調関係に立って大学改革への自覚と努力を促すとともに、ともすれば社会に対して閉鎖的になりがちな大学に対し、一般国民の期待するところにこたえながら積極的に行政上の責任を果たすべきである。

さらに政府は、今日の世界のすう勢にかんがみ、その重要な施策の一として、高等教育に対する財政支出を拡充して、高等教育の計画的な整備充実をはかるべき時期に際会している。とくに私立大学においては、その経営が学生の経費負担に大きく依存していることが、紛争の大きな要因であるとともに、今後の発展に対する障害となっていることに留意しなければならない。本審議会は、目下、学校教育の総合的な拡充整備計画を検討しているが、このような教育の長期計画は、総合的、国家的な観点から強力に実施されることが期待される。

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第3 大学における意思決定とその執行

本審議会は、さきに昭和38年1月の答申において大学の管理運営の改善に必要な提案を行なった。そこで述べた考え方は今日も基本的には変わらないが、ここでは、大学紛争を契機としてとくに顕著となった大学の自治能力の欠陥を是正し、積極的な大学の改革を進めるために必要な当面の改善方策をあらためて取り上げる。

なお、大学の管理運営に一般社会の声を反映させる具体的な方策や私立大学の経理について適切な監査と合理化の方法を取り入れることなど、重要な課題については、さらに今後検討を進める必要がある。

大学の管理運営については、現行の法令で具体的に規定したものは少なく、各大学の慣行に任されているので、もっぱらその機能の改善のために必要な方策を提案する。その具体的な適用については、国・公立大学と私立大学の管理方式の相違、各大学の性格、規模などによる差異をじゅうぶん考慮する必要がある。

1 大学の中枢的な管理機関における指導性の確立

学部自治を重視するこれまでの大学の管理体制では、大学紛争のような全学的な問題を処理することはきわめて困難であり、まして、全学の意思を結集して大学の改革を進めることは期待できない。

これを改めるには、学長を中心とする全学的な管理機関が、大学の現状の問題点を的確にとらえ、その解決のための具体策を提案し、その実施について適切な指示を与えるとともに、全学的な意思の統合をはかることについて指導的な役割を果たす必要がある。そのような中枢機能を充実する方法として次のことが考えられる。

(1) 学長の職務の執行や全学的な基本問題の企画調査について、学長を補佐するため、副学長またはその他の機関を設ける。これらは大学の規模その他の事情に応じて複数とし、たとえば教務、学生、広報その他の分野を分担する。その選考は、教職員または学外の適任者の中から学長が行なうこととする。

(2) 前項の企画調査のため、学内から広く適任者を集めて合議制の機関を設ける。そのうち、次章で述べる学生参加の領域の問題を取り扱うものについては、学生の参加を認めることも考えられる。

2 大学管理機関の機能的な役割分担の徹底

大学内の各種の機関の役割分担とその相互関係が明らかでないため、管理運営が非能率になったり、混乱したりすることが少なくない。たとえば、多人数からなる合議制の機関で執行上の細目まで審議するため時宜を得た処置がとれなくなったり、執行機関の責任の範囲が明らかでないため独断に過ぎるとして学内の支持を失ったりすることがある。また、大学全体として責任の所在が不明確になることがある。このような欠陥は、各機関がその取り扱う問題に関し、基本方針の決定から執行までの過程のうちどの部分について権限と責任をもつかが明らかでないことに起因する場合が多い。

そこで、各機関の特質に応じて、次のような機能的な役割分担を徹底させる必要がある。

(1) 学長、学部長などの執行機関は、合議制の審議機関の承認した基本方針の範囲内で、個別的な事案の処理については大幅な自由裁量と専決が認められるべきである。これらの機関には行政上の識見のある者が選ばれ、相当な期間その仕事に専念できるようにする必要がある。また、それらの機関に必要な補佐機関や事務組織も整備されるべきである。

(2) 評議会、教授会などの合議制の審議機関は、もっぱら基本方針を定めて執行機関に方向づけを与える役割を担当し、執行上の細目の判断には関与すべきでない。その代わりに、執行の結果に重大な問題が生じたときには執行機関の責任をただすこととする。

なお、有効な協議を行なうためには、構成員数に限度があることを考え、代議制、委員会制などを活用すべきである。

3 意思決定手続きの合理化

多くの大学では、事の軽重や種類を問わず教授会の議を経るため、時間と労力が浪費されたり学部教授会の拒否などにより、大学の総意がまとまらなかったりすることがある。また、取り扱う問題の性格に関係なく、意思決定に参加する者の範囲を広げることにより、妥当な結論が得られなくなる場合もある。

このような不合理を改めるには、各大学の実情に応じ、意思決定に関する事案をその性格に応じて区分し、それぞれにふさわしい異なった意思決定の手続きをとることが望ましい。その区分の例としては、各部局の意見を徴したうえで全学的な統一方針として決定すべきもの、全学的な方針に基づいて各部局で決定すべきもの、各部局ごとの判断だけで決定すべきもの、執行機関の判断により決定すべきものなどが考えられる。

4 全学的な協調の確保

大学の組織の複雑化と規模の膨張に伴い、次のような方法により、全学的な協調の確保に努める必要がある。

(1) 学内広報活動の充実

大学の方針や現状について適時正確な情報を広く学内に提供するため、学長に直属する学内広報機関を設ける。この場合、大学の財政状況に関する適切な情報についてもあわせて考慮する。

(2) 学内の希望や意見の反映

前述の企画調査機関などが、随時組織的に意見調査を行なったり、公聴会を開いたりして、教職員や学生一般の希望、意見、不満などを大学の意思決定に反映させる道を開く。

5 その他の必要な改善方策

上述のほか、次のような点に改善を加える必要がある。

(1) 学生生活指導の充実

学生の生活指導を充実するため、さきに述べた企画調査機関において具体的な実施方策を立て、全学的な統一方針を確立すべきである。その実施については、全学的な協力のもとに、次章に述べる学生に対する措置を含めて広く学生生活全般にわたり、学生部がその役割と責任を果たすことができるようにする。

(2) 秩序違反に関する学生処分の審査機関の一元化

次章に述べるように、客観的に公示された大学の規律に違反した学生の処分については、全学的な立場から公平に審査するため学長に直属する機関を設ける。

(3) 学内監査機能の充実

学内関係者の批判をくみとり、それを大学の管理運営の改善に反映させるため、必要に応じて大学管理者に勧告する学内監査機関を設ける。この機関には学外者を参加させることも検討する必要がある。

(4) 教職員に対する部局長の指導の徹底

教職員は組織の中で一定の地位を占めるものとして、大学の方針に基づく職務上の命令を守る義務があり、部局長は、これに必要な指導を与えるとともに、その義務に違反した者については的確にその責任を問うべきである。

(5) 大学管理者の資質の向上

大学の執行機関の地位を占める者に要求される資質は、教育・研究に従事する者のそれとは異なるものである。そのような資質の向上をはかるため、相互研修その他の方法について検討すべきである。

(6) 事務機構の整備と職員の資質の向上

大学の管理運営を能率化するためには、大学の事務機構の近代化、合理化と事務系その他の職員の資質の向上とが重要である。今後は、大学行政に識見を有する行政職員および専門職員の計画的な養成をはかるとともに、その地位と待遇の改善についても検討すべきである。

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第4 大学における学生の地位と役割

今日の大学紛争においては、その多くの場合、大学管理者と学生との間にきびしい対立が生じ、師弟関係や大学の秩序が従来のままでは維持できないような事態がみられる。その背景には、先に述べたとおり、現代社会の政治的・社会的条件が複雑にからみあっているが、同時に、大学自体において、現代の学生に対して適切に対応する用意に欠けるところがあったことも否定できない。

これらの紛争をとおして学生からさまざまな要求が出され、それを大学がどのように受け止めるかが問われている。また、大学は、ときに逸脱する学生の集団行動に対処して大学の秩序をどのように維持するか、さらには、大衆化した今日の大学において、大学管理者・教職員・学生の間の意思疎通をよくするためにはどうするかなどの問題に直面している。これらの問題を考えるためには、大学において学生は、本来どのような地位を占めるものであるかを明らかにする必要がある。

この場合、学生の地位からみてその活動に一定の制約があることを明らかにするばかりでなく、大学紛争の底にある学生の大学改革に対する期待に適切にこたえる方法を考えることが、今日の事態に対処する正しい態度といえよう。わが国の将来をになう者は学生であり、それだけに、その過誤はきびしく正すと同時に、その問題提起の中から正しい発展の可能性を見いだす態度をもって、学生に期待すべき積極的な役割をあわせて検討する必要がある。

1 大学における学生の地位についての考え方

学生の地位については、学生を大学という公共の施設の単なる利用者にすぎないとしたり、共同体としての大学において管理者および教職員と対等な構成員とするなど、学生の地位を一面的にとらえる見方が多く、そのために、学生に正当な要求があることを軽視したり、逆に学生に過大な権利を認めようとするなどのかたよった考え方が生じやすい。さらには、今日の社会における世代間の対立意識を利用して、特定の政治的な意図のもとに大学に要求したり、その秩序に反抗したりする動きもみられる。これらが、学生の地位についての考え方を混乱させている。

本来、大学における学生の地位は、次のような諸側面から総合的に考えられるべきである。

(1) 学生の地位は、大学という社会的機関へ学生が自らの選択によって志望し、これに対して大学が入学を許可することによって生ずるものであり、学生はその在学期間、大学において教育を受け、その施設・設備を利用する権利が認められると同時に、大学がその機能を営むうえに必要な規律に従う義務を負うものである。

(2) 学問の教授と学習という面からみれば、学生は、本来学ぶ者として教師の学識を信頼し、大学の定める教育上の計画と指導に従うことが求められる。同時に、とくに大学においては自主的に学ぼうとする学生の態度が尊重され、教育の内容・方法や教育環境の改善について学生の意見が取り入れられるよう配慮されるべきである。

(3) 学生の学園生活という面についてみれば、学園は、自律性のかん養や学生相互の啓発のために学生にとって豊かな体験の場であり、また多数の青年が学園生活を健康的に営むための場でなければならない。したがって学生は、自己の責任において規律のある諸活動を行なうことが期待される。同時に大学は、それに必要な環境を整備し、必要に応じて指導と助言を与えるように努めなければならない。

なお、大学院学生の地位については、わが国の学術研究体制のあり方に関連する面もあり、今後さらに検討する必要がある。

2 学内学生団体と学生自治会

今日の大学にはさまざまな学生団体があり、学生の自主的な運営によって、文化・体育・レクリエーション・福利厚生などの諸活動が行なわれている。これらは、学園生活を内容豊かなものとし、学生の人間形成にとっても貴重な体験の場を提供する点において重要な意味をもっている。そのために、ほとんどすべての大学は、これらの活動に対して積極的な指導と援助を与えている。

また、多くの大学には、一般に学生自治会と呼ばれるものがある。それは、上述のような各種の学生団体を包括した組織であったり、独立の団体であったりする場合もあるが、通常、次のような点で一般の学生団体とは異なった性格をもっている。すなわち、それは、大学に入学した学生全員を自動的に会員として会費を徴収し、学生大会という形式で全学生の意思を代表する決議を行ない、大学当局と交渉する特別な地位をもっていることである。

ところが、わが国の大学の学生自治会の中には、戦後の社会情勢を反映して、さらに別の特異な性格をもつようになったものが少なくない。すなわち、それらの自治会は大学外の組織に加盟し、その統一的な指令のもとに全学生を特定の学生運動に動員するための学内組織として、少数の学生活動家により利用されるようになった。しかもこの場合、その運動が全学生の総意の名のもとに、学生一般に有形無形の拘束を与える結果となっている。

本来、学生団体の運営は、その構成員の総意によって自治的に行なわれるべきものであるが、同時に、構成員各個人の自主性はあくまで尊重されるべきで、集団の名において不当な支配が行なわれてはならないものである。とくに全学生を自動的に会員とし、個人の脱退を予定しないような団体においては、個人の基本的な自由を侵すことのないようその活動の領域に厳密な制限がなければならない。このような原則を守ることは、まず学生一般の自覚と努力にまつべきであるが、諸大学の現状ではそれだけに期待することはむずかしく、大学は教育指導上の責任からみても、次のような措置をとる必要がある。

(1) 学生団体一般については、任意加入制を前提として、その目的・組織・経理その他の基本的な事項について、大学が公認するために必要な条件を定め、構成員の意思が正しく反映されるよう必要な指導を行なうとともに、大学の施設の利用その他について援助を与える。このような公認の条件に適合しないものに対しては、大学の施設の利用等について公認団体に与えられる特典は認められないものとする。

(2) 全学生の自動加入制をとる学生自治会を認めようとする場合には、たとえば会議の際の定足数、議事手続きなどをいっそう具体的に明記させるとともに、その活動の領域については大学の存立の目的に反したり、学生個人の基本的な自由を拘束したりすることのないよう明らかな条件をつけるものとする。全員加入制をとりながらこのような条件を満たさなくなった学生自治会は、公認が取り消され、その地位と特典を失うことはいうまでもない。学生自治会が任意加入制をとる場合は、前項の学生団体一般の取り扱いによるものとする。

(3) 学生一般とくに新入生に対しては、大学の公認する団体についての実状を周知させる方法を講じ、正しい認識をもってそれらへ加入できるようにすることが望ましい。

3 学生の政治的活動と大学の秩序維持

個人としての学生は、一般市民と同じような政治活動の自由をもっている。また、今日の社会において、学生が政治問題に強い関心を示すことは、むしろ当然であろう。

しかしながら、現在の大学紛争の中心には、大学の現状の改革よりは既存の秩序の破壊をめざす政治的な学生の集団のあることに留意し、それに対して一切の暴力を排除し、大学の秩序を守る方策が考えられなければならない。大学の現状にどれほど改革を必要とするものがあるとしても、単なる破壊からは解決の道は開かれず、あくまで理性的な判断に基づいて大学の新しいあり方を探究すべきである。そのような建設的な努力を可能にし、必要な改革を実施するためにも、秩序の確立が当面の重要な課題である。

したがって、本来、学生の政治的活動には、学生の地位および教育基本法の精神にかんがみ、次のような制約のあることがあらためて確認されなければならない。

(1) 学園は本来政治的な宣伝の場として利用されてはならないのであって、学問の教授と研究に必要な自由で寛容な知的ふんい気を乱し、個人の思想および良心の自由に有形無形の圧迫を与えるような活動は許されない。

(2) 大学の施設を政治的活動の拠点として乱用したり、大学の教育と研究の正常な実施を妨害したりする活動は許されない。

(3) 学園外においても、大学の公認する団体の名において不法な手段で行なう活動は許されない。

これまで多くの大学では、学生の政治的活動について明確な方針が定まらず、秩序が破壊されたり、暴力的な行動が発生したりして、教育的な指導の限界をこえたと認められる事態においても、警察などの協力を求めることに消極的な態度をとってきた。これは、かつて、教員の人事などについて政府と大学との間に紛争のあったことなどから生じた閉鎖的な大学自治の考え方に由来しているが、今日の大学においては、そのためにかえって、学園が暴力的な政治活動に利用されるという弊害が生じている。よってこの際、大学は、次のような措置を講ずる必要がある。

(1) 学内施設の利用の方法、学生団体の公認の基準、大学管理者との交渉の手続きなどについて明確な規程を設けて、上記のような学生および学生団体に認められない活動が生じないよう適切に運用するとともに、これらの規程に違反した行為に対しては、学生団体の公認を取り消すなど、その責任を問うこと。

(2) どのような学生団体もその決議を理由に学生の授業への出席を妨害したり、授業の実施を妨げたりすることは許されず、そのような行為は、学生の授業を受ける権利を侵し、大学の秩序を乱すものとしてその責任が問われなければならないこと。とくに全員加入制の学生自治会については、授業放棄の決議をすること自体、その活動として許されるべき範囲を逸脱するものであること。

(3) 上記のような大学の措置が効果を発揮せず、大学だけの力では秩序の回復が困難となり、かつ、明らかに不法な行為が認められるときは、大学は、公的な性格をもつ社会的な機関としての責任を果たすため、警察力による規制を求めること。

4 学生に対する処分制度

従来、大学においては、教育手段としての懲戒処分の一環として、大学の秩序を乱す行為に対する処分が行なわれてきた。また、多くの大学においては、授業料の滞納者や長期の留年者に対して除籍という処分も行なわれてきた。

ところが、大学における懲戒またはその他の処分についてこれまでの事例を見ると、とくに学生の政治的活動に伴う秩序違反の行為をめぐって、次のような問題が生じている。

(1) 処分の対象となる行為の範囲が明らかでなかったり、それに対する警告や指導がじゅうぶんに行なわれないままに処分されたりしたため、処分の意図するところが何であるかについて学生のがわに疑問の生ずる場合がある。

(2) 日ごろ見過ごされている行為が、ある時だけ処分されたり、同じ行為が同一の大学内で別々の基準で処分されたり、処分の審査が公正を欠いていると思われたりして、大学の処分を学生一般が公正なものと信じなくなる場合がある。

(3) 懲戒処分の教育的な意味を誤解して寛大にすぎたり、処分に伴う学生の反発を考えて不問に付したりする場合がある。

このような問題を解決するためには、各大学において、全学的な立場から学生処分が公平かつ的確に行なわれるとともに、当事者の主張が公正に処分に反映されるような手続きと慣行を確立する必要がある。この場合において、問題の生ずる大きな原因としては、学生の政治的活動に伴う秩序違反の行為を一般的非行と同様に取り扱うのに疑問が生じやすいこと、また、そのような行為に対する処分が運動の不当な抑圧と誤解されるのをおそれることなどが考えられるので、次のような点について考慮すべきである。

すなわち、まず、従来の懲戒については、それが真に学生に対する教育指導の手段として効果を発揮するように適切に運用される必要がある。さらに大学の秩序を保ち大学の機能を守ることを目的とし、学生としての基礎条件を欠いたものを大学から排除する処分の方式を考える必要がある。このような処分の事由に該当する行為については、その目的や動機ではなく、それが大学の秩序を乱し機能を妨げることを問題とする観点に立ち、その範囲をできるだけ客観化されたかたちであらかじめ明確に公示することが望ましい。処分の事由に該当する行為をした者に対しては、的確に警告または指導を与えるとともに、なお一定の限度を越えて違反をくりかえす者は、学生としては基本的な義務に違反し、その資格を欠いた者として、大学を去るのが当然であるという考え方が学内に徹底される必要がある。

5 いわゆる「学生参加」の意義と限界

今日の大学紛争の根底にある問題の一つは、大学の規模が急速に膨張し、組織が複雑化し、学生の社会的な意識が大きく変化したにもかかわらず、学生・教職員・管理者の間の意思疎通をはかる努力が払われず、学生の正当な要請を適切に受け止める道が開かれていなかったため、しばしば不満が蓄積したり、誤解が広がったりして、大学全体に相互不信の気持ちが流れる場合があるということである。このような状態では、秩序の維持や教育と研究のいきいきとした活動も期待されないであろう。

今日いわゆる「学生参加」が新しく大学の問題として大きく取り上げられているのも、この状態に対処するための一つの試みである。しかしながら、学生参加が所期の効果をあげるためには、学生一般がこれに対して積極的、建設的な意欲をもつことが期待され、大学自体においても、提起された問題に適切に対応できる態勢が整備されなければならない。

学生参加については、諸外国においてもいろいろな事例がみられるが、各国における大学の成り立ちや学生の気風その他の歴史的・社会的背景が異なるので、これらの事例がかならずしもそのままわが国の大学にあてはまるものではないことに留意する必要がある。

以下、わが国の大学において学生参加を実行に移す場合に考えなければならない諸点を掲げることとする。

(1) 学生参加の意義

学生参加とは、大学における学生の地位とその役割にかんがみ、その正当な要請を大学が適切に受け止めるための恒常的な体制を整え、全学的な意思疎通の道を開くとともに、学生の希望や意見を大学の意思形成の過程に取り入れて、大学の運営と教育・研究の活動を積極的に改善する契機とすることであり、あわせて、学生参加の体験を通じて学生の社会的成熟が助長されることを期待するものである。

(2) 学生参加の領域と限界

学生の希望や意見を積極的に取り入れることが適当な領域を考える場合には、上記のような学生参加の意義からみて、それぞれの分野の問題について学生がどの程度の知識・経験・責任能力をもつものと期待できるかを判断の基準とすべきである。学生の課外活動や福利厚生事業と修学環境の整備ならびに教育計画と授業の内容・方法の改善などの分野については、取り上げる問題が適切であれば学生参加の効果が期待できるものと考えられる。しかしながら、教職員の人事、学業成績の評価、学校財政などの分野は、学生参加の領域に含めることは不適当である。なお、学長、学部長等の候補者の選考について学生の信任投票を行なうことなどを大学の正規の手続きとすることも、不適当である。

ただし、学生参加の問題とは別に、すべての領域のことについて常時学生一般の中に生じうるさまざまな希望・不満・苦情などが適切に処理され、また、大学内の諸問題に関する正確な情報が的確に学生に伝達されるような方法を検討する必要がある。

(3) 学生参加の形態と条件

上記の学生参加の領域に含まれる問題について学生を参加させる形態としては、大別して次のようなものが考えられるが、それぞれの特質を生かすためにはそれにふさわしい条件が整っていなければならない。また、それらの領域のうちどの問題についてどの形態を適用するかについても、各大学の事情に応ずるよう適切な配慮が必要である。

ア 意見聴取

これは、組織的に全学生の意向を調査したり、公聴会を開いたりする方法などである。この場合には、問題の取り上げ方について学生の希望をあらかじめじゅうぶんに取り入れるべきであり、結果の処理についても、学生に周知させることが望ましい。

イ 代表参加

これは、前述の学生参加が適当と思われる領域に含まれる問題を取り扱う大学の公式の機関に、正式の構成員として学生の代表を加える方法である。この場合の学生代表は、代表となるための所定の条件を具備した者の中から、問題の性格に応じたいろいろな学生の選出単位ごとに、投票権をもつ者の大多数の意思表示によって公正自由に選出された者とする。この代表は、特定の学生団体の利益だけを代弁する者であってはならないし、また、その参加した機関の構成員としての規律に服する義務を負うものとする。この方法は、学生の意見を取り入れることを制度的に保障することであるが、学生代表と学生一般との間の意思疎通が途絶しないよう配慮すべきである。

学生代表を参加させる機関としては、意思決定機関の諮問を受けてそれに答申する機関や特定の事案の事前審議により意思決定に参与する機関などが考えられる。しかし、学生の地位からみて、大学の実質的に最終的な意思決定機関に学生が参加し、またはその機関の決定に対して学生が拒否できる制度を認めることは、適当でない。

また、協議会等の名において、学生団体の利益を代表する者と大学管理者が相対立する立場においていわゆる「交渉関係」をもつことは、機関の構成員が一定の役割とそれに伴う責任を分担する「代表参加」とは異なるものである。この場合の交渉は、いうまでもなく労使関係の交渉とは本質を異にしており、その協議が整わないかぎり大学の意思決定が行なえないものとすることは、許されない。

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第5 当面する大学紛争の終結に関する大学と政府の責任

前述のとおり、大学紛争の要因は複雑であり、大学に内在する問題もきわめて深刻であってその根本的解決を得なければ、当面する紛争の解決も完全を期しがたいであろう。しかし、今日の事態の収拾は焦眉の課題であり、このことについて大学当事者の自覚と努力に期待するところはきわめて大きく、まさに大学自治の試練の時であると考えられる。

このような大学の努力にもかかわらず、紛争が激化して長期にわたり、大学の入学・卒業が正規の時期に行なわれなくなったときは、大学当事者ばかりでなく、紛争に直接責任のない一般社会にまできわめて重大な被害を及ぼすこととなる。そのような事態は、もはや大学自治の範囲内の問題としてその責任だけに任せておくことはできない。これを未然に防止するとともに、一定の限度を越えて長期化することを阻止するため、紛争終結に関する特別措置を検討する必要がある。このことは、とくに制度的保障のうえに安住しやすい国・公立大学について強く要請される。

本審議会は、そのような特別措置として、次のことを提案する。

1 大学においてとるべき措置

本来、教育と研究を目的とする大学は、組織的・計画的な秩序破壊の運動にじゅうぶんに対抗できる体制を備えていない。したがって、紛争の終結を促進するため大学が自主的にとるべき措置は、そのような事態に対処する機能を臨時的に強化することである。

たとえば、大学の教育・研究の機能が相当の期間停止したり、また入学・卒業が正規の時期に行なわれないおそれが生じたときは、事態収拾を的確迅速に行なうのに必要な範囲内で、大学の意思決定とその執行の権限を適当な大学管理者に集中する必要がある。この場合、その管理者は、全学一体となって事態の収拾にあたるため、学内の協力体制を乱すことをやめようとしない教職員があるときはこれを一時的に職場から遠ざける措置をとる必要がある。

2 政府においてとるべき措置

政府は、大学の自治能力の回復とその自力による紛争の終結を助けることを主眼として、状況に応じて次のような措置をとる必要がある。

(1) 上記のような大学のとるべき措置について大学管理者に勧告すること。

(2) 大学管理者が、その施設を保全しながら、妨害を排除して教育・研究の再開の準備に専念するため、大学の設置者が6か月以内の期間休校または一時閉鎖をすることができるようにすること。

この場合、政府のとるべき措置に関し、公正な世論を反映させるための権威ある第三者的機関を設ける必要がある。なお、必要な場合にはこの機関が紛争の解決についてあっせんを行なうことも考えられる。

もし、大学紛争が極端に悪化した場合には、大学自身が崩壊の危機に立ちいたるであろう。したがって大学は、そのような事態をあくまで回避するため、上記の措置によって紛争解決に全力を尽くすとともに、政府としても、大学の自治能力を回復するために、大学に対してあらゆる指導と援助を与える責任がある。しかもなお、不幸にして大学が実質的に崩壊状態となり大学としての存在理由が失われるにいたると認められる場合には、政府は、第三者的機関の意見を聞いて、その最終的な処理のため必要な、適切な措置を講ずべきである。

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中央教育審議会「大学教育の改善について(答申)」(38答申) - 1963年1月28日

出典:文部科学省ウェブサイト「大学教育の改善について(答申)(第19回答申(昭和38年1月28日))」(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)保存ページ)https://warp.ndl.go.jp/20100406/20100404043954/https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuuou/toushin/630101.htm

 

※ 原本(https://www.digital.archives.go.jp/img/1519981)に照らして誤記と思われるものは修正済み

 

大学教育の改善について(答申)

(諮 問)

昭和35年5月2日

中央教育審議会

文部大臣 松 田 竹千代

次の事項について、別紙理由を添えて諮問します。

大学教育の改善について

(理 由)

終戦後行なわれた教育制度の改革によつて、わが国の高等教育機関は等しく新しい性格、内容を有する大学になつたが、その実施の状況をみるに、わが国の実情にてらし、なお種々検討を要する問題がある。また最近の産業経済ならびに科学技術の発展にかんがみその改善を要望する向きが少なくない。よつてこの際その目的・性格、設置、組織編成、管理運営等について根本的に検討を加え、その改善を図りたいと考える。

検討すべき問題点

1.大学の目的・性格について

大学の目的・性格を再検討し、高等教育機関の種別およびその修業年限あるいは教育内容等について改善を図る要はないか。

2.大学の設置および組織編成について

大学の数、配置、組織編成ならびに専攻分野別による学生の数等について検討し、その改善を図る要はないか。

3.大学の管理運営について

大学管理機関のあり方、教員の待遇および身分取扱い等大学の管理運営について検討し、その改善を図る要はないか。

4.学生の厚生補導について

学生の厚生補導について検討し、その改善を図る要はないか。

5.大学の入学試験について

大学の入学試験の方法および競争緩和について検討し、その改善を図る要はないか。

6.大学の財政について

大学の財政について検討し、その改善を図る要はないか。

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(答 申)

昭和38年1月28日

文部大臣 荒 木 萬壽夫 殿

中央教育審議会会長

天 野 貞 祐

大学教育の改善について(答申)

本審議会は、大学教育の改善について、特別委員会を設けて審議を行なつて得た結果に基づき、総会においてさらに慎重に審議し、下記の結論に到達しましたので、答申いたします。

記

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I 大学の目的・性格について

高等教育機関に対する要請は、科学技術の進歩、産業経済の発展、社会生活の高度化、国民大衆における教育の水準の向上などに伴い、広範かつ多様になつている。

このような事態を背景として、大学の性格・機能も大きな変化をとげ、いわゆる象げの塔よりも社会制度としての大学が強く表面に現われてきた。このことは、また、大学の目的・使命と国家・社会の要請との関連がいよいよ密接になりつつある事実を表わすものである。すなわち、大学は、一方では、激しい国際競争に対処し、絶えざる社会の進歩の要求にこたえて、高度の学術研究を行ない、わが国の文化の維持向上に寄与するという、その伝統的使命を保持するとともに、他面では、民主社会の発展に伴う教育民主化の要望にこたえて、広い階層の人々に高い職業教育と市民的教養を与えるという新たな重要な任務を果たさなければならない。それと並行して、高等教育の対象が、選ばれた少数者から、能力、特性等において幅のある広い階層へと変わつてきたことをも注意しなければならない。

新制大学の制度は、戦後における教育改革の一環として、学術研究、職業教育とともに、市民的教養と人間形成を行なうという理念に基づいて発足した。しかるに、実施後十数年の実績をみると、所期の目的が必ずしもじゆうぶんに達成されていない。そのよつてきたる重要な原因の一つは、わが国の複雑な社会構造とこれを反映するさまざまな実情にじゆうぶんな考慮を払うことなく、歴史と伝統を持つ各種の高等教育機関を急速かつ一律に、同じ目的・性格を付与された新制大学に切り換えたことのために、多様な高等教育機関の使命と目的に対応しえないという点に求められる。

高等教育機関ないし大学の目的・性格を検討するにあたつては、まず、これらの諸点をじゆうぶん考慮することがたいせつである。

以上の観点から、わが国の高等教育機関の目的・性格について、これらに応じた種別について、またその種類に応じた修業年限、教育内容、教育方法等について検討を加えた結果、次のような対策が必要であると考える。

1.種別および修業年限

高等教育機関には、学問研究と職業教育に即して、おおよそ三つの水準が考えられる。

すなわち

(ア) 高度の学問研究と研究者の養成を主とするもの

(イ) 上級の職業人の養成を主とするもの

(ウ) 職業人の養成および実際生活に必要な高等教育を主とするもの

の三つである。

わが国においては、現在、大学院、大学学部および短期大学がおおむねこれらの水準に対応する。

これら各水準における高等教育機関は、その独自の機能を果たすうえにおいて、それぞれ次のような問題点をもち、これに対して以下の改善が必要とされる。

(1) 大学院には、修士課程と博士課程があり、その一つまたは両者が置かれている。修士課程は、現在、博士課程と並んで、研究能力の育成を目的としているが、研究能力の高い職業人の養成も行なうようにすべきだという意見も強く、また現実にはこのような役割も果たしており、とくに最近ではこの種の教育に対する要望がますます高まりつつある。このような事情にかんがみ、博士課程においては、研究者の養成を主とし、修士課程においては、研究能力の高い職業人の養成を主とするものとすべきである。

修士課程と博士課程の性格がこのようなものであれば、両者はこれを学部の上に並列させて置くのが適当であろう。しかし修士課程を修了して博士課程に進学する積み上げ式も、大学院における専攻の性質、大学院の運営および学生指導のうえからみて、実情に即した面をもつている。よつて、並列式と積み上げ式の両者を認めてよいであろう。

博士課程は、高度の、しかも独創的な学問研究を行ない、わが国の学問水準の維持向上に寄与することを使命とするものであるから、教員組織や施設設備の充実したきわめて高い水準のものでなければならない。したがつて、博士課程の設置条件は、高くかつきびしいものとし、重点的充実を期する必要がある。

また、博士課程の上述のような使命とあり方を考慮すれば、その学生を確保するために、これを他の大学の卒業生にも広く開放し、その他有効適切な措置を講ずべきである。

大学院は、現在学部を基礎としており、両者は、緊密な関連をもつものであるが、大学院の内容を充実し、運営を効果的にするためには、ある程度の専任の教員と専用の施設設備をもつべきである。これとならんで、大学院として自主的運営を図るための管理機構についても考慮すべきであろう。

(2) 学部水準の高等教育機関は、高等教育機関の中心的な地位を占めており、研究者の教育、高い専門職業教育、高い教養教育、教員養成、芸術専門家の育成などきわめて多様な使命をもつている。しかるに、現在の制度のもとでは、これら各種の教育を、同じ目的・性格を持つ大学学部において行なつており、教育内容についても、一つの設置基準によつて一律の規制を受けている。このため、学部水準の教育においては、それぞれの目的に応じた特殊性が教育内容その他の面に必ずしも反映されていないうらみがある。そこで、学部水準の教育がじゆうぶんその使命を果たすためには、それぞれの特殊性に応じ、教育内容に特色をもたせうるように設置基準を定めるべきである。また、芸術専門家の育成のように特殊な教育内容を持つものについては、種別を分けることが望ましい。

学部の修業年限に関しては、特定の専攻分野について、現在の修業年限の延長を希望する意見がある。しかし、現行制度のもとで教育内容、教育方法の改善等の措置を講ずれば、しいて修業年限を変えなくてもよいと思う。ただし、上記の措置を考慮したうえでもなお必要な専門能力を育成しえない専攻分野においては、修業年限の延長もやむをえない。

(3) 短期大学については、さきに答申した「短期大学制度の改善について」の趣旨のように、その目的・性格を明らかにするとともに、これを恒久的な制度とする必要がある。

なお、同答申では、高等学校の課程を包含し、一貫した専門教育を行なうものについて述べているが、「高等専門学校」はこの趣旨にそうものと考える。

(4) 以上のような観点から、高等教育機関に次のような種別を設け、それぞれの修業年限を定めるべきである。

ア 大学院大学

高度の学術研究を行なうとともに、高い専門職業教育を行なうもの。

(注) 「高い専門職業教育」には、高い教養教育および教員養成を含む。

(ア) 総合大学を原則とし、すべての学部の上に博士課程を置く。また、修士課程を置くことができる。ただし、医・歯学部の上には修士課程を置かない。

学部を置かない大学院大学も考慮する必要がある。

(イ) 学部の修業年限は、4年とする。ただし、専攻分野によつては5年とすることができる。

医・歯学部は6年とする。

(ウ) 修士課程は、研究能力の高い職業人の養成をおもな目的とし、修業年限は2年とするが、5年の学部の卒業者は1年で修了するものとする。

博士課程は、修士課程と並列にまたはその上に置く。修業年限は、修士課程の上に置く場合は3年とする。並列に置く場合は5年とするが、5年の学部の卒業者は4年で修了するものとする。

医・歯学の博士課程の修業年限は4年とする。

(エ) 博士課程修了後研究を継続する者のために必要な措置について検討すべきである。

(注)

1.学部自身は、博士課程の有無によつてその性格が異なるものと考えるべきではないが、博士課程と学部とは、緊密な関連をもつて運営されるものであるから、博士課程の有無によつて学部の運営等に差異の生ずる結果となることも認められなければならない。

2.高度の学術研究の発展を目的とする大学院の重要な使命にかんがみ、大学院大学は、大学院に重点をおくようにすべきである。

イ 大 学

主として高い専門職業教育を行なうもの。

(注) 「高い専門職業教育」については、大学院大学の(注) と同じ。

(ア) 博士課程は置かない。必要な場合は修士課程を置くことができる。

ただし医・歯学部の上には置かない。

(イ) 学部および修士課程の修業年限については、大学院大学の場合と同じ。

ウ 短期大学

専門職業教育を行なうものまたは実際生活に必要な知識、技能を与えもしくは教養教育を行なうもの。

修業年限は、2年または3年とする。

エ 高等専門学校

義務教育修了者に対して専門職業教育を行なうもの。

修業年限は5年とする。

オ 芸術大学

音楽、美術等に関する専門家の養成を行なうもの。

修業年限は4年とする。また、中学校卒業を入学資格とし7年とすることができる。

なお、音楽、美術に関し、さらに高度の技術の修得および研究を行なうための特別の課程を置くことができる。

(注) 一般教育は、上述の高等教育機関のすべてにおいて行なわれるべきである。

(備考)

1.大学院大学の専門課程に進学するための、義務教育修了を入学資格とする教育機関の設置について検討すべきである。この場合、この教育機関の卒業生を専門課程に吸収しうるよう措置する必要がある。

2.イの大学のうち、主として単科のものについては、他の高等教育機関において一般教育等を履修した者を入学させる専門課程だけの大学も例外的に考えられる。

2.教育内容および教育方法

(1) 教育内容および教育方法については、高等教育機関の種別に応じ、それぞれの目的を達成しうるよう、これに特色をもたせる必要がある。また人間形成は、高等教育の重要な使命の一つであるから、教育内容および教育方法を改善するにあたつては、特にこの点に留意しなければならない。なお、課外活動の指導にあたつても、同様の関心が必要であることはいうまでもない。

(2) 教育内容は、現在、いわゆる教養課程に属するものと、専門教育課程に属するものとに大別され、前者には一般教育科目、外国語科目、保健体育科目、基礎教育科目があり、後者には専門教育科目がある。これらの科目の履修基準については、現在のようにこれを一律に定めることなく、高等教育機関の種別に応じ、また同種別のうちにあつてもその教育目的に応じて、特色を生かしうるように定めるべきである。

(3) 一般教育は、広い教養を与え、学問の専門化によつて起こりうる欠陥を除き、知識の調和を保ち、総合的かつ自主的な判断力を養う目的をもつものである。一般教育のこのような趣旨を生かすとともに、教養課程における教育の合理化を図るため、一般教育の内容方法について、次の諸点を改善する必要がある。

ア しばしば一般教育と基礎教育とが観念的にも実践の上でも混同されているために、本来の一般教育も専門の基礎または準備のための教育も、ともにその効果がじゆうぶんあがつていない場合が少なくない。したがつて、一般教育と基礎教育との分界の関連を明らかにすることが望ましい。

イ 現制度のもとでは、人文科学、社会科学、自然科学の三系列にわたり、均等の科目数、単位数が要求されており、専攻分野の種類に応じた特色が考慮されていない。そこで、三系列間の科目数、単位数の配分は、専攻分野の特色を考慮して定めうるようにすべきである。

ウ 一般教育科目の系列および科目の調整、たとえば総合コース等の新たな方法についての検討が必要である。

エ 一般教育は、高等学校における教育のくり返しにすぎないという批判もあるので、一般教育については、高等学校の教育内容との関連を考慮し、高等教育機関の学生の理解力にふさわしい高度のものとすべきである。

オ 現在の一般教育は、以上の諸点を考慮した上で、その内容方法を改善すれば、一段と効果的に行なうことができると考えるので、一般教育にあてる期間は、専門教育との関連を考慮し、各高等教育機関の教育目的に応じて定めるべきである。

(4) 外国語科目は、教養課程において主要な地位を占めているにもかかわらず、その教育の成果は必ずしもじゆうぶんにあがつていない。外国語科目は、専門教育の基礎として重要であり、国際理解を深め、教養を高めるためにも大きな意義をもつものであるから、この教育を効果的に行なうためにじゆうぶんな方途を講ずる必要がある。

(5) 保健体育科目は必要であるが、そのあり方については、検討すべきである。

(6) 大学の卒業には、一定の単位数の修得が要件とされており、単位は、教室内の授業に教室外の学習を含めて定められている。けれども現状のもとで単位制度をその本来の趣旨どおり実施するには幾多の困難があり、これが学力向上の妨げの一つとなつていることも争えない。このように、単位制度の現状は、わが国の実情に即しないものがあるので、一方でその障害をとり除くことに努めるとともに、単位制度そのものに対して幾多の改善を加えることが要請される。これと関連して、学年制、科目制、授業時間制等についても検討すべきであろう。

(7) 教育の効果をあげるためには、大教室における講義のみに終始することなく、小規模の学級において学生が教員と接触する機会をもつことが必要である。特に、一般教育科目、外国語科目、実験実習を伴う専門教育科目等についてはこのことが重視されなければならない。また、専門教育では、実験実習を伴わないものについては、講義と演習を併用すべきである。

(8) 現行の学年暦では、学期の途中に長期の休暇がはいつているために授業が分断されており、それが教育効果の向上を妨げる一因ともなつている。これが対策としては、学年の開始期を9月とすること、学期の分け方および休暇の度数と長さなどについて検討されなければならない。

(9) 高等教育機関における教育課程および教授方法の研究は、学校管理、学生補導等の研究と同様にじゆうぶん行なわれていない。この欠陥を改めるため、たとえば、これらについての研究教育を担当する講座を大学に設けるなど、適切な方途を講じる必要がある。

(10) 新制大学が所期の成果をじゆうぶんに収めえない理由の一つは、それが終戦後の急迫した事情のもとに発足したため、財政的裏づけがじゆうぶんでなかつたことに存すると認められるので、このたび、以上もろもろの措置を実行するに際しては、上記の経験にかえりみ、施設設備の整備、教員組織の強化充実等に対し格段の考慮を払うべきである。

(11) 高等教育機関における工業、農業等産業に関連する専門分野の教育研究においては、関係諸機関および諸団体と協力を深めて、これら産業の振興に資する方途を検討する必要があろう。

 

3.その他

(1) 附置研究所

学術の進展とともに、附置研究所の重要性は大きくなつており、その現状については多くの問題点があるが、将来の方向としては共同利用研究所のようなあり方が望ましい。

また、大学院との関連については、その目的からみて、次のようにする必要がある。

ア 附置研究所は、大学院大学のみに置く。

イ 附置研究所は、大学院の授業に協力することができる。

ウ 附置研究所専任教授以外の教授等にも、一定期間、附置研究所でもつぱら研究する機会を与えることができる。

(2) 学 位

博士課程については、現行の大学院制度の趣旨を尊重し、所定の年限を目標として学位を与えるようにすべきである。

なお、いわゆる論文博士については、その審査方法を改善する必要がある。

また、外国人に対し名誉博士の称号を与えることができるようにすることが望ましい。

高等教育機関の種別と修業年限(図)

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II 大学の設置および組織編成について

高等教育機関の全体的な規模(学校数、学生数)、配置および設置については、個人的希望、社会的要請および学術研究上の必要を基礎として計画的に考慮されなければならない。

また、個々の高等教育機関の学部、学科等の構成内容とその組織および編成についても、上に述べた諸要因が考慮されなければならない。同時に、それらにおいては教育研究の目的にじゆうぶん即応した合理的、能率的な管理運営が行なわれるように改善される必要がある。

1.規模、配置および設置

(1) 規模について留意すべき点

ア 規模の拡大と水準の維持

わが国の高等教育は、科学技術の進歩、教育の民主化、人口の増加および国民所得の伸張に伴つて、今日著しく拡大普及している。最近、高等教育機関への進学志望者は、しだいに増加し、昭和37年の高等学校卒業者の約28%が高等教育機関への進学を志望し、その約67%が高等教育機関に進学している。また、高等教育機関への進学者の該当年齢人口に対する比率は約13%で、この普及率は、世界の主要国の水準に比べて劣つていない。今後とも、この傾向が強まり、それに伴つて高等教育の規模のいつそうの拡大が考えられる。

しかしながら、高等教育を受ける者はそれにふさわしい資質能力を備えた者であるべきこと、その専門分野別の構成については人材需要の社会的要請をも考慮して定めるべきこと、および高等教育の水準を維持するためには一定の基準を確保すべきことなどの条件を勘案する必要がある。よつて、高等教育の規模の拡大にはおのずから限度があることを考え、慎重な配慮が必要である。

イ 大学院、学部、短期大学、高等専門学校の規模

大学院については、さきに検討した目的・性格に従い、その専門分野および学生数は、じゆうぶんに学術研究の発展を期しうる適正な規模であることが必要である。大学院は研究者の育成のため、他の大学の卒業者に門戸を開放し、また、各方面の現職者の再教育を行なう必要があるので、その学生数の増加を考えるべきである。特に修士課程については、その目的・性格にかんがみ、ある程度の規模の拡大が要請される。

学部の規模については、現在すでに相当の程度に達していることを考慮して、また、短期大学の規模については、高等専門学校との関連を考慮して検討することが必要である。高等専門学校については、必要に応じて工業に関する学科以外の学科をも置くようにするとともに、社会的要請に沿つてその規模を拡大すべきである。

ウ 学生の専門分野別構成

社会制度としての高等教育機関における専門分野別の構成および学生数は、人材需要の社会的要請に対応しなければならない。特に、技術革新を基軸とする産業、経済、社会の高度の発展に伴う各方面の人材要請に対応することは、きわめて緊要である。

わが国の現状では、自然科学系の高等教育機関と学生の数は、人文科学系、社会科学系のそれらに比べてきわめて少ない。したがつて、自然科学系の高等教育機関の拡充と学生の数の増加が必要である。

(注)

1.高等教育機関における科学技術系の教員を確保するため、奨学金その他の面で適当な措置を検討すべきである。

2.昭和41年以降、一時的に高等学校卒業者が急増する。これに応ずる高等教育機関の受け入れ体制については、以上に述べた諸点を考慮して検討すべきである。

(2) 配置について留意すべき点

ア 地域的配置

わが国の高等教育機関の半数および学生の過半数は、大都市に集中している。大都市は、交通、住居、保健、防災等の点から、高等教育を行なう環境としては、必ずしもふさわしくなくなつている。また、このような地域では、高等教育機関が将来必要に応じて施設を拡充することも、ほとんど不可能である。

高等教育機関は、その属する地域社会の教育文化の中心となり、産業振興の基盤として広く諸地域社会の発展に寄与すべきものである。この意味からも、高等教育機関の過度の大都市集中は、是正される必要がある。

なお、できるだけ多様な高等教育を受ける機会を地域的にかたよらないように広げるためにも、同種の専門分野の高等教育機関が地域的に集中しないよう、その配置について考慮すべきである。

イ 設置者別の配置

高等教育機関は、国立、公立、私立の設置者の別によつてそれぞれ設置の趣旨を異にし特色をもつものであるから、それらの配置は、総合的な立場から考慮されなければならない。

(注) いわゆる公立大学の国立移管については、公立大学の存在意義についてあらためてじゆうぶん確認するとともに、移管を必要とする理由、移管した場合の効果等について、国立の高等教育機関の全体的な整備方針とあわせて総合的に検討し、すみやかにその可否を決定すべきである。

(3) 規模および配置を検討するための措置

高等教育の規模および高等教育機関の配置については、以上のように留意すべき点が多くある。したがつて、これらの問題を解明し、具体化を図るためには、いつそう精密に実体を調査し、専門的に研究する必要がある。一方、目下政府において検討している国土総合開発、首都圏整備あるいは人的能力開発等の諸計画との関連においても、じゆうぶん検討されなければならない。

よつて、高等教育の規模および高等教育機関の配置について適正な総合的なあり方を確立するために、一定期間集中的に調査研究する調査機関を設けることを検討すべきである。

(4) 設置の計画および設置基準とその確保

ア 設置計画

従来、高等教育機関の設置および設置後の重要事項の変更は、「大学設置基準」の定める条件を具備していさえすれば、これを認可するたてまえがとられてきた。その結果、高等教育の規模と高等教育機関の配置について計画性に欠けるところがあつた。

今後は、以上に述べた調査研究の結果を基礎として、高等教育の規模、学生数の専門分野別構成および高等教育機関の配置の適正化を図るべきである。このため高等教育機関の計画的設置について審議するための機関を設けることを検討すべきであろう。

イ 設置基準

高等教育機関の設置基準は、その種別、目的・性格に即して定め、特に、画一的になることを避けるべきである。また、大学院大学の博士課程は、「大学の目的・性格について」において述べたように、高度の学問研究と研究者の養成を目的とするものであるから、その設置基準は、きわめて高いものとする必要がある。

高等教育の充実と向上を期するためには、高等教育機関は、設置基準に厳正に即して設置されることは当然であるが、設置後も不断にその水準の維持向上につとめなければならない。しかるに、従来、設置基準の適用にあたつて適正を欠いていることもあり、さらに、設置後の水準の維持向上に努力の足りない点も見うけられた。よつて、今後、設置基準の適用を適正にするとともに、高等教育機関の設置および設置後の重要事項の変更に関し認可すべき事項について再検討を加える必要がある。

文部大臣が、高等教育機関の設置計画および設置基準を維持する責任者として、必要な措置をとりうるようにすべきである。

2.組織編成

(1) 学部の分離統合

ア 新制の国立大学は、いわゆる一県一大学の方針のもとに、旧制の大学、高等学校、専門学校、師範学校等を合併して設置された経緯がある。したがつて、これらの学校のもつていたそれぞれの目的、性格、歴史、伝統、地理的位置等についてじゆうぶん顧慮することなく、一律に合併したため、一つの大学として管理運営の円滑を欠いているものがある。このような大学のうちには、今後、いつそうの改善を図ることによつて、一つの大学としてじゆうぶん成果をあげることを期待できるものがあるが、他面、これを分離したほうが管理運営が円滑になり、それぞれ教育研究上の実があがると思われるものもある。よつてこのようなものについては、その適正なあり方を検討する必要があろう。

イ 学部は、学術、職業の専門による分化に従つて専門的な教育研究を行なう組織と考えられる。

しかるに、学部のうちには、学術、職業の発展に対応して従来の種類と異なつて新たに設置されたものと、もつぱら成立過程における特殊事情から特殊な種類の学部となるにいたつたものとがある。前者についてはその必要は認められるが、後者については、教育研究上また運営上、学部としての機能をじゆうぶん果たしがたいと思われる。したがつて、後者のような学部は、実情に即し、これを専攻分野別に再編成し、それぞれ充実した学部とするなど、その改善を図ることが望ましく、また、今後は、このような学部の新設を認めないようにすべきである。

ウ 文理学部は、人文科学、社会科学、自然科学にわたる教育研究の組織によつて専門教育を行なうとともに、全学の一般教育を担当することを目的として発足した。しかるに、その目的が多様であるため、さらに教員組織および施設設備もじゆうぶんでないことなども加わつて、文理学部は、所期の教育効果をあげることが困難な実情にある。このような現状にかんがみ、文理学部は、それぞれの実情をしんしやくして改組されることが必要である。すなわち、教員養成を目的とする学部、または人文科学系、社会科学系もしくは自然科学系の学部等に再編成すべきである。この場合、他の学部あるいは他の大学との分合を行なうことによつてその目的を果たすことができることを考慮する必要がある。

エ 現在の学部の多くは、その学科の編成において旧制大学以来の分科概念を継承しているので、現代の学術の進展に即して教育研究の成果をあげえない場合がある。よつて、異なる学部のうちにありながら相互に関連をもつ専攻分野については、学部編成の上で検討すべきである。

オ 多くの学問分野にわたる総合的な教育研究またはいわゆる境界領域に属する分野の教育研究を行なうことは、特に、総合大学の重要な使命であるから、そのための連絡協力の組織を設けることについて考慮すべきである。

カ 教員養成を目的とする大学および学部については、さきに答申した「教員養成制度の改善について」を参考にして検討すべきである。

(注) 短期大学については、学科制によることが適当である。

(2) 教養課程の教育を行なう組織

いわゆる教養課程における教育を行なうにあたつては、そのための組織が制度上確立していないため、現在、さまざまな困難が生じている。教養課程における教育を行なう組織は、必ずしも各大学において一様でなく、将来も、画一的な組織とすることは適当でない。ただし、多くの学部を有する大学においては、教養課程における教育を効果的に行なうため、必要に応じて責任者を置き、担当教員の間の連絡協力を密にするための機関を設けるなど、自主性と責任をもつ組織を置くことが望ましい。このような組織を教養部として制度的に認めうるようにする必要があろう。

教養部の組織については、たとえば

(ア) 教養課程を主として担当する教員は、教養部の専任とするとともに、教養部に教授会を置くことができるようにすること、

(イ) 教養部の長の責任と権限を明確にすること、

(ウ) 教養部と各学部との連絡を緊密にするための組織を作ること、

などを考慮する必要があろう。

なお、教養部については、必要に応じ教員の充実その他の措置を講ずべきである。

(3) 講座制、学科目制

教育研究上の基礎的な組織としての講座制、学科目制の問題については、大学院が高度の学術研究を行なう組織であるが、一面、教員組織、施設設備等の面において学部との間に緊密な関連をもつ実態にかんがみ、大学院大学の学部は講座制に、大学の学部は学科目制によるのが適当である。なお、教育研究上の基礎的な組織については、講座制、学科目制ともにさらに検討すべきである。

(4) 博士課程を置いている大学

「大学の目的・性格について」において述べたように、大学院大学は、総合大学を原則とし、すべての学部の上に博士課程を置くものとなつているが、現在、総合大学に近い構成をもち、博士課程の基礎となつている学部とそうでない学部とで構成されている大学のうち、教育研究の水準の高いものについては、実態に即して適切な措置をとることを検討すべきである。

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III 大学の管理運営について

大学の管理運営は、大学の自治をぬきにして取扱うことはできないし、大学の自治は、また学問研究の自由を離れては考えられない。学問研究の自由と進歩を基軸とする大学の自治は、これを固定したものと考えるべきではなく、その本質と伝統を保ちながら、急激に変化していく大学の内外の事情に即して、有効な弾力性のある生きた制度として現実的に発展させていくべきものである。

1.大学の管理運営と大学の自治

(1) 最近、わが国の大学は、多数の教職員と学生、各種の施設設備およびこれを裏づける多額の経費をもち、その規模は拡大している。また、学問の発展、国家社会の要請に伴い、大学の目的は多様化し、その構造は複雑化している。したがつて、大学の管理運営は、大学本来の使命に即し、総合的、合理的かつ効果的に行なわれなければならない。他面、大学には、社会制度として課せられた国家社会の要請と期待に応じる責任ある管理運営が必要である。

(2) このさい、大学の自治すなわち大学の管理運営上の自主性とその慣行について特に留意することが必要である。大学の自治は、抽象的、観念的なものではなく、具体的、実質的にこれを考えなければならない。それは、教員人事、学内施設の管理および学生の指導、財政の面において実質的に現われる。

ア 教員人事における自主性は、大学の自治の基本的な要素であるとともに、大学の管理運営の主要部分と裏表の関係にある。大学の自治のこの面は、戦前においても大学で慣行されてきたものであるが、戦後になつて制度的に明らかにされるとともに、すべての国立の大学に及ぼされるにいたつた。

イ 学内施設の管理および学生の指導における自主性も、大学の自治の重要な具体的な一面である。

なお、民主的人間形成の方法の一環として、学生の身分に即して認められる学生の自治活動は、大学の自治と混同されてはならないものである。このことについては、「学生の厚生補導について」において述べる。

ウ 財政については、教育研究の自主性を保ちじゆうぶんその使命を果たしうるような弾力性のある特別のあり方が望ましい。このことについては、「大学財政について」において述べる。

(3) 大学が社会制度としての性格をもつことにかんがみ、大学は国家・社会との連けいを深めることによつて、ややもすれば陥りやすいその閉鎖性を排除することが望ましい。また、このことによつて大学は地域社会をはじめ関連する社会の発展に寄与すべきであろう。この目的を果たすために適当な機関を学内に設けるなどの措置が必要であるが、そのさいにも大学の自治が尊重されなければならない。

(4) すでに述べたように大学の規模は拡大し、組織は複雑化していく情勢において、もしその管理運営が適切に行なわれなければ教育研究機関としての本来の使命の達成に支障を生じるばかりでなく、大学の自治の実体を保持することすら困難となろう。したがつて、大学としての性格に最もふさわしい管理運営に関する諸制度を整備することが緊要である。さらに学内関係者は、こぞつてこのことについて認識を新たにし、その目的実現につとめ、特に、学内管理機関の立場にある者が、それぞれ制度上の責任者として自覚を深め、全学の指導的機能を果たすことがきわめて重要である。

以上の趣旨によつて、大学における学内管理機関、教員の任命、待遇等身分取扱いについては、以下の方途が講ぜられるべきであると考える。

なお、大学の管理運営については、国立、公立、私立の大学を通じた制度を定めることは困難であるので、この報告は国立大学について検討したものである。

2.学内管理機関

大学の管理運営が円滑に行なわれ、その実をあげるためには、まず大学の学内管理機関のおのおのの職務権限を明確にし、学内管理体制を確立する必要がある。

現在の学内管理体制は、必ずしも分明でない。よつて、大学の学内管理機関の基本体系としては、全学の総括的な責任者を学長、学部の責任者を学部長とし、評議会は全学の、教授会は学部の重要事項をそれぞれ審議する機関とし、それらの職務権限について学長、学部長との関係を明らかにすべきである。さらに必要に応じて学長の補佐機関を設けうることとすべきである。

次に大学の学内管理機関のおのおのについてそのあり方を述べる。

(1) 学 長

ア 職務権限

学長は、大学の管理運営の総括的な責任者である。したがつて、大学全体の管理運営に関しては、責任をもつて処理すべきものである。この場合、評議会その他の学内諸機関と連けいを保ちつつ全学の総合調整を図り、かつ、その指導的機能を果たすべきものである。

イ 選考、任命

大学がその使命を達成するには、学長の選考、任命が適正に行なわれなければならない。それには、適任者を得るための方途を確立する必要がある。

学長の選考にあたつて、現在は投票の方法が用いられている。投票の方法によつて望ましい結果のえられるためには、投票者の範囲や投票の手続き等について適正を期する必要がある。よつて、学長の選考は、次のようにするのが適当である。

評議会(評議会については後に述べる。)で複数の学長適格者を学の内外から選び、それについて学内で投票を行ない、その結果に基づいて評議会が学長候補者を決め、学長がこれを文部大臣に申し出ることとする。文部大臣は、それによつて任命するものとする。

投票者は、大学における教育研究の主たる責任者である教授とする。ただし、特に必要がある場合にかぎり、助教授または常勤講師を加えることができるものとする。

学長適格者の選出、投票等に関する手続は、制度化することとする。

ウ 任 期

学長が大学行政に習熟するには相当の期間を要するので、その任期は、ある程度長期であることを必要とする。よつて、学長の任期は4年を基準とし、再任を妨げないことと定めるのが適当である。

エ 学長補佐機関

大学の規模の拡大と構成の複雑化に伴い、全学的な教育研究計画の樹立推進など管理運営上の重要な分野において学長を補佐するため、必要な大学には、たとえば副学長のような補佐機関を設けるべきである。

なお、副学長は、学長が教授のうちから選考するものとする。

(注) 大学院大学の学長を認証官とすることを検討する必要がある。

(2) 評議会

ア 職務権限

評議会は、学則、学部規則等の制定改廃、学内予算の方針、学生の厚生補導等大学運営に関する重要事項を審議する機関とすべきである。

なお、教員の不利益処分に関する事前審査を行なうほか、従来協議会の職務権限とされていた学長の選考、学長の不利益処分に関する事前審査をあわせ行なうものとすべきである。

(注) 現在、協議会は、その構成員が評議会とほとんど同様であるので、評議会のほかに、別に協議会を設ける意義に乏しい。よつて、これを廃止し、従来協議会の職務権限とされていた事項は、原則として評議会の職務権限に移すべきである。

イ 構 成

評議会は、原則として、学長、各学部長、各学部の教授若干名およびその他の重要な部局の長をもつて構成するものとする。

(3) 学部長

ア 職務権限

学部は、教育研究の上からも、組織の上からも、大学の基本的な構成要素であるから、その管理機関の機能と責任を明確にする必要がある。

学部長は、学部の責任者であり、教授会の主宰者となり、かつ、学部の管理運営に関する事項については執行の責に任ずる。また、評議員として大学の重要事項の審議に参与し、大学全体の管理運営について学長を補佐するものである。

イ 選考、任期

学部長については、教授会において適格者を選び、学部長がこれを学長に推薦する。学長は、それについて慎重に選考し、その結果を文部大臣に申し出る。文部大臣は、それによつて任命する。

学部長の任期は、その職責にかんがみ、ある程度の期間を必要とするが、他方、学部長は教授併任の職であることを考慮し、その任期は、おおむね2年以上とし、かつ、再任を妨げないことと定めるのが適当である。

(4) 教授会

教授会は、学部における教育研究について管理運営上の重要な機関である。現行の制度においては、その職務権限、構成、設置、学部長との関係等が明確でない。よつて、そのあり方を次のようにすべきである。

ア 職務権限

現在、教授会の審議事項に関する規定は、必ずしも明らかでなく、大学によつては、本来教授会の審議事項とは考えられないような事項をも審議している場合もある。教授会は、教育研究の計画、学生の教育指導および学業評価、学部長・教員の候補者の選出、学位・称号に関する事項等について審議にあたるものとすべきである。

イ 構 成

教授会の構成員は、学部における教育研究の管理運営について直接責任を負うものでなければならない。現在、教授会の構成員の範囲は、各大学によつて区々であるが、教授会は教授のみをもつて構成されるべきものとし、特に必要がある場合にかぎり、評議会にはかつて助教授または常勤講師を加えることができるものとする。

ウ 設 置

教授会は、学部に設置するものとする。ただし、学部の規模が大きく構成が複雑なため、または学部が地域的に分散しているため教授会がじゆうぶんな機能を発揮できない場合、あるいは会議をもつことが困難な場合には、代議員会を置くことができるようにする等教授会の組織運営に関する特例を設ける必要がある。

(5) 学内管理に関するその他の機関

以上述べた学内管理機関のほかに、大学が、たとえば教養課程、分校等の運営のために管理組織を設ける場合には、文部大臣の事前の承認または認可を必要とするよう適切な措置を講ずべきである。

3.教員の身分取扱いおよび待遇

(1) 教員の身分取扱い

ア 選考、任命

大学が教育研究の成果をあげるには、なによりも教員が適任者であることが必要である。

しかるに、現在一部の大学にあつては、教員の選考の範囲はややもすれば閉鎖的になりがちであり、その昇任も安易に行なわれているなど適切を欠く場合もある。よつて、適任者を得るための方途を確立するため、教員の選考は次のようにするのが適当である。

教員の選考については、学部長は、教授会の議により、教員の資格基準に従い、教員選考委員を設けるなどの方法によつて教員適格者を選び、その候補者を学長に推薦する。学長は、それについて慎重に選考し、その結果を文部大臣に申し出る。文部大臣は、それによつて任命するものとする。教授会が教員の候補者の選出について審議するにあたつては、原則として、教授のみが審議するものとすべきである。

教員適格者を選ぶにあたつては、たとえば公募によるなど、広く人材を求めるとともに、学内外の専門家の意見を聞くなどの方法を用いて慎重を期するものとする。

なお、大学の教員は、その専門の分野においてすぐれた能力を有する者でなければならない。このような適格者を常に大学に確保するために、教員について任期制度または再審査制度を設けることを検討する必要があろう。

イ 不利益処分の事前審査

現在の事前審査制度においては、発議者が不明確であり、また同様な不利益処分の問題に対し大学によつて不均衡な結果が生じうる。よつて、評議会における事前審査の発議者は学長であることを明確にするとともに、学長は、広い視野にたつてじゆうぶんその責任を果たすべきである。文部大臣は、学長の措置が当を失する場合には、指導助言を通じてその適正を図るべきである。なお、火災、盗難等の責任に係る事案は、事前審査の対象から除外し、統一的な基準によつて処理すべきである。

また、学長、学部長の不利益処分についても、同じような趣旨によつて取扱うべきである。

(2) 教員の待遇

大学の教員に対し、教育研究に専念してその成果をあげることを期待し、また、他の職域における人材需要に対して教員に適格者を確保するためには、その待遇をじゆうぶん厚くしなければならない。大学の教員の給与については、同程度の資格能力を必要とする他の職種の給与の実態、諸外国における大学の教員の処遇、戦前のわが国の状況等を考慮して、相当の水準にひき上げるとともに、給与体系をその職務に即するよういつそう整備することが必要である。

以上のほか、大学のすぐれた教員を優遇する方途について検討すべきであろう。

(注) 大学院を担当する教員あるいは大学院大学の教員については、さらに特別の措置を講ずべきである。

4.大学と国家・社会

(1) 学外者を加えた機関

さきに述べた学内管理機関は、すべて学内者によつて構成されている。しかしながら、民主社会における大学は、社会に対して閉鎖的であるべきでなく、積極的にその関連する社会との連けいを深め、特に地域社会のために寄与することが望ましい。よつて、必要に応じて大学に学外者を加えた機関を設けるべきである。この機関は、公開講座等の大学の拡張、産業経済界と大学との連けい、教育の向上および文化の発展等に関し、大学と地域社会とがその協力関係を進めるため相互に意見を交換する機関とする。

(2) 文部大臣の職責

文部大臣は、国立大学の設置および文教行政の総括的責任者として、大学の管理運営に関しその権限の行使にあたつては、国民に対する責任を考え、大学自治の尊重を基本として、じゆうぶん慎重を期さなければならない。

(注)

1.単科大学ならびに教員養成を目的とする大学および学部に関する特例的事項については、以上に述べた趣旨に従つて、適切な措置を講ずべきである。

2.大学院大学の管理運営については、大学院が相当の程度の専任の教員と専用の施設をもち、その自主性を確立することとあいまつて改めて検討する必要があろう。

3.附置研究所、共同利用研究所、図書館、附属病院等の管理運営については、それらの設置組織等に関する問題とあわせて検討すべきである。

4.教養部の管理運営については、学部の管理運営に準じて考慮すべきである。

5.短期大学の管理運営については、別に検討すべきである。

6.芸術大学の管理運営については、その目的・性格に即して適当な措置を検討すべきである。

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IV 学生の厚生補導について

新制大学の任務は、学術研究、職業教育とともに、市民的教養を与え、人間形成を行なうことにある。したがつて、大学教育には、学問的、職業的能力の展開とならんで、民主的、平和的な国家および社会のよき形成者をつくるという重要な使命の達成が期待されている。

大学における人間形成が専門教育を含む正課教育を通して行なわれることはいうまでもない。けれども、最近における学生数の急速な増大に伴い、正課教育における教師と学生との人間的な接触の機会はますます減少しつつある。その結果として、伝統的な教育方法のみによつては、学生の人間形成の課題にじゆうぶん対処しえない事態となつている。

大学において、正課教育の領域で、一般教育の充実、教育課程の再編成、教授方法の改善等が検討されるべきことは、「大学の目的・性格について」において述べた。これとならんで、ここに、課程外諸活動において学生の人間形成上の効果を期待し、これを推進するための学生の厚生補導の充実の必要が強調されるのは、上に述べた理由によるのである。

以上の観点から、次に述べる趣旨に基づいて、大学における学生の厚生補導の意義が明らかにされ、学生の自治活動に対する基本的方針が確立され、学生の厚生補導の組織運営について適切な方途が講ぜられるべきであると考える。

1.大学における厚生補導の意義およびあり方について

学生の厚生補導は、時間的にも、場所的にも、また、内容的にも、さまざまな形で展開されている。

そのため、厚生補導の活動は全体として理解されず、その一面をとらえて正課教育の補充的機能にすぎないものと考えられ、あるいは、学生生活向上のために物的諸条件の確保整備を図る大学教育の付帯的活動としかみなされない傾きがある。いずれにしても、厚生補導の意義およびあり方について、理解は必ずしもじゆうぶんとはいえない。

学生の厚生補導の中心的機能は、人間形成を目的として行なわれる課程外の教育活動および大学教育に対する適応を図り修学効果を高めるための活動にある。したがつて、学生の厚生補導は、大学教育のうちに独自な分野を有するものとして理解されなければならない。

また、厚生補導の機能を生かし、その効果をあげるためには、大学の教育計画の一環として組織的計画的にこれが行なわれる必要がある。学生の厚生補導は、直接には、これを担当する教職員の相互の協力によつて遂行されるものであるが、その基盤となるのは、全学の教職員の厚生補導についての認識と責任の自覚である。さらに、学生に対して課程外教育の意義に関しじゆうぶん理解させることは、厚生補導の目的の効果的達成のために不可欠である。しかるに、現状では、いかんながら、厚生補導についての教職員の認識と責任の自覚も、また、課程外教育の意義に対する学生の理解もすこぶる不徹底であつて、これが厚生補導活動の大きなあい路となつている。

2.学生の自治活動および政治活動その他の社会的活動に対する教育指導および管理のあり方について

学生の行なう自主的な活動には、自治会活動、文化、体育等のサークル活動、学生生活のための福利厚生活動、政治活動その他の社会的活動等さまざまなものがあるが、学生の自治活動は、本来、大学の課程外の教育活動として認められたものである。したがつて、それは大学教育の目的達成に必要な範囲においてこれにふさわしく展開されなければならない。しかるに、現実の自治活動の中には、しばしば、自治活動本来の目的に従つた活動として行なわれていないものがあり、時には、特定の少数指導者の支配のもとに、政治的ないし社会的な志向をもつ学生運動の形態をとつて展開されている場合がある。本来あるべき学生の自治活動と政治活動その他の社会的活動とが混乱しつつあるこのような情況に対し、教職員も、学生も、はつきりした認識と評価を欠くことがあり、大学としても、これに対する確固たる教育指導および管理の方針をたてていないものがある。社会もまた学生の自治活動についての正しい理解を欠いている。このような事態に適正に対処することは、大学教育の当面する重要な課題の一つである。よつて、学生の自治活動について、また学生の政治活動その他の社会的活動に対する大学の教育指導および管理のあり方について、次のように考えるべきである。

(1) 学生の自治活動について

学生の地位にある者の自主的活動が特に自治活動として大学教育上認められるゆえんは、学生生活における自律性のかん養、社会性の陶やあるいは学生相互の啓発等の教育的意義にかんがみて、大学が課程外の教育方法として積極的にこれをとり上げ、これに承認と信頼を与えるところにある。

学生の自治活動を考えるにあたつて、しばしば、これと混同される二つのものがあるが、それらについて学生の自治活動との関係を明らかにしておく必要がある。

その一つは、学生の政治的社会的運動の性格をもつものである。しかし、それは学生が市民として有する諸権利に基づく自主的活動であつて、ここにいう自治活動とは異なる次元に属する。

他の一つは、大学の自治であつて、学生自治は、しばしば、その一環であるようにいわれている。しかし、大学の自治は、わが国においては、学問の自由を確保するために認められた大学の管理運営上の自主性をさすものであつて、これを確保することは、大学の管理機関の責任である。学生は、大学において教育をうけるものであるから、学生の自治活動は、わが国における大学の自治とは異なるものである。

大学は、学生の自治活動がその本来の目的に適合して展開されるように積極的に指導の原則と方法を確立し、それによつて、期待される教育効果がじゆうぶんに達成されるようにすべきである。

(2) 学生の政治活動その他の社会的活動について

すでに述べたように、学生の自治活動がその本来の目的の範囲をこえ、現にみられるように、政治活動その他の社会的活動の性格をおび、そのために大学教育の正常な運営を阻害し、あるいは、社会問題をひきおこす事例も決して少なくない。

学生の政治活動その他の社会的活動については、もとより、個人としての憲法上の自由が考慮されなければならず、また、学生の政治的、社会的教養のかん養については、大学教育上じゆうぶんな関心と配慮が払われなければならない。しかしながら、学生は、大学において教育を受けるものである以上、大学がその教育の目的を達成するためおよびその教育に必要な秩序を形成するため定める教育計画、諸規則、命令に従うべきものである。この限りにおいて、学生の個人としての自由には、必要な制限が加えられるものである。

したがつて、大学は、学生の政治活動その他の社会的活動のあり方について適切な助言と指導を行ない、学生の政治的、社会的教養のかん養を図ることを主眼とするが、修学に専念すべき学生の本分と政治的に中立であるべき大学教育の理念にかんがみ、必要な範囲においてこれらの活動を規制する責任と権限とを有するものである。

(3) 学外における学生の自治活動および政治活動その他の社会的活動に対する大学の責任について

学生の自治活動および政治活動その他の社会的活動は、学外にわたることがあるが、これらに対する上に述べた教育指導あるいは管理の機能のおよぶところは、学の内外を問わない。したがつて、大学の責任の範囲を一概に学内に限定されるものとすることは適切でない。もとより、これらの機能は、学内と学外とでは、その発動の態様、程度を異にする点が多い。それにしても、学生の違法行為等については、それが学外において行なわれたとしても、大学が責任を回避することは適当でない。

(注) 大学新聞あるいは大学生活協同組合の活動は、学生の自治活動にも関連するもので、そのあり方について大学はじゆうぶんに検討し、配慮する必要がある。

3.学生の厚生補導に関する組織およびその運営について

学生の厚生補導の機能がじゆうぶんに発揮されるには、それが大学の教育計画の一環として組織的計画的に編成される必要のあることはすでに述べた。

そのためには、次の諸点についてじゆうぶんな検討が行なわれ、全学の具体的方針に即して学内諸機関の分担する役割と責任が明確にされるとともに、組織全体としての総合調整が円滑に行なわれるようにする必要がある。

なお、学生の厚生補導に関する組織およびその運営についての細部の検討にあたつては、学徒厚生審議会の答申(「大学における学生の厚生補導に関する組織およびその運営の改善について」昭和33年5月)がじゆうぶん尊重されなければならない。

(1) 全学的な方針の確立について

多くの大学においては、厚生補導に関する基本方針が確立されていない。そのため、大学が個々の問題の処理に追われ、全学の意見調整に苦慮し、時宜に適する措置を逸したり、問題の処理に全学的な調和と一貫性を欠いたりする場合も少なくない。

厚生補導は、個々の専門分野における教育とは異なり、学生全般に共通する問題を取扱うものである。したがつて、大学は、評議会、専門委員会等全学的機関において審議をつくし、そのさい、学部教授会の意見をじゆうぶん尊重して、これに関する大学の基本方針あるいは処理方針を決定しておくべきである。

この場合、たとえば、新入生の大学教育への適応の促進、教養課程と専門課程との間の厚生補導の連けい、自治会その他の学生団体に対する指導と管理の原則、学生のための施設の管理方針等が、その対象となるであろう。

(2) 学生部の任務および組織等について

学生部は、学長の監督のもとに、たえず厚生補導に関し専門的技術的調査研究を行ない、それに基づいて全学的な厚生補導に関し企画立案し、この面における大学の計画の推進機関としての機能を果たすとともに、所定の方針に基づいて厚生補導の業務の執行にあたり、また学部、分校等におけるこれらの業務について総括、調整する任務を行なうものである。

上に述べたような任務を担当する学生部の職員に対しては、職務の遂行上、教育的な判断を要することが多いので、これにふさわしい教養を身につけていることが望まれる。また、専門的技術的事項の処理にあたつては、それぞれの分野の専門教養を必要とする。

したがつて、このような適格者を確保しうるよう、その採用、処遇および養成・研修の方法についてじゆうぶん検討すべきである。

また、現在学生部の長は学部の教授が兼務する場合が多い。しかるに、学生部長の仕事は、複雑となり、また、増大してきているので、その職務に専念しうる体制を確立することが要請されてきた。このための措置として、学生部の長を教員の身分をもつ専任職員とすることについても検討の必要があろう。

特に、学生相談や健康管理のように特定の専門技術を要する部面については、専門的職員を置く特別な施設を設けることを考慮すべきである。

(3) 教員の組織について

厚生補導に関する教員の組織は、学生の成長段階、教育課程の進度等に即応して検討されなければならない。通常、専門課程においては、学部、学科の組織別に、担当の教員が所属の学生に対し課程内外にわたつて教育指導を行なうことによつて、厚生補導の効果を期待することができる。

しかしながら、教養課程の段階においては、大学に入学して日が浅く、大学教育への適応もじゆうぶんでない多数の若い学生が対象となつているので、このための厚生補導については、特別の配慮が必要である。たとえば、比較的少数の学生を単位に指導教員をおき、課程外の教育指導にあたらせ、あるいは、厚生補導担当の専任の教員を配置するなど、特別の配慮がなされなければならない。

教養部の教員組織については、正課教育と厚生補導とをよく関連させて効果的に教育指導を行ないうるよう配慮する必要がある。

なお、学生のグループ活動については、適任者を顧問教員として配置し、学寮については、その教育指導の組織を設けるなど、学生生活の各部面に即して有効な厚生補導に関する教員組織の整備が図られなければならない。

(4) 関係施設の整備充実等について

以上述べてきたような厚生補導の効果がじゆうぶんに発揮されるためには、その場となる学寮、学生会館、体育施設、健康管理施設等、物的環境的諸条件の整備充実が不可欠な要件である。

したがつて、これらについての整備、運営に関する経費の充実については、じゆうぶんな配慮がなされなければならない。

なお、厚生補導を担当する教職員の研修、養成に関連して、「大学の目的・性格について」において述べたように、大学に厚生補導の講座を設けることが望ましい。それとは別に学生問題研究センターを設けることも考慮すべきである。

(注) 学生の厚生補導に関連する問題として、育英奨学制度については、さきの本審議会の「育英奨学および援護に関する事業の振興方策について」の答申の趣旨が尊重されなければならない。

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V 大学の入学試験について

大学入学制度の目的は、経済的な条件その他に妨げられることなく、広く国民各層の間から真に大学教育を受けるにふさわしい適格者を選び、個人の志望、国家ミ会の要請等を勘案し、大学においてその資質能力を発展させることにある。

したがつて、大学入学者選抜制度の問題は、適格者を選ぶための科学的な方法を研究し実施するとともに、選ばれる適格者がその志望、適性に応じた大学に進学するよう公正な方途を確立することがその核心であると考える。

またこのことは、民主国家においては、単に国家の統制によることなく、広く社会の協力、特に関係教育機関の自主的、かつ積極的な協力にまたなければならない。

1.大学入学者選抜制度の現状と問題点

大学入学についてわが国の現状をみると、人口の増加、教育の普及、産業の発達、民主化の進展に伴つて進学志望者の数が著しく増大しているのに対して、大学においては、規模の拡大にもかかわらず、その収容力が不足しており、両者の間に不均衡が存在している。それに加えて志望者が有名校と大都市へ殺到するため、また、大学の専門分野別構成が社会の人材需要に即応していないため、深刻な大学入学問題が生じている。この事態に対する現在の方法が、各大学の行なう入学者選抜のための学力競争試験であるが、この方法制度の欠陥は、おおむね次のように考えられる。

(ア) 高等学校の調査書、進学適性検査あるいは面接を利用して選抜を行なうことが困難または不可能であるため、入学者の選抜は、事実上ただ1回の学力筆答試験によつて行なわれ、主として集団的選考基準によつて合否を決するという結果になつている。

(イ) 高等学校における進路指導は、必ずしもじゆうぶんでなく、また、大学においても、高等学校や志望者に対して入学に関する情報を提供するなどの方法によつて、競争を緩和するような努力はほとんどなされていない。

(ウ) 大学は、独自の入学試験を行なつていて、相互の連絡協力はまれであり、また、入学に関して高等学校との協力もほとんど行なわれていない。

(エ) 現在の制度では、進学志望者は、どの大学をも何度でも、また、何年続けてでも受験することができる。

このような学力競争試験を通して行なわれる大学間、志望者間における激しい自由競争は、志望者とその父兄にとつて、大学および高等学校とその関係者にとつて、さらに、国家・社会にとつても、ばくだいな費用と精力の浪費を伴うだけでなく、全体的にみても、また、根本的に考えても、適格者の選抜と配分において必ずしも効果的であるとはいえない。また、このような制度が、高等学校以下の学校教育および学校体系に及ぼす影響の憂うべきもののあることは、しばしば指摘されているとおりである。さらに、いわゆる浪人が多数存在しているため、入学競争試験に重圧が加わつているばかりでなく、受験準備費用の増大が教育の民主化に逆行する結果をもたらしつつあることも、見落してはならない事実である。

2.大学入学者選抜制度についての考察

以上の見地から、大学入学者選抜制度の問題の取扱いは、次の三つに分けて考えることが適当であろう。

(ア) 入学者選抜に関する技術的、制度的な問題

(イ) 入学者選抜の背景にある教育政策およびそれに影響する諸要因の問題

(ウ) いわゆる浪人の問題

これらのうち、教育政策に影響のある政治的、経済的、社会的要因の問題は広範多岐にわたつているが、教育政策については、社会および経済の発展に伴う高等教育への個人的、社会的需要の増大に即する高等教育機関の規模の拡大と多様化および奨学制度の拡充が要望される。

浪人の問題に関しては、現行学校教育制度上では、大学、高等学校のいずれの側からもらち外にあり、また、大学側からも高等学校側からもなんら積極的な配慮と関心が示されていない。意志と能力ある多くの青少年が、教育の課程において教育的配慮と制度のわく外に放置されていることは、きわめて憂慮すべき問題であり、すみやかに適切な対策が講じられなければならない。このことは、直接入学者選抜の問題ではないので、ここでは問題の緊要性を指摘するにとどめるが、大学入学者選抜に関する技術的、制度的な改善によつて志望者が浪人として多数とどまることのないよう配慮すべきである。

したがつて、ここでは、大学入学者選抜制度に関する当面の課題として、技術的、制度的な改善方策のみを取扱うこととした。

大学入学者選抜制度の改善については、統一的入学試験制度、入学資格試験制度、無試験入学後のような方法等について、欧米各国の制度、実情をもあわせて審議検討したが、わが国の教育制度、社会事情から、ただちにそのような方途をとることは適当とは考えられない。

よつて、さきの「大学入学者選考およびこれに関連する事項について」の答申をもしんしやくし、次の改善方策をとることとした。

3.大学入学者選抜制度の改善方策

(1) 学習到達度と進学適性を活用する制度の確立

高等教育をうけるにふさわしい適格者の選抜にあたつては、進学志望者の学力、資質については、高等学校における学習到達度と高等教育への進学適性の判定が基本的な条件である。したがつて、志望者の学習到達度および進学適性について、信頼度の高い結果をうる方法を検討、確立し、この方法により、共通的、客観的なテストを適切に実施することとする。

この制度の実施にあたつては、後に述べる経過措置を必要とする。

(2) テストの研究、実施のための機関の設置

テストのための問題の研究、作成およびテストの実施のために、新たに専門の機関を設ける必要がある。この機関は、さしあたり財団法人とし、高等学校教育と大学教育との要請がじゆうぶん調整されるため、高等学校関係者と大学関係者を中心とし、その他学識経験者、文部省関係者を加えて組織運営されるものとする。また、この機関は、上述の目的を達成するため、テストの問題の研究作成および実施に必要な専門家を擁する実施部門をもつものとする。

(3) テストの結果の利用

入学者選抜については、各大学には独自の立場と見解があるので、大学がテストの結果を利用することを強制するものではなく、また、大学が筆記や面接その他による独自の試験を併用することを妨げるものでもない。

(4) 大学相互間および高等学校と大学との連けい協力

この制度が円滑かつ効果的に実施されるためには、大学相互間および高等学校と大学との緊密な連けい協力が必要である。

(5) 進路指導と進学志望者の負担の軽減

テストの結果を利用して、高等学校において適切な進路指導を行なうものとする。

テストの問題の内容、テストの実施等については、志望者の負担が過重にならないよう、関係者は、深い配慮をするものとする。

(6) テストの実施についての経過措置

この制度を確立するまで少なくとも3年間の準備期間を置くこととし、その間、主として国立大学の入学試験に並行して次の措置を講ずるものとする。

ア この機関は、毎年国立大学入学志望者に対し、高等学校の協力を得て一せいにテストを行ない、その結果をテストを受けた者の志望する大学および出身高等学校に送付する。

イ 大学は、従来どおり独自の入学試験を行なう。この期間中は、大学は、テストの結果を原則として入学者選抜に利用しないこととする。

ウ この機関は、若干の大学に委託して、それらの大学に設けられる委員会により、入学者についてテストの結果と大学の行なつた入学試験の結果および大学入学後の成績とを比較研究する。

エ この機関は、学習到達度、進学適性の的確な判定を目的とするテストの問題について研究する。

オ 高等学校は、テストの結果と進路指導および調査書との関連について研究する。

カ 国は、この機関、大学、高等学校等の協力を得て、高等学校における進路指導の制度と機能および大学における入学指導の制度と機能、ならびに両者の関連について研究する。

キ この期間中、国はこの機関に対し、必要な財政的援助を行なう必要がある。

(注) 以上の機関は、求めに応じて、大学の行なう入学試験の問題の作成等にあたることができるものとする。

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VI 大学の財政について

今日、学術の進歩、教育の民主化等に伴い、大学の規模の拡大と教育研究の充実向上が強く要請されている。これにこたえるためには、大学の財政についてのじゆうぶんな配慮と適正なあり方が必要である。

近時、世界の主要国においては、高等教育の拡充がきわめて重視され、これに伴つて、教育段階別の教育費の構成においては、その重点が初等中等教育から高等教育に移行しつつある現象がみられる。わが国における高等教育の拡充については、その必要と傾向は同一であるにもかかわらず、教育費の裏づけは、必ずしもこれに伴つていない。わが国の場合は、初等中等教育の経費の上昇に比して、高等教育のそれは、その規模の拡大に伴わず、学生1人当たりの教育費についても、教育段階別の教育費の構成においても、戦前の水準にすら達していない。このような状態では、わが国の大学が大学として保持すべき水準を確保することは困難である。

大学の財政については、上に述べたような観点から、現在の制度のもとでも、経費の増額を考慮すべきであるが、さらに、学問の進歩と国家・社会の要請にこたえ、大学がその目的・使命の達成を期するため、大学財政の制度上における適正なあり方と合理的な運営について改めて検討する必要がある。

大学の財政の組織、運営は、国立、公立、私立によつてその態様は同一でない。ことに、私立大学にあつては、全体としても、個々についても、国立、公立大学のそれとは著しく異なり、いまただちにそのあり方を規定することは困難である。また、公立大学にあつては、多くの点で国立大学に準じているので、ここでは、国の財政に直接に関連している国立大学の財政を主として取扱うこととした。

国立大学の財政は、「大学の管理運営について」において述べたように、大学の自治の実質的な面のあらわれである。したがつて、そのあり方は、教育研究上の必要に即して、自主性、弾力性を備え、かつ、長期的観点からの計画的運用を可能とするものでなければならない。

国立大学の財政のこのようなあり方の実現を特別会計制度の採用に求める意見がある。過去の大学特別会計制度は、上に述べたような趣旨も含んで設けられたものであるが、その後の経済事情の変化や大学の発展に伴つて必ずしも所期の目的をじゆうぶん達成し得なかつたことを省み、かつ、現在の国立大学が内容、規模において急速な発展、拡充の過程にあることを考えると、国立大学の特別会計制度については、なお、慎重に検討する必要がある。

よつて、国立大学の財政については、一般会計制度における現段階においては、少なくとも、大学特別会計制度にみられた財政上の自主的、弾力的、かつ、計画的な運用のみちをひらくため適切な措置を講ずべきであると考える。

他面、国立大学の経費は、国費によつてまかなわれ、したがつて、国家財政の一環としての制約をうけることはまぬかれない。そこで、国立大学がその目的・使命を達成するためには、財政の上で、一般官庁と異なり、可能な限り、自主性を確保する必要がある。そのための方途は、特に、のちに述べる「教育研究の長期計画に即応する予算措置」、「予算執行上の弾力的運営」および「寄付金の受入れ使用」と関連して考察されなければならない。

私立大学の財政は、自主自立を基本とするものであるが、国家・社会の要請による高等教育の拡充の一環をになう面については、国は、必要な条件のもとに積極的な財政的援助を行なうべきである。この援助のなかに経常費を含むか否かについては、検討すべきであろう。なお、さきの本審議会の「私立学校教育の振興について」の答申の趣旨が尊重されなければならない。

公立大学の財政については、多くの点では国立大学のそれに準じて、また国の援助については、上に述べた私立大学への援助の趣旨に沿つて考えるべきである。

1.教育研究の長期計画に即応する予算措置

大学における教育研究は、最近の学術の急速な進歩と社会的要請とに伴い、しだいに複雑化し、その規模は拡大し、かつ、計画的に推進される傾向が顕著になつている。このため、個々の教員の創意を尊重することはもちろんであるが、教育研究は、全体としては、長期の見通しに立つて、組織的、計画的に遂行することを必要とするものが多くなつてきた。

組織的、長期的な教育研究計画は、個々の大学においても、また、大学間の共同計画においても、大学の使命を果たすためには、きわめて重要なことである。そのためには、これを裏付け、具体化するための適切な財政措置が講ぜられなければならない。

特に、現行の単年度方式の予算は、長期計画に即応しない点があるので、たとえば、予算編成上長期計画の年次計画に基づいて毎年度の予算が確保されるよう措置し、特に必要がある経費については、継続費として取扱うなど、予算措置について改善を検討する必要がある。

(注)

1.長期計画は、国立大学全体の計画として考慮する必要があるので、その推進および総合調整のために文部省に審議機関を設けることが必要である。

2.長期計画には、研究費のみでなく、必要な学部、学科、施設、設備、人員に要する経費を含むものである。

2.予算執行上の弾力的運営

国立大学における教育研究は、一般行政官庁における行政事務の処理とは著しく異なつている。したがつて、その会計制度においても、当然、その実態に即した運営がなされるべきである。しかるに、現在、国立大学には多少の特例が認められているが、原則的には一般行政官庁と共通の会計制度のもとに置かれている。このことは、国立大学における教育研究を行なうにあたつて、一つのあい路ともなつているので、これに対応する会計制度および手続きの特例について検討されるべきである。

よつて、直接研究の用に供する経費については、研究により千差万別のあること、研究の進展により予測できない変動のあることなどにかんがみ、予算の弾力的執行を図るため、たとえば、(ア)若干の目について、流用制限を緩和すること、また、目を統合してその支弁範囲を拡大すること。(イ)教育研究のための特殊な設備を購入する経費については、繰越明許費とすること。(ウ)国立大学における行政財産の取得にあたり、これが交換方式を検討すること。物品の交換制度の拡大を図ることなどについて検討する必要がある。

(注)

1.国立大学の経理手続きは、大学の特別な目的にかんがみ、必ずしも適当でない点も見うけられる。特に、大学における行政財産、債権および物品の管理手続きの簡素化を検討すべきである。

2.受託研究、演習林における立木の処分、または附属病院における診療等の収入の裏付けのある経費については、それらの事業の目的がじゆうぶん遂げられるよう歳出予算の弾力的措置を講ずる必要がある。

3.現在、大学における科学研究費は、大学の研究を推進するため緊要不可欠であり、その拡充がのぞまれている。特に、その経理については、研究推進上の要請に即し、かつ、その適正な使用を確保するための適切な方法を検討すべきである。

3.教育研究費等の拡充

国立大学の予算の構成は、管理的経費、研究講義に必要な経費、学生の厚生補導に必要な経費、設備施設更新拡充に必要な経費、農場および演習林等に必要な経費、病院の診療経費、その他の特別研究事業に必要な経費から成立つている。

このうち、管理的経費は主として人件費であつて、大学総予算に対する人件費の比率は、近年、ほぼ60%を占め、人件費以外の管理的経費、教育研究に要する諸経費等は、約40%になつている。この割合は、戦前(昭和10年度~15年度)のそれと逆の現象であつて、このことは、教育研究に要する諸経費が相対的な低下をきたしていることを示している。

特に、研究講義に必要な経費の中心をなす教官研究費についてこれをみれば、講座研究費の非実験系で戦前の1/3、実験系で戦前の2/3であり、学生経費のごときは、戦前の1/9という状態である(昭和10年度~20年度と昭和37年度との比較)。

学術の進歩、発展と人材の育成について大学の果たすべき使命が、世界の主要国において最も重視されている今日、わが国においても、この使命を遂行すべき大学の発展拡充のためのこの種の経費の増額こそ、考慮されるべき最も緊要なことがらである。

なお、教育研究費と関連して、教員の給与のあり方が適正でなければならない。これについては、「大学の管理運営について」において述べたように、大学の教員の職務に即した給与体系が整備されるべきである。

(注) 学内の一体的管理運営を図るために必要な管理運営費のあり方と計上について検討する必要がある。

4.寄付金の受け入れ、使用

大学における教育研究に対する社会一般の期待は大きく、国立大学に対しても、研究の委託、促進、協力あるいは人材育成について寄付金が少なくない。特に、最近における産学協同の進展によつて、産業界からの寄付金が増加する傾向にある。しかるに、国立大学におけるこれらの寄付金の受け入れと使用については、諸種の制約があつて、大学がこれらの要請にこたえ自主的に研究を推進していく上に困難な場合が多い。したがつて、寄付金の受け入れと使用に関し次のような措置をとることが必要である。

(1) 用途指定寄付金

現在、国立大学に対する用途指定寄付金の取り扱い範囲は、きわめて限られているが、上に述べたような目的をもつ用途指定寄付金は、その受け入れと使用について、目的に即した最も適切な方法により取扱うことができるよう改善すべきである。

(2) 教育研究援助団体

国立大学における教育研究を推進させ、あるいはその研究を活用するため、民間と大学側とが協力する体制について考慮する必要がある。このため、民間と国あるいは大学との協力による団体を設けることを検討すべきである。

この団体は、大学の教育研究の経費を確保するため民間からの募金等を行なうものとする。

(注)

1.この団体に対する寄付金は、大学の教育研究の経費に充当されるものであるから、所要の免税の措置をとるべきである。

2.日本学術振興会にこの団体の行なうべき事業を行なわせることも検討すべきである。

(3) 寄付金についての免税措置

現在、国立、公立大学に対する法人の寄付については、全額を損金に算入することができるが、個人の寄付については、所定の計算方式による少額の減税をうけるにすぎない。個人の寄付についても、法人と同様に寄付金額を課税対象額から控除する方式に改める必要がある。

私立大学に対する法人の寄付についての損金算入および個人の寄付についての免税に関しても、私立大学が高等教育に占める地位の重要性にかんがみ、その財政需要を考慮して、必要な措置を講ずべきである。

(注) 国立大学の経理手続き、管理運営費のあり方等について技術的専門的に調査するために必要な調査会を設けることを検討すべきである。

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国立学校設置法(法人化以前の国立大学の最後の姿①)

ぎょうせい発行『文部法令要覧 平成16年版』より。条文は平成15年11月4日現在。

 

(昭和二十四年五月三十一日法律第百五十号)

国立学校設置法

改正 昭二四法二二六・昭二五法五一・法二六九・昭二六法八四・昭二七法二二・法一四九・昭二八法二五・法八八・昭二九法一六・昭三〇法四四・昭三一法二六・昭三二法三一・昭三三法二八・昭三四法一五・昭三五法一六・昭三六法四一・法一一一・昭三七法三六・昭三八法六九・昭三九法九・昭四〇法一五・昭四一法四八・昭四二法一八・昭四三法三七・昭四四法三三・法四〇・昭四五法一七・昭四六法二三・法一三〇・昭四七法二六・昭四八法一〇三・昭四九法八一・昭五〇法二七・昭五一法二六・昭五二法二九・昭五三法七四・昭五四法一一・昭五五法一三・法一四・昭五六法二三・昭五七法一三・昭五八法一四・法七八・昭五九法一三・昭六〇法三五・昭六一法二六・昭六二法五・昭六三法六七・平元法二九・平二法三二・平三法二三・平四法三七・平五法二一・平六法三二・平七法三二・平八法九・平九法一四・平一〇法一五・法一〇一・平一一法二一・法五五・法一〇二(平一二法一〇)・法一六〇(平一二法一〇)・法一六五・法一六六・平一二法一〇・法七〇・平一三法七六(一部未施行)・平一四法二三(一部未施行)・法一六一・平一五法二九(一部未施行)

廃止 平一五法一一七(未施行)

国立学校設置法をここに公布する。

国立学校設置法

目次

第一章 総則(第一条・第二条)

第二章 国立大学(第三条―第七条の九)

第二章の二 筑波大学の組織(第七条の十―第七条の十二)

第二章の三 国立高等専門学校(第七条の十三)

第三章 削除

第三章の二 国立養護学校(第九条)

第三章の三 大学共同利用機関(第九条の二)

第三章の四 削除

第三章の五 大学評価・学位授与機構(第九条の四)

第三章の六 国立学校財務センター(第九条の五)

第四章 職及び職員(第十条・第十一条)

第五章 雑則(第十二条・第十三条)

附則

第一章 総則

(設置及び所轄)

第一条 文部科学省に、国立学校を設置する。

2 国立学校は、文部科学大臣の所轄に属する。

(平一一法一〇二・一部改正)

(国立学校)

第二条 この法律で「国立学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に定める学校で国が設置するものをいい、第三章の三、第三章の五及び第三章の六に定める機関を含むものとする。

2 国立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園は、この法律に特別の定めをするもののほか、政令で定めるところにより、国立大学若しくは国立大学の学部又は国立短期大学に附属して設置するものとする。

(昭二九法一六・全改、昭三六法四一・昭三七法三六・昭四六法二三・昭四七法二六・昭四八法一〇三・昭四九法八一・昭五二法二九・平三法二三・平四法三七・平一〇法一〇一・平一一法一六六・一部改正)

第二章 国立大学

(名称及び位置)

第三条 国立大学(第三条の三に定めるものを除く。)の名称及び位置は、次の表に掲げるとおりとする。

国立大学の名称 位置
北海道大学 北海道
北海道教育大学
室蘭工業大学
小樽商科大学
帯広畜産大学
旭川医科大学
北見工業大学
弘前大学 青森県
岩手大学 岩手県
東北大学 宮城県
宮城教育大学
秋田大学 秋田県
山形大学 山形県
福島大学 福島県
茨城大学 茨城県
筑波大学
宇都宮大学 栃木県
群馬大学 群馬県
埼玉大学 埼玉県
千葉大学 千葉県
東京大学 東京都
東京医科歯科大学
東京外国語大学
東京学芸大学
東京農工大学
東京芸術大学
東京工業大学
東京海洋大学
お茶の水女子大学
電気通信大学
一橋大学
横浜国立大学 神奈川県
新潟大学 新潟県
長岡技術科学大学
上越教育大学
富山大学 富山県
富山医科薬科大学
金沢大学 石川県
福井大学 福井県
山梨大学 山梨県
信州大学 長野県
岐阜大学 岐阜県
静岡大学 静岡県
浜松医科大学
名古屋大学 愛知県
愛知教育大学
名古屋工業大学
豊橋技術科学大学
三重大学 三重県
滋賀大学 滋賀県
滋賀医科大学
京都大学 京都府
京都教育大学
京都工芸繊維大学
大阪大学 大阪府
大阪外国語大学
大阪教育大学
兵庫教育大学 兵庫県
神戸大学
奈良教育大学 奈良県
奈良女子大学
和歌山大学 和歌山県
鳥取大学 鳥取県
島根大学 島根県
岡山大学 岡山県
広島大学 広島県
山口大学 山口県
徳島大学 徳島県
鳴門教育大学
香川大学 香川県
愛媛大学 愛媛県
高知大学 高知県
福岡教育大学 福岡県
九州大学
九州工業大学
佐賀大学 佐賀県
長崎大学 長崎県
熊本大学 熊本県
大分大学 大分県
宮崎大学 宮崎県
鹿児島大学 鹿児島県
鹿屋体育大学
琉球大学 沖縄県

2 前項の国立大学(筑波大学を除く。)に置く学部の名称は、政令で定める。

3 文部科学省令で定める数個の学部を置く国立大学に、各学部に共通する一般教養に関する教育を一括して行うための組織として、教養部を置く。

(昭二四法二二六・昭二五法五一・昭二六法八四・昭二七法二二・昭二七法一四九・昭二八法八八・昭二九法一六・昭三〇法四四・昭三二法三一・昭三三法二八・昭三五法一六・昭三六法四一・昭三七法三六・昭三八法六九・昭三九法九・昭四〇法一五・昭四一法四八・昭四二法一八・昭四三法三七・昭四四法四〇・昭四五法一七・昭四六法一三〇・昭四七法二六・昭四八法一〇三・昭四九法八一・昭五〇法二七・昭五一法二六・昭五二法二九・昭五三法七四・昭五四法一一・昭五五法一四・昭五六法二三・昭五八法一四・昭六一法二六・昭六二法五・昭六三法六七・平二法三二・平四法三七・平五法二一・平六法三二・平七法三二・平八法九・平九法一四・平一一法一〇二・平一四法二三・平一五法二九・一部改正)

(大学院を置く大学)

第三条の二 前条第一項の表に掲げる国立大学で政令で定めるものに、大学院を置く。

2 前項の国立大学(大学院に第三条の四に定める教育部及び研究部のみを置くものを除く。)の大学院に置く研究科の名称及び課程は、政令で定める。

(昭二八法二五・追加、昭三〇法四四・昭三三法二八・昭三四法一五・昭三七法三六・昭三八法六九・昭三九法九・昭四〇法一五・昭四一法四八・昭四二法一八・昭四三法三七・昭四四法四〇・昭四五法一七・昭四六法二三・昭四八法一〇三・昭四九法八一・昭五一法二六・昭五二法二九・昭五三法七四・昭五四法一一・昭五五法一四・昭五六法二三・昭五七法一三・昭五八法一四・昭五八法七八・昭五九法一三・昭六三法六七・平一二法一〇・一部改正)

(大学院大学)

第三条の三 学校教育法第六十八条に定める国立大学として、次に掲げる大学を置く。

政策研究大学院大学

北陸先端科学技術大学院大学

奈良先端科学技術大学院大学

総合研究大学院大学

2 政策研究大学院大学の位置は、神奈川県とし、北陸先端科学技術大学院大学の位置は、石川県とし、奈良先端科学技術大学院大学の位置は、奈良県とする。

3 総合研究大学院大学は、第九条の二に定める大学共同利用機関及び独立行政法人宇宙航空研究開発機構のうち政令で定めるものとの緊密な連係及び協力の下に教育研究を行うものとする。

4 第一項の国立大学(大学院に次条に定める教育部及び研究部のみを置くものを除く。)の大学院に置く研究科の名称及び課程は、政令で定める。

(昭六三法六七・追加、平元法二九・平二法三二・平三法二三・平九法一四・平一二法一〇・平一四法一六一・一部改正)

(教育部及び研究部)

第三条の四 第三条の二第一項及び前条第一項の国立大学で政令で定めるものの大学院に、学校教育法第六十六条ただし書に定める組織として、教育部及び研究部を置く。

2 前項の教育部は、教育上の目的に応じて組織するものとし、その種類及び課程は、政令で定める。

3 第一項の研究部は、研究上の目的に応じ、かつ、教育上の必要性を考慮して組織するものとし、その種類その他必要な事項は、文部科学省令で定める。

(平一一法一〇二(平一二法一〇)・一部改正、平一二法一〇・追加)

(国立短期大学の名称及び位置等)

第三条の五 国立短期大学(国立大学に併設されるものを除く。)の名称及び位置は、次の表に掲げるとおりとする。

国立短期大学の名称 位置
筑波技術短期大学 茨城県
高岡短期大学 富山県

2 国立大学に併設される国立短期大学の名称及び位置並びにその国立短期大学を併設する国立大学の名称は、次の表に掲げるとおりとする。

国立短期大学の名称 位置 上欄の国立短期大学を併設する国立大学の名称
北海道大学医療技術短期大学部 北海道 北海道大学
東北大学医療技術短期大学部 宮城県 東北大学
秋田大学医療技術短期大学部 秋田県 秋田大学
筑波大学医療技術短期大学部 茨城県 筑波大学
信州大学医療技術短期大学部 長野県 信州大学
京都大学医療技術短期大学部 京都府 京都大学
徳島大学医療技術短期大学部 徳島県 徳島大学
九州大学医療技術短期大学部 福岡県 九州大学
長崎大学医療技術短期大学部 長崎県 長崎大学
熊本大学医療技術短期大学部 熊本県 熊本大学

(昭二六法八四・追加、昭二七法二二・一部改正、昭二八法二五・旧第三条の二繰下、昭二八法八八・昭二九法一六・昭三〇法四四・昭三三法二八・昭三四法一五・昭三五法一六・昭三六法四一・昭三七法三六・昭三九法九・昭四〇法一五・昭四一法四八・昭四二法一八・昭四六法二三・昭四六法一三〇・昭四七法二六・昭四八法一〇三・昭四九法八一・昭五〇法二七・昭五一法二六・昭五二法二九・昭五三法七四・昭五四法一一・昭五五法一四・昭五六法二三・昭五八法一四・昭五九法一三・昭六〇法三五・昭六一法二六・昭六二法五・一部改正、昭六三法六七・旧第三条の三繰下・一部改正、平元法二九・平二法三二・平三法二三・平四法三七・平五法二一・平六法三二・平七法三二・平八法九・平九法一四・平一〇法一五・平一一法二一・一部改正、平一二法一〇・旧第三条の四繰下・一部改正)

(大学附置の研究所)

第四条 政令で定める国立大学に、研究所を附置する。

2 前項の国立大学に附置する研究所の名称及び目的は政令で、その位置は文部科学省令で定める。

3 第一項の国立大学に附置する研究所で政令で定めるものは、国立大学の教員その他の者で当該研究所の目的たる研究と同一の研究に従事するものに利用させるものとする。

(昭二五法五一・昭二六法八四・昭二七法二二・昭二八法八八・昭二九法一六・昭三〇法四四・昭三一法二六・昭三二法三一・昭三三法二八・昭三六法四一・昭三七法三六・昭三八法六九・昭三九法九・昭四〇法一五・昭四一法四八・昭四二法一八・昭四六法二三・昭四七法二六・昭四八法一〇三・昭四九法八一・昭五一法二六・昭五三法七四・昭五四法一一・昭五五法一三・昭五六法二三・昭五七法一三・昭五八法七八・昭五九法一三・平一一法一〇二・一部改正)

(学部附属の教育研究施設等)

第五条 国立大学の学部及び大学院に置く研究科並びに大学附置の研究所に、文部科学省令で定めるところにより、附属の教育施設又は研究施設を置く。

2 前項の教育施設又は研究施設の名称及び内部組織は、同項の文部科学省令で定めるものを除くほか、当該大学が定める。

(昭二九法一六・全改、昭三七法三六・昭三八法六九・平九法一四・平一一法一〇二・一部改正)

(附属図書館)

第六条 国立大学に、附属図書館を置く。

(学科及び課程)

第七条 国立大学の学部に、文部科学省令で定めるところにより、学科又は課程を置く。

(昭三八法六九・追加、平一一法一〇二・一部改正、平一三法七六・旧第六条の二繰下)

(運営諮問会議)

第七条の二 国立大学(国立短期大学(国立大学に併設されるものを除く。)を含む。次項において同じ。)に、運営諮問会議を置く。

2 運営諮問会議は、委員若干人で組織し、その委員は、当該国立大学の職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、学長の申出を受けて文部科学大臣が任命する。

3 運営諮問会議は、次に掲げる事項について、学長の諮問に応じて審議し、及び学長に対して助言又は勧告を行う。

一 大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する重要事項

二 大学の教育研究活動等の状況について当該大学が行う評価に関する重要事項

三 その他大学の運営に関する重要事項

(平一一法五五・追加、平一一法一〇二・一部改正)

(評議会)

第七条の三 国立大学に、評議会を置く。ただし、一個の学部のみを置く国立大学(当該学部以外に次項第二号の文部科学省令で定める大学院の研究科又は大学附置の研究所を置くものを除く。)及び第三条の三第一項の国立大学(以下「国立大学院大学」という。)で一個の研究科のみを置くもの(当該研究科以外に大学附置の研究所を置くものを除く。)にあつては、この限りでない。

2 評議会の評議員は、次に掲げる者をもつて充てる。

一 学長

二 学部長、国立大学院大学の大学院の研究科その他の文部科学省令で定める大学院の研究科の長、教養部の長及び大学附置の研究所の長

三 教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第三項に規定する部局長(前号に掲げるものを除く。)のうち文部科学省令で定めるところにより当該国立大学が定める者

3 前項各号に掲げる者のほか、評議会の定めるところにより、次に掲げる者を評議員に加えることができる。

一 学部、前項第二号の文部科学省令で定める大学院の研究科、教養部及び大学附置の研究所のうち評議会が定めるものごとに当該組織から選出される教授

二 評議会の議に基づいて学長が指名する教員

4 第二項第三号及び前項の評議員は、学長の申出に基づいて文部科学大臣が任命する。

5 評議会は、次に掲げる事項について審議し、並びにこの法律及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。

一 大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する事項

二 学則その他重要な規則の制定又は改廃に関する事項

三 大学の予算の見積りの方針に関する事項

四 学部、学科その他の重要な組織の設置又は廃止及び学生の定員に関する事項

五 教員人事の方針に関する事項

六 大学の教育課程の編成に関する方針に係る事項

七 学生の厚生及び補導に関する事項

八 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する方針及び学位の授与に関する方針に係る事項

九 大学の教育研究活動等の状況について当該大学が行う評価に関する事項

十 その他大学の運営に関する重要事項

6 評議会に議長を置き、学長をもつて充てる。

7 議長は、評議会を主宰する。

(平一一法五五・追加、平一一法一〇二・一部改正)

(教授会)

第七条の四 次に掲げる国立大学の組織に、教授会を置く。

一 学部

二 国立大学院大学の大学院の研究科

三 前条第二項第二号の文部科学省令で定める大学院の研究科(前号に掲げるものを除く。)

四 教養部

五 大学附置の研究所

2 次に掲げる国立大学の組織に、当該国立大学の定めるところにより、教授会を置くことができる。

一 大学院の研究科(前項第二号及び第三号に掲げるものを除く。)で専任の教授を置くもの

二 第十三条の規定に基づき置かれる組織で専任の教授を置くもの

3 前項各号に掲げる組織に教授会を置かない場合にあつては、当該組織の専任の教授は、第一項各号に掲げる組織のうち当該国立大学が定めるものに置かれる教授会に所属するものとする。

4 第一項及び第二項の教授会は、次の各号(第一項第四号及び第五号並びに第二項第二号に掲げる組織に置かれる教授会にあつては、第三号)に掲げる事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。

一 学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項

二 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項

三 その他当該教授会を置く組織(前項の規定により第二項各号に掲げる組織の教授が所属することとされた教授会を置く組織にあつては、当該各号に掲げる組織を含む。)の教育又は研究に関する重要事項

5 評議会を置かない国立大学にあつては、第一項第一号又は第二号に掲げる組織に置かれる教授会は、前項各号に掲げる事項のほか、前条第五項各号(第六号及び第八号を除く。)に掲げる事項について審議する。

6 教授会に議長を置き、当該教授会を置く組織の長(評議会を置かない国立大学の第一項第一号又は第二号に掲げる組織でその長を置かないものにあつては、学長)をもつて充てる。

7 議長は、教授会を主宰する。

(平一一法五五・追加、平一一法一〇二・一部改正)

(国立短期大学の教授会)

第七条の五 国立短期大学に、教授会を置く。

2 前項の教授会は、次に掲げる事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。

一 短期大学の教育課程の編成に関する事項

二 学生の入学、卒業その他その在籍に関する事項

三 その他短期大学の教育及び研究に関する重要事項

3 第一項の教授会については、前条第五項から第七項までの規定を準用する。この場合において、同条第六項中「当該教授会を置く組織の長(評議会を置かない国立大学の第一項第一号又は第二号に掲げる組織でその長を置かないものにあつては、学長)」とあるのは、「学長」と読み替えるものとする。

(平一一法五五・追加)

(議事の手続等)

第七条の六 前四条に定めるもののほか、運営諮問会議、評議会及び教授会の議事の手続その他これらの組織に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

(平一一法五五・追加、平一一法一〇二・一部改正)

(教育部及び研究部を置く国立大学の評議会及び教授会の特例)

第七条の七 第三条の四に定める教育部及び研究部を置く国立大学に対する第七条の三及び第七条の四の規定(大学院に係る部分に限る。)の適用については、第七条の三第一項ただし書中「大学院の研究科」とあるのは「大学院の研究科(大学院の教育部及び大学院の研究部を含む。)」と、「研究科以外に」とあるのは「研究科以外に教育部及び研究部又は」と、同条第二項第二号中「研究科その他の」とあるのは「研究科(教育部及び研究部を含む。)その他の」と、「研究科の」とあるのは「研究科(大学院の教育部及び大学院の研究部を含む。)の」と、同条第三項第一号中「研究科」とあるのは「研究科(大学院の教育部及び大学院の研究部を含む。)」と、第七条の四第一項第二号中「研究科」とあるのは「研究科(教育部及び研究部を含む。)」と、同項第三号中「研究科」とあるのは「研究科(大学院の教育部及び大学院の研究部を含む。)」と、同条第二項第一号中「研究科」とあるのは「研究科(教育部及び研究部を含む。)」と、同条第四項中「次の各号(」とあるのは「次の各号(大学院の研究部並びに」と、同項第一号中「研究科」とあるのは「研究科(教育部を含む。)」とする。

(平一二法一〇・追加)

(国立大学等の運営の基準)

第七条の八 国立大学及び国立短期大学は、当該国立大学又は国立短期大学の教育研究上の目的を達成するため、学部その他の組織の一体的な運営により、その機能を総合的に発揮するようにしなければならない。

(平一一法五五・追加、平一二法一〇・旧第七条の七繰下)

(教育研究等の状況の公表)

第七条の九 国立大学及び国立短期大学は、文部科学省令で定めるところにより、当該国立大学又は国立短期大学の教育及び研究並びに組織及び運営の状況を公表しなければならない。

(平一一法五五・追加、平一一法一〇二(平一二法一〇)・一部改正、平一二法一〇・旧第七条の八繰下)

第二章の二 筑波大学の組織

(昭四八法一〇三・追加)

(学群、学系及び学類)

第七条の十 筑波大学に、学校教育法第五十三条ただし書に定める組織として学群及び学系を置く。

2 前項の学群は、教育上の目的に応じて組織するものとし、その種類は、政令で定める。

3 第一項の学群で政令で定めるものに、文部科学省令で定めるところにより、それぞれ数個の学類を置く。

4 第一項の学系は、研究上の目的に応じ、かつ、教育上の必要性を考慮して組織するものとし、その種類その他必要な事項は、文部科学省令で定める。

(昭四八法一〇三・追加、昭五八法一四・平九法一四・一部改正、平一一法五五・旧第七条の二繰下、平一一法一〇二(平一二法一〇)・一部改正、平一二法一〇・旧第七条の九繰下)

(評議会及び教授会の特例)

第七条の十一 筑波大学に対する第七条の三及び第七条の四の規定(大学院に係る部分を除く。)の適用については、第七条の三第二項第二号中「学部長」とあるのは「学群の長」と、同条第三項第一号中「学部」とあるのは「学群、学系、学類」と、同条第五項中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項(第五号に掲げる事項を除く。)」と、同項第四号中「学部、学科」とあるのは「学群、学系、学類」と、第七条の四第一項第一号中「学部」とあるのは「学群及び学系」と、同条第四項中「次の各号(」とあるのは「次の各号(学系並びに」と、同項第一号中「学部」とあるのは「学群」とする。

(平一一法五五・追加、平一二法一〇・旧第七条の十繰下・一部改正)

(人事委員会)

第七条の十二 筑波大学に人事委員会を置く。

2 人事委員会は、副学長及び評議会が定めるところにより選出される教員で組織する。

3 人事委員会は、教員人事の方針に関する事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行なう。

(昭四八法一〇三・追加、平一一法五五・旧第七条の五繰下、平一二法一〇・旧第七条の十一繰下)

第二章の三 国立高等専門学校

(昭三七法三六・追加、昭四八法一〇三・旧第二章の二繰下)

(名称及び位置)

第七条の十三 国立高等専門学校の名称及び位置は、次の表に掲げるとおりとする。

国立高等専門学校の名称 位置
函館工業高等専門学校 北海道
苫小牧工業高等専門学校
釧路工業高等専門学校
旭川工業高等専門学校
八戸工業高等専門学校 青森県
一関工業高等専門学校 岩手県
宮城工業高等専門学校 宮城県
仙台電波工業高等専門学校
秋田工業高等専門学校 秋田県
鶴岡工業高等専門学校 山形県
福島工業高等専門学校 福島県
茨城工業高等専門学校 茨城県
小山工業高等専門学校 栃木県
群馬工業高等専門学校 群馬県
木更津工業高等専門学校 千葉県
東京工業高等専門学校 東京都
長岡工業高等専門学校 新潟県
富山工業高等専門学校 富山県
富山商船高等専門学校
石川工業高等専門学校 石川県
福井工業高等専門学校 福井県
長野工業高等専門学校 長野県
岐阜工業高等専門学校 岐阜県
沼津工業高等専門学校 静岡県
豊田工業高等専門学校 愛知県
鳥羽商船高等専門学校 三重県
鈴鹿工業高等専門学校
舞鶴工業高等専門学校 京都府
明石工業高等専門学校 兵庫県
奈良工業高等専門学校 奈良県
和歌山工業高等専門学校 和歌山県
米子工業高等専門学校 鳥取県
松江工業高等専門学校 島根県
津山工業高等専門学校 岡山県
広島商船高等専門学校 広島県
呉工業高等専門学校
徳山工業高等専門学校 山口県
宇部工業高等専門学校
大島商船高等専門学校
阿南工業高等専門学校 徳島県
高松工業高等専門学校 香川県
詫間電波工業高等専門学校
新居浜工業高等専門学校 愛媛県
弓削商船高等専門学校
高知工業高等専門学校 高知県
久留米工業高等専門学校 福岡県
有明工業高等専門学校
北九州工業高等専門学校
佐世保工業高等専門学校 長崎県
熊本電波工業高等専門学校 熊本県
八代工業高等専門学校
大分工業高等専門学校 大分県
都城工業高等専門学校 宮崎県
鹿児島工業高等専門学校 鹿児島県
沖縄工業高等専門学校 沖縄県

(昭三七法三六・追加、昭三八法六九・昭三九法九・昭四〇法一五・昭四二法一八・昭四六法二三・一部改正、昭四八法一〇三・旧第七条の二繰下、昭四九法八一・一部改正、平一一法五五・旧第七条の六繰下、平一二法一〇・旧第七条の十二繰下、平一四法二三・一部改正)

第八条 削除

(昭四九法八一)

第三章 削除

(昭四九法八一)

第三章の二 国立養護学校

(昭四八法一〇三・全改)

(国立久里浜養護学校)

第九条 独立行政法人国立特殊教育総合研究所との相互協力の下に教育を行う養護学校として、神奈川県に、国立久里浜養護学校を置く。

(昭四八法一〇三・全改、昭五八法七八・平一一法一六五・一部改正)

第三章の三 大学共同利用機関

(昭四八法一〇三・追加、平元法二九・改称)

(大学共同利用機関)

第九条の二 大学における学術研究の発展その他政令で定める目的に資するため、大学の共同利用の機関として、政令で定めるところにより、研究所その他の機関(以下「大学共同利用機関」という。)を置く。

2 大学共同利用機関は、大学の教員その他の者で当該大学共同利用機関の目的たる研究その他の事項と同一の事項に従事するものの利用に供するものとする。

3 大学共同利用機関は、大学の要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力することができる。

(昭五八法七八・全改、平元法二九・一部改正)

第三章の四 削除

(平一一法一六六)

第九条の三 削除

(平一一法一六六)

第三章の五 大学評価・学位授与機構

(平一二法一〇・全改)

(大学評価・学位授与機構)

第九条の四 大学等(大学及び大学共同利用機関をいう。以下この項において同じ。)の評価及び学位の授与に関する業務を行う機関として、次に掲げる業務を行う大学評価・学位授与機構を置く。

一 大学等の教育研究水準の向上に資するため、大学等の教育研究活動等の状況について評価を行い、その結果について、当該大学等及びその設置者に提供し、並びに公表すること。

二 学校教育法第六十八条の二第三項に定めるところにより、学位を授与すること。

三 大学等の教育研究活動等の状況についての評価に関する調査研究及び学位の授与を行うために必要な学習の成果の評価に関する調査研究を行うこと。

四 大学等の教育研究活動等の状況についての評価及び大学における各種の学習の機会に関する情報の収集、整理及び提供を行うこと。

2 前項第一号の評価の実施の手続その他同号の評価に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

(平一一法一六〇(平一二法一〇)・一部改正、平一二法一〇・全改)

第三章の六 国立学校財務センター

(平四法三七・追加)

(国立学校財務センター)

第九条の五 国立学校の財務の改善に資するため、次に掲げる業務を行う機関として、国立学校財務センターを置く。

一 国立学校特別会計に属する国有財産(以下この号において「国立学校財産」という。)の適切かつ有効な活用について他の国立学校に対する協力及び専門的、技術的助言並びに特定学校財産(国立学校財産のうち、国立学校の移転、施設の高層化その他政令で定める事由に伴い不用となるもので、国立学校財務センターに所属替をするものとして政令で定めるところにより文部科学大臣が指定するものをいう。附則第三項において同じ。)の管理及び処分を行うこと。

二 国立学校における教育研究環境の整備充実を図るため、総合的かつ計画的に実施することが特に必要な整備事業に関する調査を行うこと。

三 国立学校における奨学を目的とする寄附金で特定の国立学校に係るもの以外のものの受入れ及び当該寄附金に相当する金額の配分に関する業務を行うこと。

四 高等教育に係る財政及び国立学校の財務に関する研究を行うこと。

五 国立学校における財務に関する事務の改善に関し、情報提供、連絡調整その他必要な業務を行うこと。

(平四法三七・追加、平一一法一〇二・平一二法七〇・一部改正)

第四章 職及び職員

(昭四四法三三・章名追加)

(国立学校の職)

第十条 各国立学校に置かれる職の種類は、文部科学省令で定める。

(昭二六法八四・旧第十三条繰上・一部改正、昭二九法一六・昭三八法六九・平一一法一〇二・一部改正)

(国立学校に置かれる職員の任免等)

第十一条 国立学校に置かれる職員の任免、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及び教育公務員特例法の定めるところによる。

(昭二六法八四・旧第十四条繰上、昭四八法一〇三・一部改正)

第五章 雑則

(昭二六法八四・旧第六章繰上)

(国立学校における授業料その他の費用の免除及び猶予)

第十二条 国立学校の校長(国立大学若しくは国立大学の学部又は国立短期大学に附属して設置される学校にあつては、当該国立大学又は当該国立短期大学の学長)は、経済的理由によつて納付が困難であると認められ、かつ、学業優秀と認めるときその他やむを得ない事情があると認めるときは、政令で定めるところにより、授業料その他の費用の全部若しくは一部を免除し、又はその徴収を猶予することができる。

(昭三五法一六・追加、昭三六法四一・一部改正)

(文部科学省令への委任)

第十三条 この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除くほか、国立学校の位置並びに組織及び運営の細目については、文部科学省令で定める。

(昭二六法八四・旧第十五条繰上、昭三五法一六・旧第十二条繰下、昭三七法三六・昭五五法一三・平一一法一〇二・平一一法一六〇・一部改正)

附 則 抄

1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第一条の規定は、学校の修業年限及び学年の進行に関しては、昭和二十四年四月一日から適用があるものとする。

2 左に掲げる勅令は、廃止する。

国立総合大学令(大正八年勅令第十二号)

国立総合大学官制(昭和二十一年勅令第二百五号)

国立総合大学及び其の学部に関する件(大正八年勅令第十三号)

東京大学講座令(大正八年勅令第十四号)

京都大学講座令(大正八年勅令第十五号)

東北大学講座令(大正八年勅令第十六号)

九州大学講座令(大正八年勅令第十七号)

北海道大学講座令(大正八年勅令第十八号)

大阪大学講座令(昭和六年勅令第六十九号)

名古屋大学講座令(昭和十四年勅令第百十四号)

官立大学官制(昭和二十一年勅令第二百六号)

教員養成諸学校官制(昭和二十一年勅令第二百八号)

臨時教員養成所官制(明治三十五年勅令第百号)

官立高等学校官制(昭和二十一年勅令第二百九号)

官立専門学校官制(昭和二十一年勅令第二百十号)

国立総合大学及び官立医科大学に臨時医学専門部を設置するの件(昭和十五年勅令第二百七十八号)

工芸技術講習所官制(昭和十五年勅令第七百六十九号)

無線電信講習所官制(昭和十七年勅令第二百七十四号)

水産講習所官制(昭和四年勅令第二十二号)

官立盲学校及聾唖学校官制(昭和二十一年勅令第二百十一号)

低温科学研究所官制(昭和十六年勅令第千一号)

応用電気研究所官制(昭和十八年勅令第五十六号)

触媒研究所官制(昭和十八年勅令第五十七号)

金属材料研究所官制(大正十一年勅令第三百六十一号)

農学研究所官制(昭和十四年勅令第五百二十一号)

選鉱製錬研究所官制(昭和十六年勅令第二百六十八号)

抗酸菌病研究所官制(昭和十六年勅令第千百十九号)

科学計測研究所官制(昭和十八年勅令第五十四号)

高速力学研究所官制(昭和十八年勅令第七百六十一号)

電気通信研究所官制(昭和十九年勅令第六号)

非水溶液化学研究所官制(昭和十九年勅令第七号)

硝子研究所官制(昭和二十年勅令第二十五号)

伝染病研究所官制(大正五年勅令第四十七号)

東京天文台官制(大正十年勅令第四百五十号)

地震研究所官制(大正十四年勅令第三百十一号)

東洋文化研究所官制(昭和十六年勅令第千十二号)

立地自然科学研究所官制(昭和十九年勅令第十七号)

輻射線化学研究所官制(昭和二十年勅令第三十九号)

理工学研究所官制(昭和二十一年勅令第百七十三号)

社会科学研究所官制(昭和二十一年勅令第三百九十四号)

環境医学研究所官制(昭和二十一年勅令第百七十四号)

化学研究所官制(大正十五年勅令第三百十三号)

人文科学研究所官制(昭和十四年勅令第五百二十号)

結核研究所官制(昭和十六年勅令第二百六十七号)

工学研究所官制(昭和十六年勅令第千二十二号)

木材研究所官制(昭和十九年勅令第三百五十四号)

食糧科学研究所官制(昭和二十一年勅令第四百二十三号)

微生物病研究所官制(昭和九年勅令第二百七十号)

産業科学研究所官制(昭和十四年勅令第八百三号)

音響科学研究所官制(昭和十九年勅令第八号)

温泉治療学研究所官制(昭和六年勅令第二百六十六号)

流体工学研究所官制(昭和十七年勅令第三十号)

弾性工学研究所官制(昭和十八年勅令第五十五号)

史料編纂に関する職員の件(明治三十八年勅令第九十五号)

3 国立学校財務センターは、当分の間、第九条の五第二号に規定する調査に基づき、同号に規定する整備事業のうち、施設が老朽化したため又は狭いため教育研究を行うのに著しく不適当である状態を解消することを目的として、特定学校財産の処分収入を財源として緊急に実施される国立学校の施設の整備(国立学校の移転による整備及び特定学校財産に指定された土地の信託により整備された施設の取得又は賃借を含む。)に係る事業であつて、文部科学省令で定めるものについて、その実施に関する計画の策定に参考となる資料の作成を行うものとする。

(平四法三七・追加、平一一法一〇二・一部改正、平一二法七〇・旧第五項繰上)

4 国立大学及び国立高等学校は、それぞれその包括する学校の課程を存置するものとし、それらの課程の履修、卒業及びそれらの課程を担当する教職員の身分等に関する事項並びに国立大学に包括する学校に附置される学校については、なお従前の例により取り扱うものとする。

(昭二六法八四・一部改正、昭五二法二九・旧第三項繰下、平四法三七・旧第五項繰下、平一二法七〇・旧第六項繰上)

5 前項の規定の実施に関し必要な事項は、文部省令で定める。

(昭五二法二九・旧第四項繰下、平四法三七・旧第六項繰下、平一二法七〇・旧第七項繰上)

6 従前の規定により国立の大学の大学院は、当分の間、なお従前の例により取り扱うものとする。

(昭二五法五一・旧第七項繰上、昭二六法八四・旧第六項繰上、昭五二法二九・旧第五項繰下、平四法三七・旧第七項繰下、平一二法七〇・旧第八項繰上)

7 国立学校設置法の一部を改正する等の法律(昭和二十四年法律第二百二十五号)施行の際現に高等商船学校に在学する者で昭和二十四年度に入学したものは、商船大学に入学させるものとする。

(昭二四法二二六・追加、昭二五法五一・旧第十三項繰上、昭二九法一六・旧第十項繰上、昭四四法三三・旧第八項繰上、昭五二法二九・旧第六項繰下、平四法三七・旧第八項繰下、平一二法七〇・旧第九項繰上)

8 前項の規定により商船大学に入学させた者については、高等商船学校における在学年数は、商船大学における在学年数とみなし、高等商船学校において履修した課程は、商船大学において履修したものとみなす。

(昭二四法二二六・追加、昭二五法五一・旧第十四項繰上、昭二九法一六・旧第十一項繰上、昭四四法三三・旧第九項繰上、昭五二法二九・旧第七項繰下、平四法三七・旧第九項繰下、平一二法七〇・旧第十項繰上)

9 昭和二十五年三月三十一日現在において、東京水産大学又は商船大学の職員である者は、別に辞令を発せられないときは、昭和二十五年四月一日に文部大臣によつて、それぞれ同一の職務の級及び俸給の号をもつて当該大学に置かれる相当官職に任命されたものとする。

(昭二五法五一・追加、昭二六法八四・旧第十三項繰上、昭二九法一六・旧第十二項繰上、昭四四法三三・旧第十項繰上、昭五二法二九・旧第八項繰下、平四法三七・旧第十項繰下、平一二法七〇・旧第十一項繰上)

10 昭和二十六年三月三十一日現在において、富山商船学校、鳥羽商船学校、大島商船学校、広島商船学校又は弓削商船学校の職員である者は、別に辞令を発せられないときは、昭和二十六年四月一日に文部大臣によつて、それぞれ同一の職務の級及び俸給の号をもつて当該学校に置かれる相当官職に任命されたものとする。

(昭二五法二六九・追加、昭二六法八四・旧第十七項繰上、昭二九法一六・旧第十三項繰上、昭四四法三三・旧第十一項繰上、昭五二法二九・旧第九項繰下、平四法三七・旧第十一項繰下、平一二法七〇・旧第十二項繰上)

11 昭和二十七年度に神戸商船大学に入学した者は、昭和二十七年四月一日から神戸商船大学に在学していたものとみなす。

(昭二七法一四九・追加、昭二九法一六・旧第十四項繰上、昭四四法三三・旧第十二項繰上、昭五二法二九・旧第十項繰下、平四法三七・旧第十二項繰下、平一二法七〇・旧第十三項繰上)

附 則 (昭二四・一一・三〇法二二六)

この法律は、公布の日から施行する。

附 則 (昭二五・三・三一法五一)

この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。

附 則 (昭二五・一二・一六法二六九)

この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。

附 則 (昭二六・三・三一法八四) 抄

1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。

附 則 (昭二七・三・三一法二二) 抄

1 この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。

附 則 (昭二七・五・二六法一四九) 抄

1 この法律は、公布の日から施行する。

附 則 (昭二八・三・二六法二五) 抄

1 この法律は、昭和二十八年四月一日から施行する。

附 則 (昭二八・七・二八法八八)

この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。但し、第三条の三の改正規定は、修業年限及び学年の進行に関しては、同年四月一日から適用する。

附 則 (昭二九・三・三一法一六)

この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。

附 則 (昭三〇・七・一法四四)

この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の二の改正規定は昭和三十年四月一日から、第三条の三の改正規定は修業年限及び学年の進行に関し同日から適用する。

附 則 (昭三一・三・二四法二六)

この法律は、昭和三十一年四月一日から施行する。

附 則 (昭三二・三・三一法三一)

この法律は、昭和三十二年四月一日から施行する。

附 則 (昭三三・三・三一法二八)

この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。

附 則 (昭三四・三・一六法一五)

この法律は、昭和三十四年四月一日から施行する。

附 則 (昭三五・三・三一法一六) 抄

1 この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。

附 則 (昭三六・三・二二法四一)

この法律は、昭和三十六年四月一日から施行する。

附 則 (昭三六・六・二法一一一) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十六年四月一日から適用する。

(行政機関職員定員法の廃止)

2 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)は、廃止する。

(常勤の職員に対する暫定措置)

3 昭和三十六年四月一日において、現に二月以内の期間を定めて雇用されている職員のうち常勤の職員は、当分の間、国家行政組織法第十九条第一項若しくは第二項又は第二十一条第二項の規定に基づいて定められる定員の外に置くことができる。

(未帰還職員)

11 未帰還職員に関する取扱いについては、なお従前の例による。

附 則 (昭三七・三・二九法三六)

この法律は、昭和三十七年四月一日から施行する。

附 則 (昭三八・三・三一法六九) 抄

この法律は、昭和三十八年四月一日から施行する。

附 則 (昭三九・三・二七法九) 抄

1 この法律は、昭和三十九年四月一日から施行する。

附 則 (昭四〇・三・三一法一五) 抄

1 この法律は、昭和四十年四月一日から施行する。ただし、第一条中国立学校設置法第三条第一項の表神戸大学の項及び長崎大学の項の改正規定は、昭和四十一年四月一日から施行する。

附 則 (昭四一・四・五法四八) 抄

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、この法律による改正後の国立学校設置法第三条第一項、第三条の二第一項及び第四条第一項中大阪大学に係る部分並びにこの法律による改正後の国立養護教諭養成所設置法(昭和四十年法律第十六号)第二条第二項中北海道教育大学養護教諭養成所に係る部分の規定は、昭和四十一年四月一日から適用する。

附 則 (昭四二・五・三一法一八) 抄

1 この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。ただし、第一条中国立学校設置法第三条第一項の表九州工業大学の項の改正規定は、昭和四十三年四月一日から施行する。

2 昭和四十二年度に北海道大学若しくは九州大学の歯学部、帯広畜産大学、愛媛大学若しくは宮崎大学の大学院、大阪大学医療技術短期大学部、木更津工業高等専門学校、富山商船高等専門学校、鳥羽商船高等専門学校、広島商船高等専門学校、大島商船高等専門学校若しくは弓削商船高等専門学校又は茨城大学養護教諭養成所、愛知教育大学養護教諭養成所若しくは徳島大学養護教諭養成所に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和四十二年四月一日から当該学部、大学院、短期大学部、高等専門学校又は養護教諭養成所にそれぞれ在学していたものとみなす。

附 則 (昭四三・五・一法三七) 抄

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和四十三年四月一日から適用する。

附 則 (昭四四・五・一六法三三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和四十四年四月一日から適用する。

附 則 (昭四四・六・九法四〇) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和四十四年四月一日から適用する。

附 則 (昭四五・四・一三法一七)

この法律は、公布の日から施行し、昭和四十五年四月一日から適用する。

附 則 (昭四六・三・三一法二三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、昭和四十六年四月一日から施行する。

附 則 (昭四六・一二・三一法一三〇) 抄

(施行期日)

1 この法律は、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行する。

(効力発生の日=昭和四七年五月一五日)

附 則 (昭四七・五・一法二六) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和四十七年度に三重大学医学部若しくは水産学部、大分大学工学部又は金沢大学医療技術短期大学部に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和四十七年四月一日から当該学部又は短期大学部にそれぞれ在学していたものとみなす。

附 則 (昭四八・九・二九法一〇三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に掲げる日から施行する。

一 第二条の規定、第三条の規定(次号及び第三号に掲げる規定を除く。)、第五条の規定(教育公務員特例法第二十二条の改正規定を除く。)並びに附則第三項及び第五項の規定 昭和四十八年十月一日

二 第三条の規定中国立学校設置法第三条の二第一項の改正規定並びに第二章の次に一章を加える改正規定のうち第七条の二第二項(第二学群及び芸術専門学群に係る部分に限る。)及び第三項(第二学群に係る部分に限る。)に係る部分 昭和五十年四月一日

三 第三条の規定中国立学校設置法第二章の次に一章を加える改正規定のうち第七条の二第二項及び第三項(第三学群に係る部分に限る。)に係る部分 昭和五十二年四月一日

四 第四条の規定及び附則第四項の規定 昭和五十三年四月一日

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和四十八年度に旭川医科大学、山形大学若しくは愛媛大学の医学部、埼玉大学若しくは滋賀大学の大学院、東北大学医療技術短期大学部又は国立久里浜養護学校に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和四十八年四月一日から当該大学、学部、大学院、短期大学部又は養護学校にそれぞれ在学していたものとみなす。

(東京教育大学の文学部等の存続に関する経過措置等)

3 東京教育大学の文学部、理学部及び体育学部は、第一項第一号に掲げる規定による改正後の国立学校設置法第三条第一項の規定にかかわらず、昭和五十三年三月三十一日(その日前に、昭和四十八年九月三十日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなつたときは、その在学しなくなつた日)まで存続するものとする。

4 昭和五十三年三月三十一日に東京教育大学に在学する者は、同大学を卒業するため必要であつた課程の履修を引き続き筑波大学において行なうものとし、同大学は、そのため必要な教育を行なうものとする。この場合における課程の履修その他当該学生の教育に関し必要な事項は、同大学の定めるところによる。

(筑波大学の最初の学長等の任命)

5 第一項第一号に掲げる規定の施行後最初に任命すべき筑波大学の学長及び副学長は、文部大臣が東京教育大学の学長の意見を聞いて任命する。

附 則 (昭四九・六・七法八一) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第一項の表滋賀大学の項の改正規定は、昭和四十九年十月一日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和四十九年度に浜松医科大学、宮崎医科大学、広島大学の総合科学部、東京商船大学若しくは神戸商船大学の大学院、新潟大学医療技術短期大学部、信州大学医療技術短期大学部、徳山工業高等専門学校又は八代工業高等専門学校に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和四十九年四月一日から当該大学、学部、大学院、短期大学部又は高等専門学校にそれぞれ在学していたものとみなす。

附 則 (昭五〇・四・二二法二七)

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第一項の表富山大学の項の改正規定のうち富山医科薬科大学の医学部に係る部分及び島根大学の項の改正規定は昭和五十年十月一日から、同表富山大学の項の改正規定のうち富山大学に係る部分及び富山医科薬科大学の薬学部に係る部分並びに附則第三項の規定は昭和五十一年四月一日から、附則第四項の規定は昭和五十四年四月一日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和五十年度に千葉大学の看護学部、弘前大学医療技術短期大学部、京都大学医療技術短期大学部又は鳥取大学医療技術短期大学部に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和五十年四月一日から当該学部又は短期大学部にそれぞれ在学していたものとみなす。

(富山大学の薬学部の存続に関する経過措置等)

3 富山大学の薬学部は、この法律による改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、昭和五十四年三月三十一日まで存続するものとする。

4 昭和五十四年三月三十一日に富山大学の薬学部に在学する者は、同大学を卒業するため必要であつた課程の履修を引き続き富山医科薬科大学の薬学部において行うものとし、同大学は、そのため必要な教育を行うものとする。この場合における課程の履修その他当該学生の教育に関し必要な事項は、同大学の定めるところによる。

附 則 (昭五一・五・二五法二六)

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第一項の表新潟大学の項、名古屋工業大学の項、徳島大学の項、高知大学の項、佐賀大学の項及び大分大学の項並びに第三条の三第二項の改正規定は昭和五十一年十月一日から、第三条の二第一項の改正規定のうち長岡技術科学大学及び豊橋技術科学大学に係る部分は昭和五十五年四月一日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和五十一年度に福島大学の大学院に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和五十一年四月一日から当該大学院に在学していたものとみなす。

(埼玉大学の理工学部の存続に関する経過措置)

3 埼玉大学の理工学部は、この法律による改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、昭和五十一年三月三十一日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなるまでの間、存続するものとする。

(長岡技術科学大学等の学生の入学)

4 長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学、高知医科大学、佐賀医科大学及び大分医科大学は、昭和五十三年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (昭五二・五・二法二九) 抄

(施行期日等)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条の規定中国立学校設置法第三条第一項の表鹿児島大学の項及び第三条の三第二項の改正規定は、昭和五十二年十月一日から施行する。

2 この法律による改正後の国立学校設置法附則第三項及び行政機関の職員の定員に関する法律(昭和四十四年法律第三十三号)附則第二項の規定並びに附則第五項の規定は、昭和五十二年四月一日から適用する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

3 昭和五十二年度に岩手大学の人文社会科学部又は九州芸術工科大学、大分大学若しくは琉球大学の大学院に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和五十二年四月一日から当該学部又は大学院にそれぞれ在学していたものとみなす。

(富山大学の文理学部等の存続に関する経過措置)

4 富山大学の文理学部、広島大学の政経学部及び高知大学の文理学部並びに茨城大学養護教諭養成所及び愛知教育大学養護教諭養成所は、この法律による改正後の国立学校設置法第三条第一項及び国立養護教諭養成所設置法第二条第二項の規定にかかわらず、昭和五十二年三月三十一日に当該学部又は養護教諭養成所に在学する者が当該学部又は養護教諭養成所に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (昭五三・六・一七法七四) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に掲げる日から施行する。

一 第一条の規定中国立学校設置法目次の改正規定、第三条第一項の表の改正規定のうち上越教育大学、福井医科大学、山梨医科大学、兵庫教育大学及び香川医科大学に係る部分、第三条の三第二項の表の改正規定のうち筑波大学医療技術短期大学部に係る部分並びに第九条の四の次に一条を加える改正規定並びに附則第六項の規定 昭和五十三年十月一日

二 第一条の規定中国立学校設置法第三条の二第一項の改正規定のうち兵庫教育大学に係る部分 昭和五十五年四月一日

三 第一条の規定中国立学校設置法第三条の二第一項の改正規定のうち上越教育大学に係る部分 昭和五十八年四月一日

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和五十三年度に富山医科薬科大学又は愛知教育大学の大学院に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和五十三年四月一日から当該大学院に在学していたものとみなす。

(島根大学の文理学部等の存続に関する経過措置)

3 島根大学及び山口大学の各文理学部、千葉大学工業短期大学部並びに北海道教育大学養護教諭養成所、千葉大学養護教諭養成所及び大阪教育大学養護教諭養成所は、この法律による改正後の国立学校設置法第三条第一項及び第三条の三第二項並びに国立養護教諭養成所設置法第二条第二項の規定にかかわらず、昭和五十三年三月三十一日に当該学部、短期大学部又は養護教諭養成所に在学する者が当該学部、短期大学部又は養護教諭養成所に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(福井医科大学等の学生の入学)

5 福井医科大学、山梨医科大学及び香川医科大学は昭和五十五年度から、上越教育大学の学校教育学部は昭和五十六年度から、兵庫教育大学の学校教育学部は昭和五十七年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (昭五四・三・三一法一一)

(施行期日)

1 この法律は、昭和五十四年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に掲げる日から施行する。

一 第一条の規定中国立学校設置法第三条第一項の表茨城大学の項、岡山大学の項及び長崎大学の項の改正規定、同表琉球大学の項の改正規定のうち医学部に係る部分並びに第三条の三第二項の表の改正規定 昭和五十四年十月一日

二 第一条の規定中国立学校設置法第三条第一項の表琉球大学の項の改正規定のうち「保健学部」を削る部分及び第三条の三の改正規定(同条第二項の表の改正規定を除く。) 昭和五十六年四月一日

(広島大学の水畜産学部等の存続に関する経過措置)

2 広島大学の水畜産学部、熊本大学の法文学部及び琉球大学の理工学部並びに徳島大学養護教諭養成所及び熊本大学養護教諭養成所は、この法律による改正後の国立学校設置法第三条第一項及び国立養護教諭養成所設置法第二条第二項の規定にかかわらず、昭和五十四年三月三十一日に当該学部又は養護教諭養成所に在学する者が当該学部又は養護教諭養成所に在学しなくなる日までの間存続するものとし、琉球大学の保健学部及び図書館短期大学は、この法律による改正後の国立学校設置法第三条第一項及び第三条の三の規定にかかわらず、昭和五十六年三月三十一日に当該学部又は短期大学に在学する者が当該学部又は短期大学に在学しなくなる日までの間存続するものとする。

(昭和四十八年度以後に設置された国立大学等の職員に関する経過措置)

3 昭和五十四年九月三十日までの間は、この法律による改正後の国立学校設置法附則第三項中「山形大学医学部 図書館情報大学」とあるのは「山形大学医学部」と、「島根医科大学 岡山大学歯学部」とあるのは「島根医科大学」と、「佐賀医科大学 長崎大学歯学部」とあるのは「佐賀医科大学」と、「一万千百三十八人」とあるのは「一万千百十四人」とする。

(琉球大学の医学部の学生の入学)

4 琉球大学の医学部は、昭和五十六年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (昭五五・三・三一法一三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(昭和五五年政令第九〇号で昭和五五年六月三〇日から施行)

附 則 (昭五五・三・三一法一四) 抄

(施行期日)

1 この法律は、昭和五十五年四月一日から施行する。ただし、第一条の規定中国立学校設置法第三条の三第二項の表の改正規定のうち北海道大学医療技術短期大学部に係る部分は、同年十月一日から施行する。

(新潟大学の法文学部等の存続に関する経過措置)

2 新潟大学、金沢大学及び岡山大学の各法文学部、福島大学経済短期大学部並びに国立養護教諭養成所は、第一条の規定による改正後の国立学校設置法第三条第一項及び第三条の三第二項並びに第二条の規定にかかわらず、昭和五十五年三月三十一日に当該学部、短期大学部又は養護教諭養成所に在学する者が当該学部、短期大学部又は養護教諭養成所に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (昭五六・四・一四法二三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第一項の表の改正規定のうち鳴門教育大学及び鹿屋体育大学に係る部分並びに第三条の三の改正規定は昭和五十六年十月一日から、第三条の二第一項の改正規定のうち鳴門教育大学に係る部分は昭和五十九年四月一日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和五十六年度に香川大学の法学部又は滋賀医科大学の大学院に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和五十六年四月一日から当該学部又は大学院にそれぞれ在学していたものとみなす。

(千葉大学の人文学部の存続に関する経過措置)

3 千葉大学の人文学部は、この法律による改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、昭和五十六年三月三十一日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(鹿屋体育大学等の学生の入学)

5 鹿屋体育大学は昭和五十九年度から、鳴門教育大学の学校教育学部は昭和六十一年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (昭五七・三・三一法一三)

この法律は、昭和五十七年四月一日から施行する。

附 則 (昭五八・三・三一法一四)

(施行期日)

1 この法律は、昭和五十八年四月一日から施行する。ただし、第三条の三の改正規定(同条の表の改正規定を除く。)は同年十月一日から、同表の改正規定は昭和六十年四月一日から施行する。

(山形大学工業短期大学部の存続に関する経過措置)

2 山形大学工業短期大学部は、この法律による改正後の国立学校設置法第三条の三第二項の規定にかかわらず、昭和六十年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(高岡短期大学の学生の入学)

3 高岡短期大学は、昭和六十一年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (昭五八・一二・二法七八)

1 この法律(第一条を除く。)は、昭和五十九年七月一日から施行する。

2 この法律の施行の日の前日において法律の規定により置かれている機関等で、この法律の施行の日以後は国家行政組織法又はこの法律による改正後の関係法律の規定に基づく政令(以下「関係政令」という。)の規定により置かれることとなるものに関し必要となる経過措置その他この法律の施行に伴う関係政令の制定又は改廃に関し必要となる経過措置は、政令で定めることができる。

附 則 (昭五九・四・一二法一三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和五十九年度に北見工業大学、図書館情報大学、高知医科大学、佐賀医科大学若しくは大分医科大学の大学院又は長崎大学医療技術短期大学部に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和五十九年四月一日から当該大学院又は短期大学部にそれぞれ在学していたものとみなす。

附 則 (昭六〇・五・一七法三五)

この法律中附則第三項の改正規定は公布の日から、第三条の三第二項の改正規定は昭和六十年十月一日から施行する。

附 則 (昭六一・四・二二法二六)

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第一項の表の改正規定のうち九州工業大学に係る部分及び第三条の三第二項の表の改正規定(富山大学経営短期大学部の項を削る部分を除く。)は昭和六十一年十月一日から、同表の改正規定のうち富山大学経営短期大学部の項を削る部分は昭和六十三年四月一日から施行する。

(在学年数の計算に関する経過措置)

2 昭和六十一年度に徳島大学の総合科学部に入学した者は、在学年数の計算に関しては、昭和六十一年四月一日から当該学部に在学していたものとみなす。

(徳島大学の教育学部等の存続に関する経過措置)

3 徳島大学の教育学部は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、昭和六十一年三月三十一日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間存続するものとし、富山大学経営短期大学部は、改正後の第三条の三第二項の規定にかかわらず、昭和六十三年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間存続するものとする。

附 則 (昭六二・三・三一法五)

(施行期日)

1 この法律は、昭和六十二年四月一日から施行する。ただし、第三条第一項の表の改正規定、第三条の三第一項の表の改正規定及び同条第二項の表の改正規定(電気通信大学短期大学部の項を削る部分を除く。)は同年十月一日から、同表の改正規定のうち電気通信大学短期大学部の項を削る部分は昭和六十五年四月一日から施行する。

(三重大学の農学部等の存続に関する経過措置)

2 三重大学の農学部及び水産学部は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、昭和六十二年九月三十日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間存続するものとし、電気通信大学短期大学部は、改正後の第三条の三第二項の規定にかかわらず、昭和六十五年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間存続するものとする。

(筑波技術短期大学の学生の入学)

3 筑波技術短期大学は、昭和六十五年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (昭六三・五・二五法六七)

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条第一項の改正規定、第三条の二第一項の改正規定、第三条の三第二項の表の改正規定(京都工芸繊維大学工業短期大学部の項を削る部分を除く。)及び第三条の二の次に一条を加える改正規定は昭和六十三年十月一日から、第三条の三第二項の表の改正規定のうち京都工芸繊維大学工業短期大学部の項を削る部分は昭和六十六年四月一日から施行する。

(京都工芸繊維大学工業短期大学部の存続に関する経過措置)

2 京都工芸繊維大学工業短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、昭和六十六年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間存続するものとする。

附 則 (平元・六・二八法二九) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の四第二項の表の改正規定のうち秋田大学医療技術短期大学部に係る部分は平成元年十月一日から、群馬大学工業短期大学部に係る部分は平成四年四月一日から施行する。

(群馬大学工業短期大学部の存続に関する経過措置)

2 群馬大学工業短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成四年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間存続するものとする。

附 則 (平二・六・一九法三二)

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の三の改正規定は平成二年十月一日から、第三条の四第二項の表の改正規定は平成五年四月一日から施行する。

(茨城大学工業短期大学部及び山口大学工業短期大学部の存続に関する経過措置)

2 茨城大学工業短期大学部及び山口大学工業短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成五年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(北陸先端科学技術大学院大学の学生の入学)

3 北陸先端科学技術大学院大学は、平成四年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (平三・四・二法二三) 抄

(施行期日)

1 この法律は、平成三年七月一日から施行する。ただし、第一条中国立学校設置法第三条の三の改正規定(同条の見出しを改める部分及び同条第一項中「第六十八条の二」を「第六十八条」に改める部分を除く。)及び第三条の四第二項の表の改正規定並びに次項の規定は同年十月一日から、第三条及び附則第三項の規定は平成六年四月一日から施行する。

(奈良先端科学技術大学院大学の学生の入学)

2 奈良先端科学技術大学院大学は、平成五年度から学生を入学させるものとする。

(小樽商科大学短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部の存続に関する経過措置)

3 小樽商科大学短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部は、第三条の規定による改正後の国立学校設置法第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成六年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなるまでの間、存続するものとする。

附 則 (平四・五・六法三七) 抄

(施行期日)

1 この法律は、平成四年七月一日から施行する。ただし、第一条中国立学校設置法第三条第一項の表の改正規定は同年十月一日から、第三条の四第二項の表の改正規定は平成七年四月一日から施行する。

(お茶の水女子大学の家政学部等の存続に関する経過措置)

2 お茶の水女子大学の家政学部及び神戸大学の教育学部は、第一条の規定による改正後の国立学校設置法(以下この項及び次項において「改正後の設置法」という。)第三条第一項の規定にかかわらず、平成四年九月三十日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間存続するものとし、埼玉大学経済短期大学部及び和歌山大学経済短期大学部は、改正後の設置法第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成七年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間存続するものとする。

(国立学校財務センターの設置に伴う経過措置)

3 国立学校特別会計に属する国有財産のうち、この法律の施行の際現に国立学校の移転に伴い不用となっているものについては、政令の定めるところにより、改正後の設置法第九条の五第一号に規定する特定学校財産として指定することができる。

附 則 (平五・四・二三法二一)

(施行期日)

1 この法律は、平成五年十月一日から施行する。ただし、第三条の四第二項の表の改正規定及び附則第三項の規定は、平成八年四月一日から施行する。

(奈良女子大学の家政学部の存続に関する経過措置)

2 奈良女子大学の家政学部は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、平成五年九月三十日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(滋賀大学経済短期大学部等の存続に関する経過措置)

3 滋賀大学経済短期大学部、大阪大学医療技術短期大学部、徳島大学工業短期大学部及び琉球大学短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成八年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平六・五・二〇法三二)

(施行期日)

1 この法律中附則第三項の改正規定は公布の日から、第三条第一項の表の改正規定は平成六年十月一日から、第三条の四第二項の表の改正規定及び次項の規定は平成九年四月一日から施行する。

(新潟大学商業短期大学部等の存続に関する経過措置)

2 新潟大学商業短期大学部、静岡大学工業短期大学部及び神戸大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成九年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平七・三・二二法三二) 抄

(施行期日)

1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

一 附則第三項の改正規定 平成七年四月一日

二 第三条第一項の表の改正規定及び次項の規定 平成七年十月一日

三 第三条の四第二項の表の改正規定(金沢大学医療技術短期大学部の項を削る部分を除く。)及び附則第三項の規定 平成十年四月一日

四 第三条の四第二項の表の改正規定のうち金沢大学医療技術短期大学部の項を削る部分及び附則第四項の規定 平成十一年四月一日

(島根大学の理学部及び農学部の存続に関する経過措置)

2 島根大学の理学部及び農学部は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、平成七年九月三十日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(静岡大学法経短期大学部及び香川大学商業短期大学部の存続に関する経過措置)

3 静岡大学法経短期大学部及び香川大学商業短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(金沢大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

4 金沢大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十一年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平八・三・三一法九) 抄

(施行期日)

1 この法律中附則第三項の改正規定は平成八年四月一日から、第三条第一項の表の改正規定及び次項の規定は同年十月一日から、第三条の四第二項の表の改正規定及び附則第三項の規定は平成十二年四月一日から施行する。

(佐賀大学の教育学部の存続に関する経過措置)

2 佐賀大学の教育学部は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、平成八年九月三十日に当該学部に在学する者が当該学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(群馬大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

3 群馬大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十二年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平九・三・三一法一四) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 附則第三項の改正規定のうち「二万四人」を「二万八十二人」に改める部分 平成九年四月一日

二 第三条の三の改正規定及び次項の規定 平成九年十月一日

三 第三条の四第二項の表の改正規定(名古屋大学医療技術短期大学部の項を削る部分を除く。)及び附則第三項の規定 平成十二年四月一日

四 第三条の四第二項の表の改正規定のうち名古屋大学医療技術短期大学部の項を削る部分及び附則第四項の規定 平成十三年四月一日

(政策研究大学院大学の学生の入学)

2 政策研究大学院大学は、平成十二年度から学生を入学させるものとする。

(三重大学医療技術短期大学部及び長崎大学商科短期大学部の存続に関する経過措置)

3 三重大学医療技術短期大学部及び長崎大学商科短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十二年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(名古屋大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

4 名古屋大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十三年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平一〇・三・三一法一五)

(施行期日)

1 この法律中附則第三項の改正規定は平成十年四月一日から、第三条の四第二項の表の改正規定及び次項の規定は平成十四年四月一日から施行する。

(岡山大学医療技術短期大学部及び鹿児島大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

2 岡山大学医療技術短期大学部及び鹿児島大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十四年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平一〇・六・一二法一〇一) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成十一年四月一日から施行する。

附 則 (平一一・三・三一法二一)

(施行期日)

1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

一 附則第三項の改正規定 平成十一年四月一日

二 第三条の四第二項の表の改正規定のうち鳥取大学医療技術短期大学部の項を削る部分及び次項の規定 平成十四年四月一日

三 第三条の四第二項の表の改正規定(鳥取大学医療技術短期大学部の項を削る部分を除く。)及び附則第三項の規定 平成十五年四月一日

(鳥取大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

2 鳥取大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十四年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(新潟大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

3 新潟大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の四第二項の規定にかかわらず、平成十五年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平一一・五・二八法五五) 抄

(施行期日)

1 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。

附 則 (平一一・七・一六法一〇二) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(施行の日=平一三・一・六)

一 略

二 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日

(別に定める経過措置)

第三十条 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。


○中央省庁等改革関係法施行法 抄

(平成一一法律一六〇)

(処分、申請等に関する経過措置)

第千三百一条 中央省庁等改革関係法及びこの法律(以下「改革関係法等」と総称する。)の施行前に法令の規定により従前の国の機関がした免許、許可、認可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後の法令の相当規定に基づいて、相当の国の機関がした免許、許可、認可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。

2 改革関係法等の施行の際現に法令の規定により従前の国の機関に対してされている申請、届出その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、改革関係法等の施行後の法令の相当規定に基づいて、相当の国の機関に対してされた申請、届出その他の行為とみなす。

3 改革関係法等の施行前に法令の規定により従前の国の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならないとされている事項で、改革関係法等の施行の日前にその手続がされていないものについては、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、これを、改革関係法等の施行後の法令の相当規定により相当の国の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならないとされた事項についてその手続がされていないものとみなして、改革関係法等の施行後の法令の規定を適用する。

(従前の例による処分等に関する経過措置)

第千三百二条 なお従前の例によることとする法令の規定により、従前の国の機関がすべき免許、許可、認可、承認、指定その他の処分若しくは通知その他の行為又は従前の国の機関に対してすべき申請、届出その他の行為については、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、改革関係法等の施行後の法令の規定に基づくその任務及び所掌事務の区分に応じ、それぞれ、相当の国の機関がすべきものとし、又は相当の国の機関に対してすべきものとする。

(政令への委任)

第千三百四十四条 第七十一条から第七十六条まで及び第千三百一条から前条まで並びに中央省庁等改革関係法に定めるもののほか、改革関係法等の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則 (平一一・一二・二二法一六〇) 抄

(施行期日)

第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日

附 則 (平一一・一二・二二法一六五) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、附則第七条の規定は、同日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(平一二政三三三で平一三・四・一から施行)

附 則 (平一一・一二・二二法一六六) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、附則第八条、第九条及び第十一条から第十三条までの規定は、同日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(平一二政三三三で平一三・四・一から施行)

附 則 (平一二・三・三一法一〇) 抄

(施行期日)

1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

一 第一条及び附則第四項から第六項までの規定 平成十二年四月一日

二 第二条中国立学校設置法第三条の五第二項の表の改正規定(弘前大学医療技術短期大学部の項を削る部分を除く。)及び次項の規定 平成十五年四月一日

三 第二条中国立学校設置法第三条の五第二項の表の改正規定(弘前大学医療技術短期大学部の項を削る部分に限る。)及び附則第三項の規定 平成十六年四月一日

(岐阜大学医療技術短期大学部及び山口大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

2 岐阜大学医療技術短期大学部及び山口大学医療技術短期大学部は、第二条の規定による改正後の国立学校設置法第三条の五第二項の規定にかかわらず、平成十五年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(弘前大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

3 弘前大学医療技術短期大学部は、第二条の規定による改正後の国立学校設置法第三条の五第二項の規定にかかわらず、平成十六年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平一二・五・一九法七〇) 抄

(施行期日)

1 この法律は、平成十三年一月六日から施行する。

附 則 (平一三・六・二九法七六) 抄

(施行期日)

1 この法律中第七条を削り、第六条の二を第七条とする改正規定は平成十四年四月一日から、第三条の五第二項の表の改正規定及び次項の規定は平成十七年四月一日から施行する。

附 則 (平一四・四・一〇法二三) 抄

(施行期日)

1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

一 第三条第一項の表及び第七条の十三の表の改正規定並びに次項及び附則第五項の規定 平成十四年十月一日

二 第三条の五第二項の表の改正規定のうち秋田大学医療技術短期大学部の項及び筑波大学医療技術短期大学部の項を削る部分並びに附則第三項の規定 平成十七年四月一日

三 第三条の五第二項の表の改正規定(秋田大学医療技術短期大学部の項及び筑波大学医療技術短期大学部の項を削る部分を除く。)及び附則第四項の規定 平成十八年四月一日

(図書館情報大学等の存続に関する経過措置)

2 図書館情報大学、改正前の第三条第一項に規定する山梨大学及び山梨医科大学は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、平成十四年九月三十日に当該大学に在学する者が当該大学に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(沖縄工業高等専門学校の学生の入学)

5 沖縄工業高等専門学校は、平成十六年度から学生を入学させるものとする。

附 則 (平一四・一二・一三法一六一) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 附則第十六条から第十八条まで、第二十条から第二十四条まで及び第二十八条の規定 平成十五年十月一日

附 則 (平一五・四・二三法二九) 抄

(施行期日)

1 この法律中第三条第一項の表の改正規定及び次項の規定は平成十五年十月一日から、第三条の五の改正規定及び附則第三項の規定は平成十九年四月一日から施行する。

(東京商船大学等の存続に関する経過措置)

2 改正前の第三条第一項に規定する東京商船大学、東京水産大学、福井大学、福井医科大学、神戸商船大学、島根大学、島根医科大学、香川大学、香川医科大学、高知大学、高知医科大学、九州芸術工科大学、佐賀大学、佐賀医科大学、大分大学、大分医科大学、宮崎大学及び宮崎医科大学は、改正後の第三条第一項の規定にかかわらず、平成十五年九月三十日に当該大学に在学する者が当該大学に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

附 則 (平一五・七・一六法一一七) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成十六年四月一日から施行する。

(罰則に関する経過措置)

第七条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)

第八条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


〔次の法律は、平成十五年十一月四日現在未施行〕

○国立学校設置法の一部を改正する法律(抄)

(平成十三年六月二十九日法律第七十六号)

国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

第三条の五第二項の表徳島大学医療技術短期大学部の項及び長崎大学医療技術短期大学部の項を削る。

附 則

(施行期日)

1 この法律中第七条を削り、第六条の二を第七条とする改正規定は平成十四年四月一日から、第三条の五第二項の表の改正規定及び次項の規定は平成十七年四月一日から施行する。

(徳島大学医療技術短期大学部及び長崎大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

2 徳島大学医療技術短期大学部及び長崎大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の五第二項の規定にかかわらず、平成十七年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

○国立学校設置法の一部を改正する法律(抄)

(平成十四年四月十日法律第二十三号)

国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

第三条の五第二項の表秋田大学医療技術短期大学部の項、筑波大学医療技術短期大学部の項、信州大学医療技術短期大学部の項及び九州大学医療技術短期大学部の項を削る。

附 則

(施行期日)

1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

一 略

二 第三条の五第二項の表の改正規定のうち秋田大学医療技術短期大学部の項及び筑波大学医療技術短期大学部の項を削る部分並びに附則第三項の規定 平成十七年四月一日

三 第三条の五第二項の表の改正規定(秋田大学医療技術短期大学部の項及び筑波大学医療技術短期大学部の項を削る部分を除く。)及び附則第四項の規定 平成十八年四月一日

(秋田大学医療技術短期大学部及び筑波大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

3 秋田大学医療技術短期大学部及び筑波大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の五第二項の規定にかかわらず、平成十七年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

(信州大学医療技術短期大学部及び九州大学医療技術短期大学部の存続に関する経過措置)

4 信州大学医療技術短期大学部及び九州大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の五第二項の規定にかかわらず、平成十八年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

○国立学校設置法の一部を改正する法律(抄)

(平成十五年四月二十三日法律第二十九号)

国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

第三条の五の見出し中「位置等」を「位置」に改め、同条第一項中「(国立大学に併設されるものを除く。)」を削り、同条第二項を削る。

附 則

(施行期日)

1 この法律中第三条第一項の表の改正規定及び次項の規定は平成十五年十月一日から、第三条の五の改正規定及び附則第三項の規定は平成十九年四月一日から施行する。

(北海道大学医療技術短期大学部等の存続に関する経過措置)

3 北海道大学医療技術短期大学部、東北大学医療技術短期大学部、京都大学医療技術短期大学部及び熊本大学医療技術短期大学部は、改正後の第三条の五の規定にかかわらず、平成十九年三月三十一日に当該短期大学部に在学する者が当該短期大学部に在学しなくなる日までの間、存続するものとする。

○国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(抄)

(平成十五年七月十六日法律第百十七号)

(国立学校設置法等の廃止)

第二条 次に掲げる法律は、廃止する。

一 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)

附 則

(施行期日)

第一条 この法律は、平成十六年四月一日から施行する。

(罰則に関する経過措置)

第七条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)

第八条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。