高等教育関係法令①:国立学校設置法施行規則(昭和24年6月22日文部省令第23号)

 国立学校設置法施行規則のざっくりした改正歴を調べていたところ、Google検索をしてもなかなか転がっていないのに不便した。なので、とりあえず知りたかった制定当初の条文を書き起こしてみる。時間があればそのうちメジャーアップデート版(?)についても載せていきたい。

 旧字体新字体に改めた。また、別表は横書きの表に直し、漢数字から算用数字に改めた。表中の水色のセルは恐らく誤記で、合計から他の値を差し引くことで正しい数値が得られると思われるが、特に直していない。

 出典:官報 1949年06月22日 - 国立国会図書館デジタルコレクション

 

◎文部省令第二十三号

 国立学校設置法を実施するため、この省令を制定する。

 昭和二十四年六月二十二日

      文部大臣 高瀬荘太郎

国立学校設置法施行規則

   第一章 国立大学

第一条 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号、以下法という。)第三条に規定する各国立大学に学長、学部長、主事、教授、助教授、講師、助手、附属学校の長及び教員並びに教務職員、技術職員及び事務職員を置き、その定員は、別表第一 による。

第二条 学長、教授、助教授及び助手は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十八条に規定する職務に従事する。

2 講師は、教授又は助教授に準ずる職務に従事する。

3  教務職員は、大学で定める職にある者とし、数授研究の補助その他教務に関する職務に従事する。

4 技術職員は、この規則に定めるものを除く外、大学で定める職にあるものを除く外、大学で定める職にある者とし、技術に関する職務に従事する。

5 事務職員は、この規則に定めるものを除く外、大学で定める職にあるものを除く外、大学で定める職にある者とし、庶務、会計等の事務に従事する。

第三条 国立大学の各学部の長は、学部長とし、その大学の教授である者をもつて充てる。但し、単に一箇の学部を置く大学にあつては、学部長を置かないことができる。

第四条 教授上又は管理上必要がある場合には、国立大学又はその学部に分校を置くことができる。

2 分校の長は、主事とし、その大学の教授である者をもつて充てる。

第五条 各国立大学に、事務局及び厚生補導に関する部を置く。但し、特別の事情がある場合は、これらを合せて一つの部局とすることができる。事務局は、庶務、会計及び施設等に関する事務をつかさどる。

2 事務局及び前項の部には、それぞれその大学の規模に応じ、適当数の課を置くことができる。

3 事務局、部の長は、それぞれ局長、部長及び課長とする。

4 局長は、事務職員をもつて、部長は、事務職員又は教授もしくは助教授である者をもつて、課長は、事務職員又は技術職員をもつて充てる。但し、必要がある場合は、教授又は助教授である者をもつて充てること ができる。

第六条 法第四条に規定する各研究所にそれぞれその長を置き、その大学の教授である者をもつて充てる。

第七条 法第五条に規定する各研究施設にそれぞれその長を置き、その研究施設の規模に応じその大学の教授又は助教授である者をもつて充てる。但し、特別の必要がある場合は、事務職員をもつて充てることができる。

第八条 法第五条に規定する病院又は病院分院に薬局を置く。

2 薬局の長は、薬局長とし、技術職員をもつて充てる。

第九条 大学において必要がある場合は、法第六条に規定する図書館に分館を置くことができる。

2 図書館及び図書館分館の長は、それぞれ館長及び分館長とする。

3 館長は、その大学の教授である者をもつて、分館長は、その大学の教授又は助教授である者をもつて充てる。但し、必要がある場合は、館長又は分館長は、事務職員をもつて充てることができる。

第十条 国立大学の各学部、分校、附置の研究所、学部附属の研究施設及び図書館には、その規模に応じてそれぞれ事務部又は事務室を置くこと ができる。

2 事務部及び事務室の長は、それぞれ事務長及び事務主任とする。

3 事務長及び事務主任は、それぞれ事務職員をもつて充てる。

第十一条 法又はこの規則に定めたものを除く外、国立大学の内部組織に関しては、それぞれその大学の定めるところによる。

   第二章 国立高等学校

第十二条 法第九条に規定する各国立高等学校に校長、教諭、養護教論、実習助手並びに技術職員及び事務職員を置き、その定員は、別表第二による。

十三条 校長、教諭、養護教諭及び事務職員は、学校教育法第五十一条において準用された同法第二十八条に規定する職務に従事する。

2 実習助手は、実験又は実習について教諭の職務を助ける。

第十四条 各国立高等学校に事務部を置く。但し、必要がある場合は、事務部の外に教務に関する課を置くことができる。

2 事務部及び課の長は、それぞれ事務長及び課長とする。

3 事務長及び課長は、事務職員をもつて充てる。但し、必要がある場合は数務に関する課の課長は、教諭である者をもつて充てることができる。

   第三章 国立の各種学校

第十五条 法第十条に規定する各国立の各種学校に校長、教授、助教授、講師、助手、附属学校の校長、教論及び養護教諭並びに教務職員、術職員及び事務職員を置き、その定員は、別表第三による。

第十六条 国立の各種学校に置かれる附属学校の校長は、その各種学校の教授又は助教授もしくは附属学校の教諭であるものをもつて充てる。

 


   第四章 雑則

 


第十七条 第二条第四項及び第十一条の規定は、国立高等学校に、第二条、第十一条及び第十四条の規定は、国立の各種学校に準用する。但し、第十四条第三項但書中「教諭」とあるのは、「教授、助教授又は附属学校の教諭」と読み替えるものとする。

第十八条 法附則第五項に掲げる学校に学長、校長、教授、助教授、講師、助手並びに教務議員、技術職員及び 事務職員を置き、その定員は、別表第四による。

   附則

1 この省令は、公布の日から施行し、昭和二十四年五月三十一日から適用する。

2 国立大学の学部長及び分校主事は、第三条及び第四条第二項の規定にかかわらず、当分の間、教授でない者をもつて充てることができる。

3 法附則第三項に規定する各国立大学に包括される学校の課程の長はその大学の学長、学部長又は分校の主事である者をもつて充てる。但し、昭和二十四年七月三十一日までは、なお従前の例による。

   別表第一

国立大学の名称 学長 学部長及び主事 教授 助教 講師 助手 附属学校の長及び教員 教務職員
技術職員
事務職員
北海道大学 1 7 277 243 30 328 1686 2572
北海道学芸大 1 126 88 23 4 64 354 660
室蘭工業大学 1 27 18 10 1 - 90 147
小樽商科大学 1 20 8 4 1 - 64 98
帯広畜産大学 1 20 15 10 1 - 104 151
弘前大学 1 3 89 63 15 41 57 556 825
岩手大学 1 3 99 68 28 4 26 369 598
東北大学 1 8 349 290 37 425 47 2840 3997
秋田大学 1 2 87 57 21 2 45 281 496
山形大学 1 4 104 66 25 5 36 317 558
福島大学 1 2 78 47 18 2 50 228 426
茨城大学 1 3 115 71 30 5 37 316 578
宇都宮大学 1 2 78 53 15 2 42 272 465
群馬大学 1 3 104 77 21 41 45 610 902
埼玉大学 1 2 67 41 12 3 41 183 350
千葉大学 1 5 162 121 46 62 68 1163 1628
東京大学 1 9 480 395 74 652 13 4243 5867
東京外国語大学 1 - 37 15 8 1 - 59 121
東京学芸大学 1 - 169 111 21 5 132 487 926
東京農工大学 1 2 50 39 17 2 - 202 313
東京芸術大学 1 2 48 37 40 2 - 164 294
東京教育大学 1 5 174 109 27 43 99 487 945
東京工業大学 1 - 81 93 27 164 - 552 918
お茶の水女子大学 1 2 48 27 24 72 145 320
電気通信大学 1 - 33 25 10 2 - 78 149
一橋大学 1 3 66 39 9 19 - 187 324
横浜国立大学 1 3 118 82 19 4 44 361 632
新潟大学 1 6 166 122 32 58 66 1040 1491
富山大学 1 4 90 53 22 4 30 288 492
金沢大学 1 6 197 143 58 64 67 1167 1703
福井大学 1 2 69 46 14 2 20 227 381
山梨大学 1 2 71 53 24 2 23 237 413
信州大学 1 6 153 110 33 44 52 824 1223
岐阜大学 1 2 83 57 24 3 16 266 452
静岡大学 1 3 124 83 29 5 83 404 732
名古屋大学 1 6 201 168 23 217 18 1306 1940
愛知学芸大 1   102 68 16 3 104 294 588
名古屋工業大学 1 - 39 25 11 2 - 100 178
三重大学 1 2 79 54 16 3 53 262 470
滋賀大学 1 2 57 38 11 2 36 160 307
京都大学 1 8 306 276 43 431 - 2388 3453
京都工芸繊維大学 1 2 68 51 18 2 - 205 347
京都学芸大 1 - 56 36 10 2 61 153 319
大阪大学 1 5 184 182 27 299 - 1833 2531
大阪外国語大学 1 - 27 11 10 2 - 55 105
大阪教育大学 1 - 129 88 15 4 109 327 673
神戸大学 1 6 209 136 25 31 45 562 1015
奈良学芸大 1 47 32 8 2 43 182 261
奈良女子大学 1 2 33 20 17 1 62 100 236
和歌山大学 1 2 62 40 12 2 22 181 322
鳥取大学 1 3 90 71 19 40 19 568 811
島根大学 1 2 66 41 13 3 44 185 355
岡山大学 1 5 128 94 34 63 63 986 1374
広島大学 1 6 230 135 42 42 160 693 1309
山口大学 1 5 124 74 23 5 61 377 670
徳島大学 1 3 103 79 30 40 45 562 863
香川大学 1 2 63 37 10 2 51 201 367
愛媛大学 1 3 101 64 24 4 36 328 561
高知大学 1 3 70 44 13 3 40 191 365
福岡学芸大 1 - 93 62 28 3 62 238 487
九州大学 1 8 257 199 17 293 - 2141 2916
九州工業大学 1 - 42 29 10 2 - 149 233
佐賀大学 1 2 62 40 17 3 25 171 321
長崎大学 1 5 116 77 26 59 46 826 1156
熊本大学 1 6 170 121 36 71 41 1038 1484
大分大学 1 2 61 38 10 2 43 208 365
宮崎大学 1 3 70 49 18 2 44 238 425
鹿児島大学 1 4 138 96 26 6 64 488 823
合計 67 199 7642 5540 1515 3649 2672 38493 59777


別表第二

国立高等学校の名称 校長 教諭 養護教諭 実習助手 技術職員
事務職員
仙台電波高等学校 1 18 1 5 21 46
詫間電波高等学校 1 22 1 4 22 50
熊本電波高等学校 1 23 1 5 22 52
合計 3 63 3 14 65 148


別表第三

国立各種学校の名称 校長 教授 助教 講師 助手 附属学校の校長、
教諭及び養護教諭
教務職員
技術職員
事務職員
国立盲教育学校 1 5 2 2 2 30 23 65
国立ろう教育学校 1 3 2 2 2 48 36 94
合計 2 8 4 4 4 78 59 159


別表第四

法附則第五項に掲げる学校の名称 学長又は校長 教授 助教 講師 助手 教務職員
技術職員
事務職員
東京医科歯科大学 1 38 39 4 19 642 743
東京医学歯学専門学校   11 11   13   35
大阪工業専門学校 1 31 18 7   83 140
大阪青年師範学校 1 15 6 3   36 61
合計 3 95 74 14 32 761 979